- みんなの評価
1件
シャーロック・ホームズ対伊藤博文
著者 松岡圭祐(著者)
ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と戦ったシャーロック・ホームズは、兄マイクロフトの助けを借りて日本へ向かった。イギリスに来ていた際に面識をもった伊藤博文のもとで世話になっていると、日本を訪問していたロシアのニコライ皇太子が、警備中の巡査に斬りつけられ負傷をした。日露の関係を揺るがす一大事件に、ホームズは伊藤博文とともに巻き込まれていく――。日本の新たなホームズ譚を描き出す、極上の歴史ミステリ!
続シャーロック・ホームズ対伊藤博文
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
シャーロック・ホームズ対伊藤博文 改訂完全版
2024/06/16 06:34
内容、読了感、共に満点で一日で読める大作
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オワコンテレビ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルは「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」と伊藤博文が悪役のようですが、実際はとても格好いい、日本でのワトソン君的存在でとても好感が持てました。モリアーティー教授との対決の『最後の事件』から復帰した『空き家の冒険』の間の、謎の空隙期間は日本に行き、イギリスの極東外交での最大ライバルであるロシアとの外交問題に取り組んでいた、というとても画期的なアイディアで、当時の時事問題を見事に練り上げた、隙の無い作品だと思います。空き家の冒険でホームズが行方不明の間に何をしていたかとサラリとワトソン君に説明した部分を見事に埋めていて、シャーロックホームズの帰還シリーズ以降はコカイン使用のシーンが一切出てこないことも見事に描かれています。松岡先生のホームズシリーズへの敬意と、幕末明治維新期への知見の深さを感じさせられました。
とにかく隙のない構成に、キャラクター設定と配置の絶妙さ、思いもよらぬクライマックスへの展開、そして何より伊藤博文が格好良かった。特にラストシーンのホームズとの日本でのお別れのシーンは伊藤博文の心意気に思わず目頭が熱くなりました。450ページの内容ですが、一日で一気読みできてしまう、正に本物だと思います。