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5件
LOVELESS(ラブレス)
著者 高河ゆん
小学6年生の青柳立夏は、2年前に兄・清明を殺され、唯一の理解者を失ってしまう。そこに、かつて清明を主人(サクリファイス)として戦っていた「戦闘機」だという我妻草灯があらわれる。草灯は立夏に新しいサクリファイスになってほしいと告げる。清明が「ななつの月」という組織に殺されたことを知った立夏は、草灯とともに戦いに挑み、兄の死の真相に迫っていく…。言葉(スペル)による戦闘ついに開始… 戦闘機とサクリファイス… ふたりは同じ名の意味を持つもの。戦闘機は主人であるサクリファイスを敵の攻撃から守ることを使命とし、言葉を駆使して戦っていく。
LOVELESS(ラブレス) 13
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LOVELESS 1
2002/09/05 18:23
帰って来た高河ゆん(笑)
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
長い休み中、ふと書店で見かけた一冊の本。中学、高校時代、かなり熱狂的に彼女の作品を読み耽った事を思い出し、懐かしさから手に取ってみる。
徒然を慰めるつもりで、大して期待もしていなかったが『源氏』『アーシアン』の頃の作者の圧倒的な牽引力、革命的な所業の数々を彷彿とさせる一冊だった。
台詞に絶対的な力、直接的でないのに妖しい色気を含む世界観、そして登場人物が魅力的だ。「オトナ」と子供の境界線が耳の有無において一目で判る身体構造。立夏は小6にして耳を落としてしまうのか! そして相手はやはり草灯か?! 作者には「今度の高河ゆんは本気です!!」を信じ、是非とも最後までこのテンションを持続させていただきたい。
LOVELESS 4
2004/07/04 10:12
愛だよ、愛、なんて言わないで
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:祐樹一依 - この投稿者のレビュー一覧を見る
毎度毎度のことで慣れっこになってしまいましたが、それでもついついせずにはいられない妄想と倒錯。直裁に「好き」という言葉を口にさせる大胆さに脱帽し、その要因を(恐らく)済ました顔で描き続けてくださいますのが高河氏というわけであります。タイトルを直訳したら「愛なんてありゃあしないんだよ」なんてことになりはしないかと、作中の様々な描写を見るにつけ、タイトルとのギャップをただただ心配する僕だったりしますが、それはそれ。僕だって一々「り、立夏、可愛い…!」と連呼しておりますとも。
ちょっとだけ真面目に言えば、こういう「物語」の中では、少年というものは成長するものであるのです。そうすることによって過去の幼い己から脱却すると共に、周囲の大人たちと同等の位置へと上っていく。そういえば、少年らしい少年は立夏くらいしか登場していないような気がする(それによって、いわゆる「ボーイズラブ」な感覚が増すのですが)。女性性の中での男性性のあり方、或いはその間逆が描かれている可能性を否定出来ません。何しろ、時折見せられる少女たちの残酷めいた視線が、とても胸を突くものであることを印象的に感じます。
耳と尻尾が人物と共に当然に描かれ、戦闘機とサクリファイスという役割、「言葉」を用いた戦闘…、そういった(未だ目的が見えないものを含めた)ファンタジーがある後ろで、明らかに「愛が足りない」描写が繰り返される。そう、タイトルの意味はこれではないかと僕は思ってます。対象や範囲を問題とせず、愛や恋の「在り処」を探る。だから、「あるはずなのに見当たらない」ものを、彼ら彼女らは模索し続けているのだろう、と。
(初出:CANARYCAGE)

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