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小さな恋のやおよろず 完結
著者 千真(著)
桜の木の神様・八重は、人間の高校生・虎之助に密かな恋をしていました。ある日、桜の木が伐採されて八重の体が消えそうになった時、虎之助が桜の枝を庭に植えてあげると、八重は無事に復活したのでした。助けてもらったお礼と秘めていた恋心を同時に伝えようと八重の口から出た言葉は「私、あなたのお嫁になりたいです!」そして、神様と人間の小さな恋のお話がはじまりました。ピュアでかわいい、癒やされるラブコメですよ!
小さな恋のやおよろず(1)
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2017/12/02 23:07
桜の恩返し
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
八百万の神様の、ほんの一握りの神様の、人間社会での多少、傍迷惑な言動を四コマではない形式で描いた本作は、時系列に沿った短編群であり、数話置きに挟まれるおまけの効用もあってか、単行本で纏めて読むと、読み応えがある。
作中では、読者を慄かせる、流血の惨事や男の股間への不意打ち等の痛々しくも笑える場面が見られ、各登場人物が受ける精神的な打撃の数々も、読者にとっては他人事であり、笑い飛ばせるに違いない。
ある理由により、季節外れの桜の花びらが、常時、舞い散るのであるが、その掃除については気にせずに、桜の女神である八重の気持ちの昂ぶりを、暖かく見守るのが、読者の責務であろう。
主人公の高校生、岩山虎之助は、据え膳を食える立場にある。
それを引っくり返そうと奮闘する、複数の勢力が、校内や校外で、虎之助に迫る。
押しかけ女房と対峙する両親も、息子を追い詰める。
神様の言動は人知を超える。
2018/12/29 13:42
遠山の八重さん
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一巻に登場した神々は、主に植物に由来する存在であったが、第二巻で新たに登場する神々の本性は、その多くが動物である。本作に登場する神々は、いずれも人間的であり、人間を恋敵とみなして敵視したり、街中で騒動を惹き起こして器物を損壊する。
しかし、最終話までの各話の展開は、波乱万丈とは言えず、刺激的な内容でもなく、一話当たり八頁という頁数に見合う程度に読み流せる作品であるので、全二巻で完結しても、多数の読者に惜しまれつつ、とは考えにくいが、そうであってほしい。
それでも、エピローグは秀逸だ。
人間の虎之助と桜の神の八重との同居生活が、どのように推移したかについて、最後に事細かく描かれているわけではないものの、二人の暮らしは劇的であった、と思わせられる。
エピローグの主役は、虎之助ではない。
それは桜吹雪の発生源についての考察である。