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深海少女 完結
著者 稲葉誠(著)
1年前、海で行方不明になった田中(たなか)ヒカリは海の底で「深海の王」に命を助けられ、深海生物の力を宿した、深海少女となって帰ってきた! ヒカリの幼なじみの山田(やまだ)タケルはヒカリの生還を喜ぶものの、光ったり、透けたりするヒカリの奇妙な生態に困惑。それでも、やっぱりヒカリのことが好きなタケルは何とか受け入れようとするが…!?
深海少女(1)
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2016/02/09 23:02
潮の滴る娘の体
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何の前触れもなく、深海に棲息する生き物に因んだ特殊能力を発動する女の子に振り回される、その子に思いを寄せる男の子の初恋は、成就するのか予断を許さないが、当の本人はその状況を楽しみ、浮かれて、目も当てられない。
冒頭の数話は説明的で繰り返しが目立つが、後半は話が進み、登場人物も急増し、恋の鞘当てが展開される。その都度、深海生物の豆知識と特技や特徴の解説が挿まれる構成は、差し当たって、目新しいとは言い難く、取り上げられる生物もマスコミで頻繁に見聞きするものばかりで、能力を発動した少女のデフォルメされた姿と行動が全て大笑いできるものとは限らないのが、評価を下げる要因である。
一話当たりの分量と収録話数、総ページ数が少ないのも、物足りなさを招く一因だが、決して読みにくい画面ではなく、恋愛一辺倒ではない中身と、変わった女の子の生態に寛容な読者は、変態する女子高生の不器用な物腰を楽しんでもらいたい。
幼馴染の家での入浴やお風呂上りの二人だけの一時を過ごす、などと書くと、甘美な官能的な展開が脳裏に浮かぶが、本作ではギャグが大半を占め、中々、二人の恋は進展しないが、それなりに良い雰囲気が醸し出され、読後感は悪くはない。
人類に残された地球上の未知の領域、最後のフロンティア、謎の多い深海ならではの登場人物と設定が、二人の将来に暗い影を落とし、身も心も変質した分類不可能の存在に愛を告げられるのか、その存在を受け入れられるのか、相手も自分を受け入れてくれるのか、思春期の少年の悩みは尽きず、成り行きを温かく見守りたい。