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17件
鹿男あをによし
著者 万城目学 (著)
テレビドラマ化もされた大ベストセラー、ついに電子化。
大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声が鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは? 古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー!
鹿男あをによし
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鹿男あをによし
2010/08/16 19:55
ユニークな痛快さ
18人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
すでに、玉木宏のTVドラマを見た人も多いと思うのだけれど、そして私もそうした組なのだけれど、ともかくもこれは小説として読むことをおすすめします。小説として、とてもよく書けているし、何と言っても、ユニークさにおいては、今日、他の追随を許さない。
いわゆるミステリー仕立てといえばそうなのだけれど、そしてそこに奈良の歴史に関わる、マニア好みの細部が盛り込まれては行くのだけれど、主人公にとってそうであるように、あるいはそれ以上に、予想もしなかったことが、この小説では次々と起こる。そして、そのユニーク過ぎるアイディアの数々が、マキメ氏の文体によって、いかにリアルに見えることか。もはや、驚くしかない。
今や、直木賞候補作家にもなったマキメ氏だけれど、『鴨川ホルモー』もそうであるように、関西を舞台として展開される氏の世界は、文字通り作家固有の世界観を遺憾なく提示しており、圧倒される。しかもそれは、読んで読みやすく、興味を引かれ、先を知りたくなり、するすると読み進める内に、スリリングな興奮がある。もちろん、設定をはじめとして、小説それ自体の完成度も秀逸なもので、現代文学の傑作(の1つ)といって言い過ぎではないだろう。
鹿男あをによし
2015/01/10 21:18
さすが人気作家の人気作品は、職人技の仕掛け
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
万城目学の作品を初めて読んだ。
とっくに売れっ子作家で、
2007年刊行のこの『鹿男あをによし』を皮切りに
今度の『悟浄出立』でもう5回ぐらい直木賞にもノミネートされているようだから
今やっと読むのは遅すぎるぐらいなのだが、
タイプ的には自分の読む小説ではないように思っていた。
だが縁を得て読んでみると、さすが、という感じで楽しめた。
この本はデビューから2作目だというのに完成度はすこぶる高い。
かなり緻密な計画のもとによく練られた作品という印象である。
まずもって意識させられるのは夏目漱石だろう。
未知の土地に新米教師として赴任する「おれ」という語り手、
そこでの生徒たちとのすったもんだ、
いろいろ癖の有りそうな周辺の人物、そしてマドンナも登場する。
『坊っちゃん』の本歌取りであるのは明らかだ。
その『坊っちゃん』に、題からもわかるようにファンタジーが加わる。
そのファンタジーの、大元の設定のところで謎解きミステリーでもある。
剣道の大会など、学園生活の魅力もあるし、
そしてほのかなロマンスの香りを残して終わる。
お見事。
語り手の性格が飄々としてとぼけた味があって楽しい。
全体にユーモラスな筆致なのもこの作家の特徴なのだろう。
また雰囲気が違うらしい『悟浄出立』と
数日後に発表される直木賞の行方がかなり気になってきた。
2021/04/11 05:53
おもしろい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
神社にまつられている生き物の由来、各地域のならわしのような事が話のなかにうまく取り入れられていて、とてもおもしろかったです。