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独学の時代 : 新しい知の地平を求めて
著者 米本昌平 (著)
大学で全共闘運動に遭遇し、管理化された大学に背をむけ、企業に就職。以来、常にアカデミズムの主流の科学観とは異なる新視座を拓き、科学と政治、科学と社会のあり方に警鐘をならしてきた著者の半自伝的科学史。
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2002/11/14 22:59
哀しき全共闘世代
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みゆの父 - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕は「三無主義」と呼ばれる世代に属していて、いつまでたっても全共闘世代に頭が上がらない、というよりも、わからない。「大学解体」と言ってたわりには、知識人になった人が多いし、「連帯を求めて孤立を恐れず」とか叫んでたわりには、エリート街道に乗ってる人が多いし。
この本は、そんな全共闘世代に属する米本さんが書いた半自伝だけど、やっぱりよく分からない。「残る一生は、京大理学部を呪いつぶすために道なき道を歩く」(96頁)と決意して在野の科学者になったそうだけど、ちゃんと恩師(白上謙一さん)は「嵯峨野通い」(110頁)を認めてくれたし、三菱化成生命研究所に就職できたのも一人の大学人(中村禎里さん)がサポートしてくれたおかげだった。それを「アカデミズムの中に共犯者がいた方が、研究がすみやかに進む」(182頁)って言われたら、立つ瀬がないだろうなあ。
おまけにこの研究所は「本社社員と同格の給料が支給され、研究費が認められ、一日二四時間、一年三六五日、研究に没頭してよい」(208頁)そうで、地方の弱小大学の教員が聞いたら、それこそ悶絶しそうな研究環境じゃないんだろうか。
「勝ち馬には乗らない、大勢には迎合しない」(241頁)と見栄を切る傍らで、政府の方針で「国立大学は、二〇〇四年から独立行政法人になる」「いまこそ大学解体論を」(244頁)と叫ばれても困るし。これじゃせっかくの「基本的人権としての真理探究権」(192頁)っていうコンセプトも、どこまで本気なのか疑われてしまうんじゃないだろうか。本当にもったいない。まぁ屈折した自分の気持ちを正直に素直に書いたのは立派だけど、それだけの本。