電子書籍
ほげらばり メキシコ旅行記
著者 小林聡美
行ったことないし、暖かそうだし、ま、いいか、の気軽な気持ちで出掛けた十六日間で六カ所を回るメキシコの旅。陽気なクラシック音楽に乗せて強制される疲労困憊の遺跡めぐり、アヤシイ日本料理店、牛の轢死体、アシカを求めて強行される凍えるシュノーケリング……。体力と気力の限界に挑戦した、書くは涙、読むは爆笑の傑作紀行エッセイ。
ほげらばり メキシコ旅行記
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2001/05/21 00:09
「ほげらばり」って、何だ?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nme - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、旅につきものの4つのツボをしっかりと押さえている。
まず、「ハプニング」。翻弄されまくりの道中が臨場感たっぷりに書かれていて、手に汗握りながら笑うことができる。
次に、「カルチャーショック」。ラテン・パワーに張り手を食らいながらも、土俵際辛うじて冷静にツッコミを入れている姿が可笑しい。
そして、「出会い」。ラモスという女の子とのスペ日会話とゼスチャー大合戦から、ポラロイドカメラを通じて芋づる式に出会いが広がっていく「ラモスとデイト」の章は、じんわりとあたたかい旅の醍醐味をおすそ分けしてもらったみたい。
最後は、「感動的な体験」なのだけれど。遺跡めぐりも、リゾートビーチも、シュノーケリングも、ちっとも感動的じゃない。むしろ苦渋に満ちている。そう、旅の最中というのはたいていつらくて倦んでいるものなのである。むやみに感動ぶっていないのがいい。
郷に従わないこともなければ、従いすぎることもない。彼女のサバサバ、飄々とした人柄そのままの筆致で、この等身大の紀行記は書かれている。彼女も人並みに弱音を吐く。でも、それを楽しみや笑いに変えてしまうパワーは人並外れていると思う。
メキシコに行きたくはならないが、彼女の旅のしかたがうらやましくなってしまう、そんな1冊。旅は「ほげらばり」で突進あるのみ。
2002/07/22 12:25
メキシコという国に偏見を持ってしまった!
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りんご酢 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ほげらばり」という題名でまず興味を持つ人もいるのではないだろうか? 表紙をよく見ると書いてあるのだが、「ほげらばり」というのは英語で「Forget about it」のことで、作者いわく「な〜んちゃって」とか「いいの、いいの、気にしないで」とかいう意味らしい。
作者というのはあの三谷幸喜氏の奥様で、女優の小林聡美さんだ。感じたままをそのまま文章にしたという、彼女のメキシコ珍道中を綴ったものだ。なぜメキシコなのか? というと「行ったことのない国だし、日本より暖かそうだから」という理由らしい。
旅行記というのは、元来読者に共感を抱かせ、行ってみたい! とさせるものだと思っていたが、その考えは180度変わった。この本を読んでまずメキシコに行きたいと思う人はいないんではないか?と思う。「塩味あんこ」という一言で表されるメキシコ料理、標高2千メートル以上の観光は疲労困憊でしかないという出だしからしても旅行というより、罰ゲームで飛ばされたという感覚にしかとらえられない。