国家戦略からみた靖国問題
著者 岡崎久彦(著)
靖国問題で中国に譲歩してはいけない。日本経済が受ける損害、日本人の安全と繁栄に残す禍根、東アジアの平和に及ぼす影響に計り知れないものがあるからだ。そのことは、台湾の戦略的地位を考えてみればわかる。将来、軍事的にも経済的にも強国となった中国が、中台の二者択一を迫ってきたら、日本はいったいどうするのか? これだけは譲るわけにはいかない。だから今後も日本は、内政不干渉と政教分離の二大原則だけは譲ってはいけないし、ビジネスは立場が弱いから、政府が先に立って守らなければいけないのである――。2003年春の米国によるイラク攻撃に始まり、小泉総理の第二次訪朝、台湾の陳水扁再選、北朝鮮の核武装宣言、中国の反日暴動、そして昨今の靖国問題に至る激動の時代を、国際情勢分析・情報判断の第一人者が長期的視点から読み解く。
国家戦略からみた靖国問題
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
評価内訳
- 星 5 (0件)
- 星 4 (0件)
- 星 3 (0件)
- 星 2 (0件)
- 星 1 (0件)
国家戦略からみた靖国問題 日本外交の正念場
2005/12/05 02:08
最後の敵は・・・
15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の主張は一貫している「日本はアメリカと鉄壁の同盟を維持すべし」。著者は、日本の評論家のなかで最も強く日米同盟強化を訴える岡崎久彦氏である。
本書は、タイトルからすると、靖国問題がテーマの中心に見える。しかし、内容は今後日本はいかなる途を辿って生き抜いていくべきかの戦略本といってよいだろう。 靖国問題などそもそも「問題」と表現する事すらおかしい。日本国の宰相が日本のどの土地に入ろうと、外国が干渉する権利など一ミクロンとてありはしない。断じて、靖国問題に関しては日本に非はない。日本には思想の自由があり、首相にも当然保障されている。外国が首相の思想に介入するなど言語道断である。
論理的にはこういうことだが、岡崎氏は国益の観点から「靖国問題での安易な譲歩は日本経済の大損失を招く」として靖国問題を断じている。それはそうだ。中国人は「柔らかい土は掘りまくれ」という思想の集合体であって、ここで引けば次は教科書、おそらく最後は自衛隊解体問題となるであろう。「軍隊を持つなど反省が足らん」とまではさすがにいえないだろう。しかし「軍隊を持つのは我々も承諾する。しかし、イージス艦やF15は廃棄するのが妥当」などと必ず言い出す。
岡崎氏は徹底的な親米論者であり、確かに日本の戦略として中韓がとても付き合いきれる隣人ではないため、日米同盟しか途はない。しかし、アメリカの日本への経済侵略は半端ではない。
アメリカは建築の国際基準の取り決めにおいて、あからさまに建築大国日本を締め出した。それも中国と綿密につるんで。さらに、いま委員会設置会社などのアメリカ式ガバナンスが押し付けられた。近年司法試験受験生を苦しめる商法改正は、全てアメリカの指令どおりのものだ。起草者は法制局ではなくアメリカだ。それは「年次改革要望書」にはっきりと書いてある。
社外取締役が増えれば、日本の終身雇用を基礎とした会社としての一体感が損なわれ、日本経済の強みは崩壊する。
これだけではない。もう、数え切れない侵略をアメリカはしている。谷垣財務大臣が、週間文春で叩かれているが、これもCIAお得意の女性スパイを使った工作だ。確かめようはないが、文春にはCIAのスパイが山ほどいると言われる。米国に都合の悪い政治家を屠る時、必ず文春が動いてきた。西村眞吾がいまあえて逮捕されたのも、谷垣が屠られようとするのにもアメリカの影ありである。利益の帰するところを考えれば間違いない。お疑いの向きは自分で調べて欲しい(インチキネット情報には注意)。
私は反中だと思われるかもしれないが、本音は日中韓は連合してアメリカに立ち向かうべしと考えている。しかし、核のない日本がいま米国と離れれば日本は滅びる。中国・北朝鮮・ロシアの核は100発以上日本を向いている。いまは東シナ海に潜む米のトライデントミサイルに頼るしかない。故に、まず9条改正、そして核武装しなければ日本人は米国のために永遠に金を稼ぎ続けなければならない。日本の金は、100兆以上、返済されない米国債に費消されている。郵政の金もまず取られる覚悟をしておく事だ。
ちなみに、日本の通信は三沢基地にあるエシュロンの通信傍受システムによって監視されており、日本のことはアメリカが一番知っている。政治家に氾濫の兆しありと分かれば速攻で潰される。これはお馬鹿な謀略論でもなんでもない国際的事実であり、欧州議会も正式にエシュロンの存在を「間違いない」と結んでいる。
結局、最後の敵は米国である。本書は「日米同盟強化」を謳いあげており、今後10年の日本の取るべき羅針盤として極めて有効な一冊である。しかし、06年の商法改正による三角合併解禁ともなれば、もはや戦略を語るほどの経済力は日本になくなっているのかもしれない。そのときは、もう手遅れであろう。