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孤独のグルメ【新装版】
個人で輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎が一人で食事をするシチュエーションを淡々と描くハードボイルド・グルメマンガ。井之頭五郎は、食べる。それも、よくある街角の定食屋やラーメン屋で、ひたすら食べる。時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき、彼はつかの間自分勝手になり、「自由」になる。孤独のグルメ―。それは、誰にも邪魔されず、気を使わずものを食べるという孤高の行為だ。そして、この行為こそが現代人に平等に与えられた、最高の「癒し」といえるのである。
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孤独のグルメ 1 新装版
2009/02/04 16:00
「うん! これはうまい」って時の男の満ち足りた表情が、とてもいい
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の井之頭五郎(30代後半くらいか)が、仕事で立ち寄った街の食事処でとる食事の一こまを綴った、一話が8頁の連作短篇マンガ集。
全18話の文庫で出ていた一冊に、10年ぶりの新作「東京都内某病院のカレイの煮つけ」(8頁)と、谷口ジロー、川上弘美、久住昌之の三人の鼎談(10頁)を加えた新装版です。
その街、その場所のたたずまいと、腹の減った主人公が食べる食べ物とがいい感じで合わさって、心地よく、どこか懐かしい空気感を醸し出しているところ。「うん! これはうまい」「うん! これこれ!」と思いながら食べている男の、幸せな満足感に浸っている表情。そういうところが、とてもいい。『孤独のグルメ』ってタイトルも、この作品にふさわしいネーミング。
作画者、本作品のファンである小説家、原作者の三人の対談では、絵を描かれた谷口ジローのコメントが興味深かったですね。
<うまく描けそうだなって思ったのは、豆かんのときね。あの回のときに、豆かんを食べたときの表情というのかな、「うん、うまい!」っていう顔が描けたから。なんか描けそうな感じがしたんですよ、そのあとから>なんて語っているところとか、「なるほどなあ、そっかあ」と、頷かされました。
収録作品の中のマイ・ベストは、「第11話 東京都練馬区石神井公園のカレー丼とおでん」。不思議な懐かしい空気感を、特に強く感じた逸品。ラスト、男の満ち足りた寝顔がまた、とてもいいのだ。
孤独のグルメ 1 新装版
2009/03/11 15:01
食べることに通じた人
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱせりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人は食べないと死にます。
ですから常に食べ物のことを考えます。
というか、私はいつも食べ物のことを考えています。
体を作ってくれる食べ物に対してアレコレいうのも罰当たりなことですが、それでもおいしいものが食べたい。
別に高級でなくていいのだけれど、今、食べたいものが食べたい。
でもじゃあ何が食べたいのだろう?
そう思ったことのある人には、うってつけの本です。
主人公の井之頭五郎もしょっちゅう何を食べるか悩み、メニューの組み合わせに悩み、目当てのものが食べられないこともしばしば。
読んでいて「あるあるある」と思うことしきりです。
五郎の思考に触れることで、自分も外食の際、無意識にぐるぐる考えていたことに気づかされることでしょう。こんなに食べ物のことを考えていたのか、と。
出てくる食べ物も庶民的なものばかり。
ぶた肉いためにシュウマイに深夜のコンビニめし。
ああ、おなかがすいてくる。
この作品において「グルメ(=食通)」とはすなわち「食べることに通じた人」と受け取りました。
ただひとつ、食べきれないからと頼んだものを残すところだけはいただけませんでした。
あそこはどうしても無理して食べきって欲しかった。
グルメならその矜持を見せて欲しかったです。
単行本、文庫本と経て、新装版が出たことからでもいかにこの本が愛されてきたかわかろうもの。
新装版は特別編が収録されていてお得です。
孤独のグルメ 1 新装版
2010/06/27 23:15
20%OFFシール
20人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:helmet-books - この投稿者のレビュー一覧を見る
仕事終わりに
スーパーに寄って
今夜は何を食べようかと
食材を吟味していると
60代後半の女性が
なにやら、バックから取り出した20%OFFシールを
これから買うのであろう
彼女の持つレジかごの中にある
あらゆる食材にはっつけていた
うむむ
小売業を営む僕としては
かなり頭に血が上ってしまう
シチュエーションではあったが
結局のところ
素通りして、その後を観察していた
大胆にその女性を観察していたので
彼女は視線に気づいているはずなんだが
なんだか人に見られているというのに
しれっとレジに向かう、後姿を見ていたら
彼女の
孤独を感じた
勝手に想像して哀れんでいるなんで
趣味の悪いことほかないのだが
なんだかなと
本書は、
食通漫画のトップを走るであろう
名作「孤独のグルメ」
谷口ジローさんが作画担当というだけで
よだれがでるシチュエーション
うまい店もあれば、まずい店もある
サービスが最高の店もあれば、最低もある
うまい店だけ紹介するようなスタイルでは決してなく、
主人公自身の、等身大の一期一会を、描いていた
東京に住むようになってからは
外食する機会がとても増えた
その機会の半分は
ひとりで食べているのだが
この主人公同様
ただ口に食物を入れている行為を
越えた何かを
食場には求めてついつい
立ち寄ってしまうのだ
僕は食通でもなんでもないので
うまいとかうまくないとかは
外食する上で
まったく無関心なのだが
人と食事しながら会話が
思わぬ方向に行って新しい発見が出来たり
行き当たりばったりで入った
食堂の雰囲気に
ぼんやりとした異世界観を
感じることができたのならば
サービスが最低だろうが
なんだろうが構わないのである
ざっくり言えば
先ほどの不正をした女性と求めるものは
似たり寄ったりなのだから
善悪というものに
線引きをすることなど
僕は決して
できないのである
helmet-books