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北一輝論
著者 松本清張
二・二六事件に連って北一輝が刑死したのは昭和12年8月であった。以来、正体のつかめない「思想家」として様々な思想図式や議論にさらされてきた。ここに著者は、決定的ともいうべ...
北一輝論
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商品説明
二・二六事件に連って北一輝が刑死したのは昭和12年8月であった。以来、正体のつかめない「思想家」として様々な思想図式や議論にさらされてきた。ここに著者は、決定的ともいうべき、この人物についての論著を、周到な実証によって最も客観的な歴史論の立場から迫り達成した。
目次
- I 北一輝解釈と時代背景
- II 「国体論」の粉本
- III 史的「乱臣賊子」論
- IV 明治天皇と天智天皇
- V 「改造法案」の自注
- VI その行動軌跡の示すもの
- VII 北一輝と西田税
- VIII 決行前後
- IX 断罪の論理
- 対談 ある国家主義者の原像 久野収・松本清張
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紙の本
「俺の話を聞け」「じゃあ、まあ、投票所に」:明るい選挙推進協会
2007/07/27 05:23
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある夜、ふと、TVドラマ「夜王」を見たころからだったろうか。北村一輝さんがかなり気になっている。芸名からして2・26事件のイデオローグ、「北一輝」じゃないですか。そして「十四才の母」での戦場カメラマンくずれの週刊誌デスク(昔だったら林隆三が演じてたような)というシニカルな役どころもかなり気に入ってしまった。
さて、「国民の天皇・華族制の廃止・貴族院の廃止・普通選挙の実施・治安警察法などの撤廃・私有財産・私有地・私生産業の限度・労働者権利の擁護・国民教育の実施」。これが真性右翼:北一輝氏の「国家改造法案」の改革案である。ほとんど今の憲法じゃないかと思ってしまう。しかし重要なポイントが潜んでいることを著者は指摘する。
「俺にやらせろ」この一言が隠されている。
「つまり、天皇=国家に対して国民=国家を対峙させる北の方法は、極めて民主的であるとともに、天皇絶対主義に対して自己絶対主義をもって叛逆するという反動的性格をも内包していたのである。」(本書p.108「唯一者とその浪漫的革命」より)
著者は強烈な個人主義者で有り続けた彼の個人史・思想の形成過程を本書で、ドストエフスキーの「罪と罰」のラスコリーニコフをしばしば比較対象にして描きだす。
しかし。一個人が徹底して、自分を鍛え上げ、叫ぶことは、やはり、美しく正しい。と思えてならない。ぐっとこらえて、投票所、力一杯鉛筆握りしめ。×と描いて帰ってくる。そんな選択肢しかないように思える昨今だが。
本書のもう一つの読みどころは、明治三十六年、彼が若干二十一歳で地元、佐渡の新聞に連載し、すぐ中断せざるを得なかった「国体論」をめぐる、地元での論争:抗争を描いた「国体論伝説への照明」という一章である。政友会(自由党の流れを引く)系と対立勢力との、互いの支持する新聞紙上での活発な論戦の描写は、当時の地方での知識人層の活発な行動を活写して、戦後、急に「民主主義」が始まったかのような幻想を払拭してくれる。無論限られた層においてではあれ。
さて。ここまで読んでいただいた方。今、上記「明るい選挙推進協会」(総務省の外郭団体)のサイトで先頃カンヌで栄冠を掴まれた、河瀬直美監督による、奈良の田舎の小学校での生徒会選挙風景を描いたセミ・ドキュメンタリー短編が無料上映中です。途中から北村一輝さんも出演してて。「なんで投票しないの~」という子どもたちを前に、彼はどう答えたか?
選挙に行くか、どうか、まずは、ちょっと考えて見るのもいいんじゃないでしょうか。