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人体六〇〇万年史
非力なヒトはなぜ厳しい自然選択を生き残れたのか。走る能力の意外な重要性とは何か。脂肪が健康を害するなら、なぜヒトの体は脂肪が溜まりやすくできているのか。2型糖尿病など、現代人特有の病はそもそもどうして現れたのか……。人類進化の歴史をさかのぼることは、不可解な病がどこから来たのかを教え、ヒトの未来を占うことにもつながる。「裸足で走ることへの回帰」を唱えて名を馳せた進化生物学者リーバーマンが満を持して世に問う、人類進化史の決定版。
人体六〇〇万年史 上
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2016/02/18 17:10
ミスマッチ病は進化の代償か?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人体は環境の変化でこの形になり、自ら環境にも影響してさらにまたその形を変えていく。本書はヒトの体の歴史を環境との関係から考察し、まとめたものである。
邦訳の上巻部分は霊長類からヒトへの進化から農耕文化の頃まで。段階を追って環境と人体構造の変化が起きたことを丁寧に説明する、事実の列挙的な感が多い。下巻になり産業革命などの影響を語る部分から、次第に著者の主張したいことが明確になってくる。
ミスマッチ病という言葉がキーワードになってくるのだが、自分なりに要約すると現代的な病気は人間が環境に適応していく変化の速さよりも環境を変化させる速さの方が速く、そのために起きたものだということだろう。わかっていても甘いものがやめられないとか、具体的な身近な話題に近づけて説明されているのでわかりやすい。しかし問題は大変複雑だということがわかってくる。
身体の変化速度が追い付かないほど環境を変化させている現代の私たち。便利になることのジレンマというのだろうか。本書は悩ましいが重要なポイントを理解させてくれるものだった。