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4件
ホームレス中学生
著者 田村裕
テレビドラマ化や映画化にもなった、222万部突破の大ベストセラー『ホームレス中学生』が電子書籍化!
麒麟・田村の、せつな面白い貧乏生活が小説に!
中学生時代の田村少年が、ある日突然住む家を無くし、近所の公園に一人住むようになる超リアルストーリー。
ダンボールで飢えを凌ぎ、ハトのエサであるパンくずを拾い集めた幼き日々から、いつも遠くで見守ってくれていた母へ想いが詰まった、笑えて泣ける貧乏自叙伝。
ホームレス中学生
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ホームレス中学生
2007/09/18 20:04
生きる元気を分けてくれる一冊だ。
27人中、24人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由良 博英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
お笑いコンビ「麒麟」の田村裕さんの自叙伝。差し押さえられた家の前で、父より突然の「解散!」宣告を受けた田村さん一家。兄姉とも別れ、公園の遊具のなかで、ひとり著者のホームレス生活が始まる。ダンボールを水に浸して食べて空腹を凌いだこともあった。苦しい境遇の余り、死を考える日もあった。亡き母への想いも込みあげる。しかし、田村さんは多くのひとに支えられ困難を乗り越えていく。生きる元気を分けてくれる一冊だ。
ホームレス中学生
2008/01/14 12:32
芸人というもの
22人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
田村裕さんは正しい芸人の道を歩んでいるというだろう。昔から日本人は芸人を「河原乞食」と言って差別してきた。芸人のルーツは乞食なのである。まともな人間のなるものではないのである。しかし差別がタブーとなって戦後、次第に芸人と堅気の境界線があいまいになってきた。ただの芸人を「セレブ」などと奉って、堅気の職業を「リーマン」などと蔑む愚か者さえ巷には出てきた。中には菊川伶のように桜蔭女子中・高から東大を出ているくせに芸人に成り下がる輩まで出てきた。私の尊敬する山本夏彦さんはこうした風潮を「結構であるように見えて結構でない」と切り捨てた。「芸人が貯金するのは間違っている。芸人は稼いだ金をその場で使いきらねばならない」と断言した。芸人とは、マトモな人間がなるものではないのである。本書の著者である田村さんのように崩壊した家庭、破綻した家庭に生まれ、全く失うものがなくなった人間が仕方なくなるものなのである。芸人として大成した萩本欽一も零落した大金持ちの息子で仕方なく芸人になり大成したわけだが、巨万の富を蓄えこれで苦労した母親に孝行しようと申し出たが、その母親は「お前には芸人だけにはなって欲しくなかった。そんな不浄なお金などみたくないし触りたくもない」と最後まで欽一に会おうとしなかったという。かつての日本人はこうして矜持を保ったのである。筋を通したのである。平等、平等を叫びすぎて、人間として持つべき本来の筋、本来の価値観、本来の人生観というものを思い出すためにも、本書は必読であるといえよう。
ホームレス中学生
2008/06/11 22:41
ホームレスについてあれこれ
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホームレス中学生 田村裕 ワニブックス
これからママになる女性にぜひ読んでいただきたい本です。男の子はお母さんが大好きです。たとえば、息子が犯罪者になったとしても、私の育て方が悪かったのです。息子にはなんの責任もありませんと息子をかばうのが、「おかあさん」です。
さて順番に感想です。中学生の彼はなぜ家と父を失ったときに兄と姉と行動を共にしなかったのだろう。この本を読み始めたときに読んでいた英字新聞にロシアでこどものホームレス問題が深刻だという記事が出ていた。親はアル中、あるいはこどもを虐待する、そんな家庭から逃げるためにこどもたちがホームレス化している。彼の本にはまだ笑いがある。助けてくれるご近所がある。日本はあたたかい国だ。この国に生まれてよかった。
彼以外にもホームレスはいるということで、ホームレスがらみの本として2冊を記したい。「ホームレス作家」松井計、幻冬舎、妻子もちの小説家が原稿料がもらえなくて都営住宅を退去となりホームレスになってしまったというものだったと思う。「洞窟(どうくつ)オジさん」加村一馬、小学館、やはり中学生だった作者が家出をして栃木県足尾銅山(あしお)の洞窟でホームレス生活を始めたというものでした。本の感想に戻ります。
映画の台本にできる本です。ドラマもいける。行方不明になっている父親とのことも含めると劇団ひとり著「陰日向に咲く」(幻冬舎)の中にある項目につながっていきます。
家族そろって仲良く平穏に暮らしているということはものすごく幸せなことです。そして簡単そうにみえるけれど、そういうことがとてもむつかしいのです。
118ページでお兄さんが作者に高校進学を強く勧めます。わたしは胸にジンときました。130ページでは教師が彼の良き聞き役になってくれます。映画「二十四の瞳」壺井榮著を思い出しました。大石先生が家庭のことで苦労している教え子女性に「先生は何もしてあげられないけれど、話してごらん。一緒に泣いてあげる。一緒に泣いてあげることしか私にはできない」というようなことを語ってくれます。教師は演説家ではなく、よき聞き手であってほしい。
生活保護を受けていたことはぼかしたほうがいいと思う。客観的にみて、3人のきょうだいたちはそれぞれ働ける状況にあったと感じました。やはり、自分の食事は自分で働いたお金で食べるのがあたりまえであり、何よりも幸せです。後半にあるごはんの食感とか卵の話は愉快です。
実名入りで本を出すということはとても怖いことです。周囲の人たちに迷惑をかけることになります。最後の方で作者自身が少し触れていますが、やはり出版社の人たちの配慮が欲しかったと感じます。とくに高校のランク付けはいただけません。
最後に、芸人になるためには、他の誰ももっていないユニーク(唯一)な経験とか生い立ちが必要と感じました。