海野十三集 三人の双生児 ――怪奇探偵小説傑作選5
日本SFの元祖・海野十三。理科系作家がその新しい知識を駆使して生み出す奇ッ怪で新鮮な物語に、昭和の科学少年たちは胸を躍らせた。赤外線、テレヴィジョン、超音波に電気風呂―。...
海野十三集 三人の双生児 ――怪奇探偵小説傑作選5
商品説明
日本SFの元祖・海野十三。理科系作家がその新しい知識を駆使して生み出す奇ッ怪で新鮮な物語に、昭和の科学少年たちは胸を躍らせた。赤外線、テレヴィジョン、超音波に電気風呂―。エログロ・ナンセンスにみちた初期の作品から戦時下の緊迫した空気を伝える異色作まで、鬼才が遺した多彩な推理小説を収める。
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読まなきゃ損
2005/12/09 21:19
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
その作品は怪奇と幻想とに彩られ、エロは少々、グロでナンセンス、いかにも「探偵小説」らしい探偵小説を書いた海野十三は、また、「日本SF小説の父」とも称され、数多くのSF小説(というよりは空想科学小説といったほうがピッタリ)も発表しました。そんな作者の短編十五作にエッセイ一作、本書にも収められた短編を城昌幸が脚本化したもの一作をまとめた短編集です。
十五編のうち、ほとんどが探偵小説ですが、タイトルだけで魅力的、『振動魔』に『赤外線男』、『三人の双生児』などなど、もうこれだけで十分に楽しい。
「また帆村 少々無理な謎を解き」 帆村とは作者の創造した名探偵 帆村荘六のこと、こんな川柳が当時作者が作品を発表していた紙面に載った(らしい)ことからもわかるように、その内容は少々というよりはかなり無理、ミステリとしてマジメに読んでいたら、帆村名探偵の謎解きを聞いたら怒り出してしまいそうなものが多くあります。が、これが良いのです。もう、「無理」だとか「バカにしている」、「こじつけ」、「子供だまし」とかいったものを、はるかに超越してしまっているのです、海野作品は。
ですが、こういった理由で海野作品を嫌って読まずにいる本格ミステリのファンの人もいるでしょう。損してますよ、こんなにおもしろいのに。そんな方にはここに収められている一編『不思議なる空間断層』を読んでもらいたいですね。これは本格ファンにも納得できるような技巧的な一作、こういったものも書けたんだと、きっと驚くことでしょう。
大好きな作家、もっともっと評価されてよい一人だと思います。
シャーロキアン垂涎、帆村荘六ものを収録!
2002/07/28 03:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木野下 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本SFの先駆者、海野十三の作品を集めた短篇集。この本が文庫で出版されたとき、古典ミステリが大好きな人間は、またしても日野三蔵がいい仕事をしてくれたと称賛していたことでしょう。
それにしても、『三人の双生児』という題名の秀逸なことといったらありません。この奇妙さ、恐ろしさ、滑稽さには、編者の日野三蔵も惚れ込んでしまって、この作品集のタイトルに採用したんでしょう、きっと。
シャーロキアンとして見逃せないのは、海野がシャーロック・ホームズをもじって命名した名探偵、帆村荘六の存在です。奇怪な犯罪者と対決する青年は、『振動魔』などの作品に登場しています。
帆村荘六ものが、まとめて容易に安価で読めるようになるなんて、本当に幸せです。日野さんありがとう。