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12件
イグアナの娘
著者 萩尾 望都
その日、生まれてきたのはとても可愛い女の子だった。だけどなぜか母親の目には、その子の姿がイグアナに見える…。母と娘の間に横たわる愛と憎しみの葛藤を描いた表題作ほか、両親にスポイルされた少年が人生をみつけるために戻らなければならなかった場所「カタルシス」、アバンチュールへの一瞬の迷い「午後の日射し」、コミックス未収録の短編「帰ってくる子」など6編の異色傑作集。
イグアナの娘
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イグアナの娘
2011/01/13 20:23
私もイグアナの娘
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る
この短編集には
親子って何だろうと
考えさせられる作品が収められている。
母と娘
親と子供
血がつながっているからこそ
否定したくなる部分や
認めたくない愛憎半ばする思い
愛しているからという言葉で
子供の心にずかずか入り込もうとして
過剰に干渉し
子供を縛り付けてしまう愚かな親
愛されなくても愛されたいと願い
親は選べないと
諦めて受け入れていくかわいそうなこども
そして同じことが繰り返されていくなら
なんて悲しいことだろう
事実
イグアナの娘のなれの果ての私は
やはり母のようにならないと
誓ったはずなのに
娘を無条件に愛することができないと感じてしまう
きっと親と子はわかりあえない乗り越えられない部分があって
埋められないことを承知で
長い時間をかけて
情の部分で
歩み寄り始めるのだろう
イグアナの娘
2010/04/18 19:38
どうしてこの本が「イグアナの娘なのか」
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
萩尾望都さんの作品を一冊ちゃんと読んだのは
これがはじめて。
だいぶ前に書かれている本だけど
普遍的な内容なので
古くささは感じなかった。
おまけのエッセイを江國香織さんが書いていて
これには嬉しい驚き。
さて。表題作「イグアナの娘」。
どういう話なのか、うっすらと知ってたけれど
ぜんぶ読んでみて、ああそうか。すとんと納得した。
母親の目に、生まれてきた子がイグアナのように
醜くみえる、という情報から
なぜ「イグアナの娘」というタイトルなのかと疑問だった。
なぜ「娘はイグアナ」じゃないのか、と。
タイトルだけではなく、いろんな「すとん」が
この本には用意されている。
現実世界のことなのだけれど、え?どうして?みたいな
萩尾さんの謎かけがあって、
読み進んでいくうち「ああ。そうか」と。
どのお話も人と人とのあいだの隙間というか
じぶんの意識と本能の隙間というか
なんとも言い表しがたい、でも誰もがたぶん抱えるような
そういう隙間を突いてくる。
でもそれは弱みに付け込んで誘惑に負けるといった心の闇を
描いているのではない。
むしろ登場する彼らの苦しみ、ちょっとした悲劇は
前進するための通過儀礼のように感じる。
短編のすべてが、希望を残したハッピーエンドで幕を閉じるからだ。
彼らはじぶんの感情をストレートにぶつけてくる。
「すとん」はここからくるのだろう。
不思議な癒しの力を持っている本だと思う。
イグアナの娘
2001/12/18 02:31
母親と娘ってこうでは?「親子の普遍のテーマ」じゃないのかなぁ?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふくろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
まさに母親と娘の関係かな、と思うのですが。身近だから、似ているから、血がつながっているからこそ受け入れにくい、打ち解けられない。そう言う面って無いですか? 私が二人姉妹の姉なので、まさにこの設定どおり。だから余計にそう感じるんでしょうか? 特に虐待されたりした事は無いし、母とは仲も良いですが、描かれている関係は理解できます。父と息子でもありうる「親子の普遍のテーマ」かな、と思っていたのですが…、万人受けするテーマではないのかしら?
愛嬌のある絵に思わず笑ってしまうけど、ホントは笑い事じゃないんですよね。彼女の「イグアナとして生きていくんだ」という力強さが大好き。その強さがほっとするラストに繋がっていくんだと思います。