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八百八町表裏 化粧師 完結
著者 石ノ森章太郎(著)
薬屋・式亭正舗で扱う化粧品は、大店の女将から町娘まで、江戸の女性たちに大人気。若旦那の式亭小三馬は、江戸で一番の腕利きの化粧師(けわいし)だ。化粧で女性を美しく飾るだけでなく、江戸文化の表も裏も艶やかに華やかに演出する! しかしその手法はなんと、現代の広告業界にも通じる斬新なものだった!? 1983年から1984年に「ビッグコミック」で連載された、石ノ森章太郎らしさ満載の大江戸ビジネス時代劇!
八百八町表裏 化粧師(1)
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2018/07/22 00:23
式亭三馬の息子は化粧師だった!?
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
1983年に雑誌『ビッグコミック』に掲載された時代物。
石森/石ノ森は、『ビッグコミック』創刊当時から常に作品を連載していたが、時代物と現代物を交互に描いていたと思う。だが、このマンガの後には超有名な「HOTEL」が始まって、結局それを連載し続けて石ノ森は亡くなってしまうので、『ビッグコミック』誌上では最後の時代物だったのではないか。
だからというわけではないが、久しぶりに読んだら、結構面白い話ではないかと再認識した。同じ『ビッグコミック』に連載されていた「さんだらぼっち」にも通じるところはあるけれども、それよりずっと明るい雰囲気になっているのは、発表された1980年代という時代の雰囲気のせいだったのか。
戯作者・式亭三馬の息子が化粧師となっていて店を持っているという虚実入り乱れた設定が面白い。しかも、ただ化粧の話を描くだけでなく、プロデューサー感覚というか、もっと時代を巻き込んだ大きな話になっているところが、今読んでも十分楽しめるところだと思える。
主人公だけでなく、その周囲の人物もそれぞれ面白い人間で、そこに焦点を当てるだけでも様々な話が見えてくるように思える。
それだけ面白かったのだけれど、例えばこの『デジタル大全』でも3巻にしかならないほどで、他の『ビッグコミック』連載の時代物の中では長続きしていない。それは、石森の関心が時代の先を言っていたのか、そうは言いながらもこのような分野に関心をもつのは限られた人間なのかわからないけれど、もっと描き続けてくれてもよかったなと思う。