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【期間限定 無料お試し版 閲覧期限2025年5月26日】のだめカンタービレ(1)
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のだめカンタービレ(25) アンコール オペラ編
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のだめカンタービレ 23 (講談社コミックスKiss)
2009/12/02 13:37
孤独や苦悩と引き替えの、大いなる歓喜
19人中、19人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ついに終わってしまいました。
ドラマ化、アニメ化、オーケストラ結成……と、えらく世界が広がっていましたが、
とりあえず原作を楽しんできた者としては、最高の着地を見せてもらったなあという気分です。
ピアノ専攻の音大生“のだめ”(もちろん愛称)と、
世界的な指揮者を目指しつつ、飛行機恐怖で海外に出られない千秋真一の、
出会いから物語は始まります。
ただただピアノが好きで、自分の持つ才能のことなど考えもしないのだめ。
ちなみに汚部屋の住人であり、変態。
そして、自らの才能を知っていて、夢もあり努力を惜しまないオレ様な性格、千秋。
海外育ちで、師と仰ぐ人もいながら、どうしても飛行機に(そして船にも)乗れない千秋が、
突破口を見つけられず鬱屈した日々を送っていたとき、
ピアノ科の教師の提案で、のだめとひとつの曲を仕上げることになります。
ヒトとして最低ラインと見下していたのだめの奏でる音に、誰よりも敏感に反応する彼は、
その曲を演ることで、ひとつ前に進むことができるのですが、同時にのだめに振り回される毎日に突入。
残りの音大生活、その後のヨーロッパ進出と、微妙に変わっていくふたりの関係と、
常にお互いを刺激に成長していく姿が描かれています。
とまあ、大筋はこんな感じなのですが、二ノ宮知子ですから、あちこちに笑いが溢れています。
ピアノの才能以外、およそ少女漫画のヒロインからはかけ離れた設定ののだめと、
ルックス、才能、血統を兼ね備えた、正統派のプリンス(?)千秋。
そのギャップ(当然、笑いに繋がる)を楽しむために読み始めていたのが、
いつのまにか、ふたりの奏でる音楽、オーケストラの楽しみ、
音楽を生業とすることの孤独や苦悩や喜び、音楽の本来持つ力など、
描かれる数々のエピソードに、何度も鳥肌ものの感動を味わうことになりました。
さまざまな登場人物たち。
彼らの、そして主人公ふたりの喜びと苦悩。
壁にぶちあたるたびに、相手を想い差し伸べる手が、どうにもこうにも見当違いだということばかり。
そう、千秋ですら、のだめを想ってしたことが、本人をブチ切れさせることもあるのです。
幾度も悩み、追い詰められる彼らは、やがて必ずきっかけを掴み、這い上がります。
どれだけ相手を想っても、見守り、きっかけを与え、待つことしかできない。
最後にそこから抜け出すのは、いつも“自分の力”でしかないのです。
音大時代の物語もとても好きですが、パリで本格的に音楽に向かい合うようになるのだめの成長と、
同じ志のもと集まってくる現地の友人たちの、それぞれの苦悩がとても印象的です。
音楽が好きなだけでも、才能があるだけでもダメ。
努力のみでなんとかなる世界でもない。
そのすべてを兼ね備え、覚悟を決めた人たちだけの楽園。
その楽園を、美しくきめ細やかに感動的に、なによりおもしろく描き切った著者に感謝!
音楽の道を歩いているわけでもないのに、
読み返すたびに、忘れているものを思い出させてくれる、大切なシリーズになりました。
番外編が続くようですね。
ぜひ、覗いてみたいです。
本編で描かれなかった世界でも、あの可笑しくも愛おしい登場人物たちは、
音楽漬けの日々を送って、羨ましいほどの幸せを感じているのでしょうけれど。
のだめカンタービレ 1 (講談社コミックスキス)
2005/08/11 20:33
デイヴィッド・コパフィールドmeets爆笑感動音楽ドラマ
11人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:稲葉 芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年その存在を初めて知って以来、私がすっかり夢中になってしまった漫画があります——それは、二ノ宮知子著「のだめカンタービレ」。
現在コミックスが第11巻まで刊行されていて累計部数が何と400万部を突破し、本の紹介誌「ダ・ヴィンチ」が本年4月号で特集を組み、お堅い事で有名なクラッシク専門誌「レコード芸術」までが本年5月号で取り上げるなど、一大ブームを巻き起こしている作品です。書く云う私もこの作品にハマッタ一人で、音楽好きであればある程一層夢中になる、そんな不思議な魅力と面白さを秘めた漫画です。
天才ピアニストの息子であるエリート指揮者千秋真一(ちあきしんいち)と、ゴミの中で生活するおちこぼれピアニスト野田惠(通称「のだめ」)が繰り広げる爆笑感動音楽ドラマは、多彩な登場人物に笑わせられながら、二つのテーマを提起しています。
一つは、のだめと千秋の成長の過程に垣間見られる、「青春」の清々しいまでの美しさです。精神的に未だ幼くて脆さを秘めた若者が、様々な人物や事件と遭遇しながら、次第に成長していく——ディケンズの「デイヴィッド・コパフィールド」に代表されるようなこのビルドゥングス・ロマンが、この作品の根底にはあります。これが功成り名を遂げた成年が主人公だと、こんな風に誰しも共感を呼ぶまではいかないでしょう。その真っ只中にいる人も、私のように遠い過去のものになりつつある人間も共に巻き込むのは、「青春」という時期を扱っているからです。
もう一つは、「音楽」の素晴らしさです。スポーツを舞台にした青春物語は枚挙に暇が無い程溢れていますが、「音楽」の素晴らしさを斯くも見事に伝えた漫画は空前絶後でしょう。漫画を読みながら、思わずその音楽をCDを劇伴にしてしまった読者は多いはずです(私もその一人)。
天衣無縫ののだめの成長を、爆笑しながらハラハラしながら見守り、そして思いもよらぬ時と場合に音楽に酔いしれるこの傑作コメディ。音楽好きなら、絶対必読!
のだめカンタービレ 14 (講談社コミックスKiss)
2006/01/18 10:26
クラシックブームの火付け役
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まめたろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
今、空前のクラシック音楽ブームが日本に訪れている。
その原因は、一つには今年がモーツァルト生誕300周年で多くのコンサートが開催される予定だということもあるだろうが、一番の理由はこののだめカンタービレのヒットがある。
のだめカンタービレは、とにかく破天荒な少女漫画だ。
主人公の野田恵(通称のだめ)は、ヒロインとは思えないほどの変態娘であるが、ピアノに関してはものすごい才能を秘めている。彼女と、同じく音楽に対して類まれな才能を持つ指揮者の卵、千秋真一(こちらはヒーローにふさわしく?王子さまタイプ)との恋愛を縦軸に、音楽の世界での彼女らの奮闘を横軸にストーリーは進んでいく。
この漫画をギャグ漫画と軽く見ることもできるかもしれないが、思わず本当の演奏を聴きたくなってしまうような迫力あるコンサートの場面の描写や、音楽を通しての仲間たちとの心の交流、そして登場人物それぞれの成長ぶりなど、一流の少女漫画としての要素もたっぷりなのだ。
この最新巻の14巻では、パリで生活を始めた二人が、音楽を介することでお互いに信頼しあい、型破りながらも素敵な恋を進めていっている様子が、大爆笑をもたらしてくれるネタを交えて、楽しく描かれている。
クラシック音楽に興味のある人も、これから、という人も、是非一度のだめワールドを体験することをお勧めしたい。