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行動経済学の逆襲
著者 リチャード・セイラ―,遠藤 真美
従来の経済学は完全に合理的な人間像を想定してきたが、そんな人は地球上に一人もいないのでは?根本的な疑問を抱えた「ぐうたら」経済学者は、意思決定の不合理を探求する心理学者たちに出会う。彼らとの協働はやがて「行動経済学」という新たな学問へと結実していくが、それは同時に、学界の権威たちとの長きにわたる戦いの始まりだった……。ノーベル経済学賞を受賞した異端児が、行動経済学の軌跡と喜怒哀楽を語りつくす!
行動経済学の逆襲 上
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紙の本行動経済学の逆襲 上
2020/07/31 21:29
心理的要因も重要なファクター
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごり - この投稿者のレビュー一覧を見る
近代まで経済学は数字と計算で経済自体を解明しようとしていました。
しかし、その計算された結果では説明のつかない部分について、人間の行動心理にも着目して経済を解明しようとする行動経済学について書かれています。
数学の計算みたいにキッチリと結果のでないことは、経済学だけではないですよね、
人間の心理行動も大きな影響を与えていること。
この本をよ見終わると、今度は心理学の本も読みたくなるかも。
紙の本行動経済学の逆襲 下
2020/01/23 19:38
行動経済学の逆襲 下
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済学者と行動経済学者の論争に最後は実学として進歩した行動経済学が認められた苦労が面白かったです。経済学の理論はある決められた条件の基本系としては素晴らしい概念だが、ヒューマンの世界は違い、そこに心理学がかかわり、時代背景とともに理論も進化するところが現在の学問として面白いと思いました。
紙の本行動経済学の逆襲 上
2019/12/25 21:34
講堂経済学の逆襲
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
講堂経済学が心理学に近い概念で進んでおり、経済学で説明できない事実をわかりやすく教えてくれるものだと思いました。サミエルソンやモジリアーニなどの経済学者ずでてきて面白い出来だと思いました。学問は布分野と融合して別な学問になり、経済学の分野ものちに古典となる気もしました。
紙の本行動経済学の逆襲 上
2022/02/18 12:22
老舗学問の権威に挑戦する「冒険譚」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あごおやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーが、一般均衡理論を基にした正統派経済学に異議申し立てを行い、「行動経済学」という新たな学問分野を世に認知させた物語(さながら冒険譚!)を、実例を交え、ユーモアとウイットの効いた軽快な文章で語ります。
上巻では、経済学者たちが前提とする人間像(ホモエコノミカス=「エコン」)からは到底導かれるはずのない、巷の人々の「おかしな行動」を黒板にリストアップしていたセイラー氏が、二人の心理学者との出会いをきっかけに、生身の人間(ヒューマン)の行動特性を加味し、心理学をはじめとする社会科学を融合した新しい経済学への道を拓いて行く過程が描かれています。
セイラー氏は、「(従来の)経済モデルは人間の行動に関する誤った認識に基づいてつくられているが、皮肉にも、そうしたモデルがあるおかげで、経済学は最強の社会科学とされている」と述べていますが、核となる統一理論が確立され、公共政策へ絶大な影響力を持つ老舗学問の世界において、新たな理論を唱えるには相当の障壁(セイラー氏はこれを「棒打ち刑」と呼んでいます)があったようです。いわゆる異端児扱いだったようです。よく「学際的な研究」と言いますが、学際の上辺を撫でるだけではなく、言葉は悪いですが、血を流すような探究の記録が伺えます。従来のエコンのモデルにおいては、「意思決定とは無関係とされている要因」に目を向け、「おかしな行動リスト」に掲げられた、人々の「??」な選択や行動を分析し、「通常の経済学よりもおもしろくて楽しい」行動経済学が確立されていきます。上巻では「サンクコスト」「後知恵バイアス」「ハウスマネー効果」「損失回避性」「現在バイアス」「条件付き協力者」などのタームについて、思わず笑ってしまうようなエピソードを踏まえて紹介されています。
なお、本書の原題は“The Making of Behavioral Economics”で、これを邦題では「行動経済学の逆襲」としています。セイラー氏が既存の権威に果敢に挑戦するニュアンスを「逆襲」と表したのでしょうが、セイラー氏の軽妙な語り口(しかし、欧米の知識人のユーモアのセンスには、ただただ脱帽です)からは、むしろ「行動経済学の冒険」がふさわしいようにも思います。
紙の本行動経済学の逆襲 下
2022/02/18 12:24
老舗学問の権威に挑戦する「冒険譚」
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あごおやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーが、一般均衡理論を基にした正統派経済学に異議申し立てを行い、「行動経済学」という新たな学問分野を世に認知させた物語(さながら冒険譚!)を、実例を交え、ユーモアとウイットの効いた軽快な文章で語ります。
下巻では、行動経済学が、行動バイアスが重要な意味を持つ金融市場へと挑み、「効率的市場仮説」にメスを入れます。また、企業の退職準備貯蓄口座への拠出増を図るために行動経済学の知見が実装され、それに伴い理論体系が徐々に確立されていきます。その過程で、「反・反パターナリズム」「リバタリアン・パターナリズム」「ナッジ理論」「選択アーキテクチャー」という馴染みのある言葉が現れてきます。
イギリスのキャメロン政権下では、税金滞納者に対する督促状の文言に、ナッジ理論を取り入れた取組みが採用されます。滞納者に対し、「大多数の方が税金を期限内に支払っています」「ごく少数の方が税金を期限内に支払っておられず、あなたはその一人です」と、自身が社会の外れ者になっていることを柔らかく伝えるものですが、これなどは、日本人のいわゆる「恥の文化」の感覚に近いものが感じられます。であれば、我が国の公共政策のデザインにも活用が期待できるのではないでしょうか。
終章で、セイラー氏は「私たちに必要なのは、理論面であれ、実証面であれ、よりエビデンスに基づいている経済学だ」と述べています。お手盛りの公理を過度に絶対視しない、すべての学問に通底する探究姿勢のあり方がそこに現れていると思います。
なお、本書の原題は“The Making of Behavioral Economics”で、これを邦題では「行動経済学の逆襲」としています。セイラー氏が既存の権威に果敢に挑戦するニュアンスを「逆襲」と表したのでしょうが、セイラー氏の軽妙な語り口(しかし、欧米の知識人のユーモアのセンスには、ただただ脱帽です)からは、むしろ「行動経済学の冒険」がふさわしいようにも思います。