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心を鍛える言葉
著者 白石豊(著)
心は苦しいことに耐えて頑張っていれば強くなるわけではなく、トレーニングをすることで鍛えられる。そのトレーニングの時に注意したいのが「言葉」。言葉は心に多大な影響を及ぼし、言葉によって不安や緊張を感じることもあれば、自信や意欲に満ちあふれることもある。スポーツだけでなく、ビジネスや生活にも応用できる、言葉を使った心の鍛え方を指南する。
心を鍛える言葉
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紙の本心を鍛える言葉
2011/04/10 19:40
ここに書いてあることを守ることができたら、誰でも何かの成功者になれるという確かさはどこになるのだろうか
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
2004年12月にNHK教育テレビで放送された「日本語なるほど塾-心を鍛える言葉-」を基に、というかその時のテキストに加筆修正をしたものといった感じで、最近のNHKがよくやる手だ。
著者はスポーツ選手にメンタル面でのアドバイスを行っている大学教授で、自身もかつてはスポーツ選手であり、体操等のコーチの経験もあるという人らしい。
家族が、2004年頃にテレビを見ていて、この著者の話にえらく感心していたのを覚えている。一番感心していたのはこの本の第6章にもある「「頑張れ」だけで頑張れ」るかということだったように覚えている。ついつい口をついて出る「頑張れ」という言葉かけでは頑張れないし、むしろ萎縮したりして思ったような成果を出せないものだということだ。
そういったことも含めて、この本では意欲の問題、自信をつけること、集中力を高めること、感情をコントロールすることなどを中心に、著者自身のメンタルトレーニング・コーチングの背景にある座禅の話とそのきっかけになった川上哲治氏との対談といった構成になっている。
いずれも著者自身がスポーツ選手やスポーツ関係のコーチであったという経験とそこから導き出された理屈からきているので、概ねスポーツ・トレーニングに一番応用が効きそうな話だ。
それぞれ面白い話や、日常で活用できそうな話もあるが、一歩下がって見てみると、これらのことはいずれも心理学などでも言われていることのような気もする。人間のメンタルな問題を扱うわけだから、言葉や表現は異なるもののいずれも同じような中身になるのは当然と言えば当然だろう。実際この本の中でも、内観療法について触れられているところがある。内観療法そのものが心理学とか精神医学のメインからは少しはずれたところにあるものだけれど、それでも決して遠いものではない。
とすると、そこに何か説得力を持たせるものが必要となる。心理学や精神医学では科学性を持たせることで万人に納得がいくような説明をできるように努力しているのだと思う。
では、ここで取り上げられているメンタル・トレーニングについてはどうだろうか。先に挙げた内観療法を応用してみたり、禅の実体験から派生させたりと、著者自らが経験から導き出したもの、あるいは有名スポーツ選手、コーチらの体験談から考え出したものであるようにしか読めないのだが、どうだろう。
もちろんそういったものが頭から否定されるべきものではないし、実際に役に立つこともあるので食わず嫌いをする必要もないとは思う。
それでも、そこを超えたものを提示することでこそ、合理的で誰にでも可能となるトレーニングと言えるのではないだろうか。
もっともこの本や基となっているテレビ番組は、トレーニングの有効性について声高に言っているのではなく、日本語と言う言葉そのものが持っている面白さや力を語っているのだったとは思うのだけれど。