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9件
外天楼
著者 石黒正数(著)
外天楼と呼ばれる建物にまつわるヘンな人々。エロ本を探す少年がいて、宇宙刑事がいて、ロボットがいて、殺人事件が起こって……? 謎を秘めた姉弟を追い、刑事・桜場冴子は自分勝手な捜査を開始する。“迷”推理が解き明かすのは、外天楼に隠された驚愕の真実……!? 奇妙にねじれて、愉快に切ない――石黒正数が描く不思議系ミステリ!!
【期間限定 試し読み増量版 閲覧期限2025年5月8日】外天楼(1)
閲覧期限:2025/05/08 23:59
外天楼(1)
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2019/01/03 23:35
奇妙な日常ドラマ
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くるまえび - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初試し読みしたときはシュールとギャグが入り混じった日常を描いた漫画かと思いましたが、読んでいく内にその感想は離れていき、本の中で揺蕩う物語、気づけば自分が何を読んでいたのか分からなくなる程、最初とはかけ離れた目的地へと辿り着いていました。それぞれの話が1つの結末へと収束していく様はとても綺麗で、何回も耽読してしまいました。
外天楼 (KCDX)
2011/12/15 01:59
バランスの悪い人生をなんとか綱渡りしている人に贈りたい
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けい - この投稿者のレビュー一覧を見る
忘年会では、今年一番○○だったもの、ことはなにかを訊ねることにしています。今年一番面白かった映画はなにか? 今年一番笑ったことはなにか?
私にとって、今年一番よかったプロレスは澤VS日高、今年一番悲しかった日は3月11日。そして、今回、紹介する『外天楼』は今年一番面白かった本格ミステリであり、今年一番買ってよかったと感じる本です。
よくできたミステリの条件とは、解説が書きにくいということである。そう書きたくなるくらい、ネタや仕掛け、犯人やトリックなどに触れずに紹介しにくいものほど、面白い作品が多い気がします。『外天楼』もそんな悩ましい作品。
間違いなく、後生に残す作品だと思うのです。きっと残っていると信じている。百年後のベスト100にも選ばれているはずの傑作。これを越える作品がマンガの世界から出てくるかと思うと、ワクワクすると同時に、ミステリと言えば、探偵“小説”であり、枠を広げてもせいぜい映画だった私にとっては驚異でもあります。コミックの世界にも視野を広げていかないと、おいていかれる。この先、どんどん、ミステリ漫画は登場し、歴史的価値しかないような名ばかりの推理小説はベスト100から、追い出されるだろうし、クリスティや乱歩といった大家の佳作ですら、安泰とは言えないのかもしれません。これは古典を軽視しているのではなく、続々と新しいものが出てくるからこそ、過去の傑作を大切にし、現代という視点から再評価を試み、きちんと残していくことを怠ってはならないということです。
『外天楼』は、堂々の本格ミステリ。しかも、掲載誌がメフィストとあり、一筋縄ではいかない。
第一話「リサイクル」は、エロ本を巡って本格ミステリが展開されるという異色というより異端の作品。ところがどっこい、これが緻密なロジックの本格ミステリなのです。講談社ノベルスからは『麦酒の家の冒険』という傑作がでています。別荘の冷蔵庫にある大量のビールからロジックが展開されたように、エロ本からもロジックが展開できるのです。どんなものでも切り裂く論理は、人間に与えられた最高の武器ではないでしょうか。
第二話「宇宙刑事VSディテクト」は、特撮戦隊ヒーローテレビ番組の設定のなかで、展開するこれまた異形の犯人当て。悪の戦闘員の格好で絶命していた人物。犯人は誰か? 設定を生かしたイカしたラストも心憎い。
一番好きな三話「罪悪」以降から、徐々に物語は妙な方向にねじれていきます。マンガだからこそ説得力を持ちうる第四話「面倒な館」は館もののパロディでもありオマージュでもあり、極地でもあります。ねじれが決定的に動きだすのは、六話「容疑者Mの転身」から。ここからは一気呵成、怒涛の展開。
すれたファンは第二話でかすかな違和感を覚えるはず。「あ、これは布石かもしれない」と。その予感はたぶん当たりますが、予想もしない途方もない道につながるはずです。ギャグのツッコミとしか思えない第一話のある一コマが、ある人物にとっては、大きな意味を持っていたことがわかったときの戦慄。本当に油断ならない本格ミステリ。
「外天楼」とは第四話に登場する改築や増築を重ねた異形のアパートの名前。変なタイトル、作品を表していない題名だと感じましたが、よく考えてみると、この異形で偉業のミステリにこれほどふさわしい冠はないでしょう。
あ! 解説しにくいなどと前置きをしたのに、ちゃんと書評が書けました。言い直しましょう。
よくできたミステリの条件とは、解説が書きにくいということである。
ただし、すごくよくできたミステリは、それでも解説が書けてしまうものである。
2017/02/27 17:39
おもしろい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふー - この投稿者のレビュー一覧を見る
数年前にも読んだことがあったのですが、急にまた読みたくなって電子書籍版を買いました。初めて読んだときは妙なリアリティがあって「怖い」という印象が強かったのですが、今回はそれに加えてなんだか生命について考えさせられました。コメディでありながらシリアス、非現実的なようで現実的なおもしろい作品だと思います。