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THE DOG WORLD 完結
著者 石ノ森章太郎(著)
ここは犬が服を着て、二足歩行する世界。もちろん言葉も話す。そして、人間同様の政治や法律がある犬だけの世界――――。立身出世を夢見て旅を続けるシバは、ある夜、兵士たちに追われていた一人の剣士を助ける。しかし剣士は亡くなってしまい、シバは謎の首輪を託される。その首輪を狙う兵士たちに襲われるシバ。だが、政府と戦うゲリラ犬グループのピッチーに助けられる。ゲリラ犬のアジトでシバは、ヒトと出会い……!?
THE DOG WORLD(1)
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2020/03/01 22:22
犬が世界の支配者で、人はヒトになってしまった世界を描く石森らしい作品
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
1976年に『週刊少年サンデー』に連載された、これもSFものと言えばそうなるのか。
ただし、ここに収められている「序章 魔法小学校」は、1977年に雑誌『マンガくん』に掲載されたものであり、もともとは『THE DOG WORLD』とは独立したものだったのか、あるいは、本編が成ってから単行本化する時か何かに描かれたものを「序章」としたのかもしれない。この萬画全集はマンガそのものを楽しむような編集になっているのか、作品として成立した経過や、その当時石森/石ノ森がどうしていたのか、他に並行して描かれていたのがどの作品なのかなどがよくわからないので、時々どう解釈していいのかわからない作品がある。この「序章」もそんな感じだ。
さてそれで本編だ。人間が支配していたが何らかの理由でその座を降りてしまった後の地球の話らしい。その時に地球を支配しているのが犬というわけだ。どこかで聞いたことがあるような話だが、話のテンポがよく、少しファンタジーっぽくもあり、結構面白い。絵のタッチもこの頃はきれいだ。60年代末から70年代初めの頃は劇画に影響された青年マンガの硬くシャープなタッチで描かれた作品が多かったが、70年代半ば以降もともとのマンガらしいタッチが戻ってきている。特にこのマンガは発表されたのが少年誌であるというところからも、以前のマンガらしいタッチを意識して使っていたのかもしれない。
ストーリーからも絵柄からも、石森作品としてはあまりメジャーでないけれど、実は隠れた名作と言えるのかもしれない。