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新釈 うああ哲学事典 完結
著者 須賀原洋行(著)
作者・須賀原洋行が“うああ”に哲学を語る。「哲学は、青春の麻疹だと、あらためて思った」劇作家・平田オリザ氏推薦!! 巻末には平田氏の解説を収録。マルクスの「唯物論と社会主義」サルトルの「嘔吐」安部公房の「箱男」フーコーの「人間の終焉」カントの「天才と物自体」アリストテレスの「形相と質料」フッサールの「エポケー(判断停止)」ボーヴォワールの「性(ジェンダー)」養老孟司の「唯脳論」など全25篇。
新釈 うああ哲学事典(上)
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紙の本新釈うああ哲学事典 上
2012/06/26 09:24
年代順、テーマ別に再編集した方が…
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
うああ、絵が私のセンスに合わない。
うああ、年代順に整理されていない。
うああ、これは勘違いだろうがある。
うああ、東洋哲学が扱われていない。
さて、このマンガは「哲学事典」とあるが、哲学の解説あるいは入門書なのか、それともギャグマンガなのか。いずれにしても充分にこなれていない。
マンガによる哲学解説書を書くことは難しいことのように思われる。ひとつには、池田清彦が、『やぶにらみ科学論』で言っているように「難しいことをやさしいコトバで言い換えて理解することは実はとっても難しい。難しいことは難しいままに悟る他はないのだ。」(p91)だからだろう。ギャグ漫画家による同じような作品『現代思想の遭難者たち』(いしいひさいち)にしても、この作者より各思想家の作品を読み込んでいるのがうかがえるが、成功しているとはいいがたい。あえて、マンガで哲学にアプローチするとすれば、長めの伝記的な作品にするのがよいと思う。
哲学に触れたいということであれば、中高生には有名な『ソフィーの世界』(日本放送出版協会)がよいだろうし、各思想家の思想を知りたいのであれば、新書やシリーズを読むことから始めるべきだろう。(例えばニーチェなら、『ニーチェ入門』(ちくま新書)、『90分で分かるニーチェ』(青山出版社)、『ニーチェ (快速リーディング)』などを勧めます。)
ギャグマンガとしてみると、はっきり言っておもしろいものは少ない。なんとなく星新一のショートショートを思い起こさせる筋立てが多いが、星新一の作品のほうが、深く考えさせられるものが多い。
上巻と下巻を較べれば、下巻のほうが読むに耐えるものがある。できれば、単行本として発行する際には、掲載順ではなく年代順に編集するとよかった。そうすることで、読者は哲学の歴史的な流れや、前後する思想家との関係から、より多くのものを得ることができただろう。また、巻末に参考文献をつけるとよかった。
上巻の帯に、「哲学は、青春の麻疹だと、あらためて思った」(平田オリザ氏)とあるが、平田の書いた「解説」を読むとそんなことは書いていない。だいたい、「哲学が青春の麻疹なら、人生全体もまた感染症でしかない。」と言わざるをえないのでは、それでは哲学などする意味はないと言っているようなものだ。ちょっと出来の悪いキャッチコピーで残念である。(平田も困惑しているのでは?)下巻は西研氏絶賛とあるが、西研は本気でこの解説を書いたのだろうか。彼の著作はけっこう好きであったが、見識を疑いたくなった。