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スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない
著者 藪下史郎 (著)
ジョセフ・E・スティグリッツ(米コロンビア大学教授、69歳)は2001年ノーベル経済学賞を受賞、その一方、現実の経済問題についても積極的に発言しています。本書はその経済理論と思想をわかりやすく解説した本です。著者はアメリカでスティグリッツとともに研究生活を送っていた藪下史郎教授です。
ノーベル賞は「情報の経済学」という分野の研究に対して与えられました。それは、売り手と買い手が持つ情報に差があったり、市場の機能が不完全な場合に、経済的な矛盾が生じることを示す理論です。スティグリッツはそうした理論を基に貧困や不平等、繰り返す金融危機の背景を探り、解決策を提言します。その考え方は「現実の経済には『神の見えざる手』など存在しない」というもので、その点が市場の機能に最大限任せようとする新古典派経済学と大きく異なるところです。グローバル経済が抱える矛盾を、新たな視点で考える大切さを教えてくれます。一般ビジネスパーソンにも読みやすい内容です。
スティグリッツの経済学 「見えざる手」など存在しない
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スティグリッツの経済学「見えざる手」など存在しない
2015/11/23 16:42
2002年出版の解説書を改訂・拡充したもの
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投稿者:nomuleaks - この投稿者のレビュー一覧を見る
2001年にノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツの業績を解説した本である。著者の藪下氏がスティグリッツの受賞にあわせて、2002年に光文社新書から出版した『非対称情報の経済学―スティグリッツと新しい経済学 』の改訂・拡充版と言える。在外研究の時間があり、新たに出版したようである。時事テーマに沿ったアップデートのほか、光文社新書より教科書的な記述を拡充している。単行本でスペースがとれるため、グラフは大きく掲載されている。スティグリッツ『経済学』の翻訳と同じ東洋経済新報出版社だからか、スティグリッツの教科書からの説明、翻訳者が独自に盛り込んだ補論から多く盛り込んでいる。すでに光文社新書の方を読んでいる場合には新たに得るものはないだろう。新しいのでこれからスティグリッツの業績を知りたい方はこちらでいいかもしれない。