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16件
乱反射
著者 貫井徳郎
幼い命を死に追いやった、裁けぬ殺人とは? 街路樹伐採の反対運動を起こす主婦、職務怠慢なアルバイト医、救急外来の常習者、飼犬の糞を放置する定年退職者……小市民たちのエゴイズムが交錯した果てに、悲劇は起こる。残された新聞記者の父親が辿り着いた真相は、法では裁けない「罪」の連鎖だった!
乱反射
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乱反射
2016/08/23 02:27
法で裁くことのできない行為について考えさせられる
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱやぱや - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めてから,登場人物の多さに少し驚きました。しかし,読み進めていくうちに登場人物たちの行為がどんどん繋がっていく。このストーリー展開には,ただただ感動しました。貫井徳郎さんの文章力はすごいなと素直に感じました。
作品で描かれている人間の嫌な部分,自分勝手な考え,怠慢・・・それらに腹立たしく思うこともあるでしょう。正直,読んでいて嫌な気分になることもありました。なんでこんな考えをするんだ?おかしいだろう!と。読後感もよくはないでしょう。しかし,もしかしたら自分にもそういうことろがあるのではないかと考えさせられました。
登場人物たちの行動は,それだけをみれば些細と言っていいほどのルール違反,モラルが欠けたものだと言って済むようなもの。しかし,それらが組み合わさることによって,最終的に人の命が奪われることもあり得る。法で裁かれるのは結果を直接引き起こした者。しかし,結果を間接的に引き起こした多くの者は法で裁かれません。そのことについても深く考えさせられました。法で裁かれないとするならば,自分で自分を裁くしかない。自分の行為を深く反省し,被害者に誠意をもって謝罪をする。法で裁かれない者ができることはそれくらいしかないのではないのかと思い至りました。
今後は,今まで以上に自分の行動に責任をもち,規範意識をより強く持って生活していきたいです。
なお,貫井徳郎さんの本は読んだことがなかったのですが,乃木坂46の齋藤飛鳥さんのおすすめだったので初めて読みました。読んでよかったです。
乱反射
2012/01/24 22:22
どこにでもいる人々、どこでも見られる光景
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジアラト - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこにでもいる普通の人たち。怖ろしいばかりに実際の人々をトレースして書かれているようで、自分や知人とその存在が重なっていった。そして、彼らの、ほんの僅かな、身勝手・怠慢・見栄・責任放棄などの微かな不道徳による罪悪感。群像劇における彼らの行動が、如何なる展開を生んでいくのか? 物語を読み進めるリーダビリティとサスペンスは、読者の心を掴んで離さず、やがて恐ろしい因果を紡ぎだしていく。
この話は、決して他人事なんかではない。私たちの周りでも当たり前にある、どこにでもある光景なのだ。
2023/04/28 23:24
だいすき
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本が今まで読んだ本の中で1番好きです。
本好きの友達がいないのでおすすめしても誰も読んでくれなくて哀しい