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社会人から大学教授になる方法
著者 鷲田小彌太 (著)
定年後や第二の人生で、大学教員になれたら、と密かに願っている人は多い。同時に、大学も企業で培われた専門知識や技術を求めている。しかし、誰もがなれるわけではない。待遇も非常勤講師から客員教授まで様々。それに、成果主義の時代、大学教員の仕事も、それほど甘くはない!? 本書では、社会人経験者が大学に職を得ることの意義とノウハウを紹介。社会で得た知識や技術を大学で教えることは、これからの高齢社会に適した生き方なのだ。そのためにはどんな準備をしたらいいのか。「週末は大学院に通う」「書斎や書庫に投資する」「学術論文と学会発表はあったほうがいい」「著書をもつ」等、具体的な方法をアドバイスする。かつて、『大学教授になる方法』がベストセラーになった著者のもとには、今でも数多くの相談や体験談が寄せられているという。ビジネスマンから教壇への転進には数々の人生ドラマがあるのだ。定年後に知的生活を楽しみたい方への実践ガイドである。
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社会人から大学教授になる方法
2006/04/16 22:39
大学教授という職への適正を図るものさし
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名の通り、大学教授になるための方法について、分かりやすく記した本である。これ以上ないほど実践的にその方法を指南してくれる。
大学教授というとなにやら特殊な世界に住む人という印象を世の人は抱いているのではないだろうか? 本書は、一般に流布する通俗的イメージを壊し、実像を明らかにしてくれる。著者が言うには、つまることろ、大学の教員とは「研究することがとことん好きな人」に尽きる。
社会人として、日々過酷な競争の中に身を置いて実務をこなしている人から見ると、大学教授は悠然と好きなことをやり、10年一日のごとく同じ事を教壇から講義し続けていても許される甘い世界にいるように見えてしまうが、そうではないという。飽きることなく研究し続ける徹底した研究心がなければ、続かない世界であると言う。また、社会人の持つ教養は、大学の世界に身を置けば、あっという間に通じなくなるほど底が浅いとも言う。本をあまり読まないと著者には見える大学教授でさえ、年間に少なくとも50冊は本を読んでいるという。それとくらべれば、社会人が忙しい合間を縫って読める本の量は、実はたかが知れている。
そう、社会人が実務経験を売り物に、簡単に横滑りできるほど簡単な職業ではないということだ。底知れぬ教養と、飽くことのない研究心を持ち続けられる人が、一定の様式を整えた学術論文を発表し続け、評価された果てになれるという当たり前のことを教えてくれる。大学の内幕を知らないと、特別な世界との印象を持ってしまうが、そういう通念を否定し、すべての手の内をさらけ出してくれる。ノウハウ本としてはよくできている。
大学教員になりたいという人は世の中にはたくさんいるだろうから、その定石を明らかにしてくれる点で、ありがたいと思う人も少なくないだろう。大学教授という職への適正を図る格好のものさしとして、本書は読まれるべきであろう。