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中世王朝物語全集
著者 編:片岡利博,編:大槻修,編:大槻福子,編:鈴木一雄,編:伊藤博,編:石埜敬子,編:阿部好臣,編:中西健治,編:常磐井和子,編:室城秀之,編:桑原博史,編:田淵福子,編:辛島正雄,編:宮田光,編:稲賀敬二,編:今井源衛,編:森下純昭,編:妹尾好信,編:福田百合子
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あきぎり(あきぎり)福田百合子[校訂・訳注]荒れた三条邸に住む姫君と契りを結んだ三位中将だが、妻の母や乳母の祈祷によって訪れが絶えてしまう。両親とも亡くして流浪する三条の姫君は、密かに三位中将との間の姫君を出産。やがて東宮に入内し、即位に伴って中宮に上る。三位中将は失意の中に病死する。男女の明暗の対照を鮮やかに描き出す、新出の孤本の初の注釈書。浅茅が露(あさぢがつゆ)鈴木一雄 伊藤博 石埜敬子[校訂・訳注]日月の光にも譬えられる二位中将と三位中将。色好みの二位中将は、帝の姫君に失恋し、失意の中、面ざしの通う姫君と方違え先で契る。その姫君は義父の邪恋から逃れて身を隠し、密かに二位中将の男子を出産するが、息絶える。一方、道心あつい三位中将は、偶然、二人の形見の男子を見出だし、しかも蘇生した姫君とも出会う。多様な人間模様を謎解きふうの構想に織り込めた魅惑的な物語。
中世王朝物語全集〈1〉あきぎり・浅茅が露
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2019/06/14 21:23
百合小説の濫觴
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投稿者:グラス - この投稿者のレビュー一覧を見る
全八段から構成され、上下巻に四段ずつ収められている。
日本文学史上に輝く「百合小説」の濫觴として有名な本作であるが、文章は難しい。下巻の校訂者である片岡利博氏も、後書きで「ひとりよがりな文章」と評している。
ただ、詳細な註と現代語訳が備わっているので、古文が苦手な人でも楽しめる内容である。
上巻の前半四段はオーソドックスな王朝物語。題名になっている「わが身姫」による、自分の出自探究について語られるのだが、「わが身姫」のキャラクターが薄く、感情移入できない。また前半四段だけで25年ほどが経過するため、個々の登場人物のキャラ立ちが弱い。
下巻の後半四段は、段毎に概ね一人の人物を中心にすえる構成。そのうちの第六段に、ここまで存在が一切触れられていなかった「女帝」の腹違いの皇妹「前斎宮」が唐突に登場。ちょっとしたサイドストーリーで、この女主人公が、おばかな「百合っこ」。天真爛漫でいたずら好きで、読んでいて非常に楽しい。
反面、第七段では、中宮がセックスレスの関係を望みながらも、状況からその関係を維持できずに懊悩する姿が描かれるなど、「女性」であるが故に苦しむ「女性たち」の姿が描かれている。