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愛すべき娘たち
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愛すべき娘たち (Jets comics)
2010/04/10 13:39
作者の抜群の構成力に唸る連作短篇漫画
14人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
血のつながった母親と娘の間に生まれる愛と憎しみ、血がなまじつながっているだけにどうにもならない業(ごう)の深さ。分かっていると思っていた親友の気持ちが、いつかずっと遠い所へと離れてしまっていることを知った悲しみ。五つのエピソードのなかに、女の愛の色々な形、思いの有り様が鮮やかに描き出されていて、引き込まれました。
なかでも、思いがけない所に話が着地するストーリーの深みに舌を巻き、震撼させられた「第3話」が凄かった。お見合いした男の人柄に惹かれ、「この人となら」と思って付き合っても、結局、その男を誰よりも大切に想うことができずに苦しむ女を描いた話。このエピソードの主人公、莢子(さやこ)と、足の不自由な相手の男がお付き合いしていくその雰囲気がとても素敵でいいものだっただけに、話の成り行きには割り切れないものを感じましたね。と同時に、本人にもどうしようもない生まれついての業のようなものを感じて、ぐいっと心を掴まれ、持っていかれる話でした。名品、と言うしかありません。
本書の表紙カバーに描かれている如月(きさらぎ)雪子が、それぞれのエピソードをつなぐ橋渡し役として登場し、五つの話が回っていく趣向も気が利いていますね。登場人物同士のつながりによって、それぞれの話もつながり、ひとつの環として紡がれていくというオムニバス・スタイル。話の構成、展開の上手さに拍手。
雪子の母親が容姿にコンプレックスを抱くに至った幼児期のトラウマが、「最終話」で明らかにされるところも、作者の構成力の抜群の力量を示すもの。脱帽するしかありませんでした。
よしながふみは、『フラワー・オブ・ライフ』、『西洋骨董洋菓子店』の各四冊シリーズもとても面白かったけれど、この一冊ものもいいですね。2002年から2003年にかけて、「メロディ」に掲載された連作短篇漫画の逸品。
2016/05/24 07:45
うまい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たま - この投稿者のレビュー一覧を見る
何かと話題の「母と娘」関係を、独自の視点で切り取った連作。
話が進むにつれ、(あのエピソードが、こことつながるのかー!)とスッキリするポイント多数。
2015/09/21 07:09
よしながふみさんは天才だなあ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まぎぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
と思った。母と子、親と子、男女の関係について、オムニバス形式で描かれている。どれを読んでも最後にじわりとくる、人間の心を描いた作品。漫画という手法で、こんなにも巧みな心理描写が出来るのかと感嘆した。そして、時に視線や表情、仕草だけで、時に長いセリフで、人の心の深いところまでえぐりだす。