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あまたの星、宝冠のごとく
著者 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア , 伊藤 典夫
地球からの異星調査隊が不思議な共生生物と出会い深い関係を結ぶ「いっしょに生きよう」、神の死の報を受け弔問に来た悪魔の考えた天国再活性化計画が意外な展開を見せる「悪魔、天国へ行く」、55年後の自分と2週間だけ入れ替わった男女が、驚愕の未来に当惑する「もどれ、過去へもどれ」など、その生涯にわたってSF界を驚かせ強い影響を与え続けてきた著者による、中期から晩年にかけて執筆された円熟の10篇を収録。
あまたの星、宝冠のごとく
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あまたの星、宝冠のごとく
2016/06/20 23:07
ティプトリーの毒をベルリンで読む
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:初音の鼓 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベルリン行きの飛行機の中と現地で、ティプトリーを読み、その毒を十分に味わった。神も仏も天使も悪魔も、老人も若者も、女も男も、時間も空間も宇宙さえ毒を含み広がっていく。CIA職員であったティプトリーにとって、この世界はこのように見えたのだろうか。「壁博物館」には1963年のケネディの西ベルリン訪問の写真があった。ティプトリーの毒は消しゴムで消せない毒。飲み込み味わざるを得ない毒。すごい作家だ。この短編集で一番気に入ったのは「昨夜も今夜も、また明日の夜も」。物陰の男がなぜコートを着るのに苦労するのか、ティプトリーらしい。