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闇の聖域
著者 佐々木譲(著者)
警視庁を退職して満洲・大連警察署特務巡査となった河村修平は、初勤務早々、殺人事件の捜査に携わる。被害者男性の首には頸動脈を狙ったような傷があり、修平は東京で起こった殺人事件との類似に気づく。一方、新進画家の中村小夜は街で偶然出会った青年ルカへの想いを深めてゆくが、彼には一族にまつわる秘密があった。やがて小夜は警察が事件の容疑者としてルカを追っていることを知る。ただならぬ予感に満ちた圧巻のサスペンス×ロマンス長篇。
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闇の聖域
2024/01/28 21:37
日本統治下の大連を舞台にした警察小説
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投稿者:こばとん - この投稿者のレビュー一覧を見る
警視庁を退職し、満州国大連の警察署に赴任した河村修平が遭遇する連続殺人の謎に挑むミステリー。
河村修平は神戸から船(ばいかる丸)で4日かけて大連に到着し、すぐに警察署の刑事課に登庁する。特務巡査として勤務するのだ。ところが赴任した翌々日に、早くも殺人事件が勃発する。写真館の主人・赤松が操車場に近い人気の少ない場所で、何か鈍いもので頸動脈を切られて殺されたのだ。修平と上司の高安は、赤松の写真館を捜索し、3人の男が写る写真を見つけるが、そのうちの1人が、修平が東京を離れる直前に殺された女衒に似ていることに気づく。赤松殺しの捜査を始めるとすぐに、今度は東亜奨学会の主幹・井上が同じような手口で殺されているのが見つかる。井上は、実は軍の特務機関員の土田大尉だった。
修平は、写真が撮られた場所が気にかかる。もしかして、そこはシベリア出兵で日本軍が一時占領していた浦塩(ウラジオ)ではないのか?そして第4の殺人が起こる。
話は大連で画廊の手伝いをしている若き画家・中村小夜のほのかな慕情の進行や彼女が患っているパーキンソン病と思しき病気の進行具合を交えながら一歩一歩と進んでいく。そして、最後に…。
最近の佐々木譲氏は時間旅行をテーマにした、あるいは絡ませた小説をいくつも執筆しているが、本作では時間旅行ならぬ“特殊能力”が絡んでくる。この点、好みが分かれるところと思いますが、いつもながらの疾走感満点の佐々木譲節炸裂で、十分楽しむことができました。