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青空のルーレット
著者 辻内智貴 (著)
俺達はビルの窓拭きだ。俺達は今日もビルの外に浮かんで、窓を拭いている。気楽な稼業、呑気な商売。ときどき危険、死んだ奴アリ。俺達が窓を拭いているのは、メシを喰うためだ、家賃...
青空のルーレット
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商品説明
俺達はビルの窓拭きだ。俺達は今日もビルの外に浮かんで、窓を拭いている。気楽な稼業、呑気な商売。ときどき危険、死んだ奴アリ。俺達が窓を拭いているのは、メシを喰うためだ、家賃を払うためだ。しかし、俺達が窓を拭いているのは(誓ってもいい)、夢を見るためだ。……燃えるような夢を抱いて、都会の片隅で働く男たちの篤い友情を描く、感動の物語「青空のルーレット」。のびやかな文体と小説家的資質を高く評価された、第十六回太宰治賞受賞作「多輝子ちゃん」を併収。
著者紹介
辻内智貴 (著)
- 略歴
- 1956年福岡県生まれ。東京デザイナー学院商業グラフィック科卒業。78年から3年間、ビクターレコードにシンガーとして在籍。2000年「多輝子ちゃん」で第16回太宰治賞を受賞。
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紙の本
最高の短編集
2001/11/07 18:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終えても、腹の底で幸福感が持続している気がする、そんな一冊。
複数の人物の生き方を編み上げ、しかも、「悪意」まで呑み込んで「奇跡」にたどり着く、なんとも爽やかな一冊。
デビュー作で、これだけの名作を生みだした著者の自作が待ち遠しい日々が続いています。
未読の方は、是非ともご一読を。
紙の本
戦う男たちの絆
2001/07/22 13:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:上六次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「男の友情」というと何かうそ臭いような印象を持ってしまう。ところが、「戦う仲間同士の絆」という言い方であると少しは違った感じになるのではないだろうか。戦うのはスポーツやギャンブルの世界だけではない。自分たちの夢や理想を実現することも戦いなのである。
主人公の「俺」はビルの窓拭き会社のバイト従業員であり、ミュージシャン志望である。バイト従業員の仲間は皆、漫画を描きたい奴や芝居をやりたい奴、小説を書きたい奴など夢を持っている連中である。こういった夢を持つ人々を理解できない小物の上司との対立や仲間の事故などを絡めて話は進んでいく。
「俺」を含めたバイト従業員たちは「窓拭き」という仕事にまじめに取り組んでいる。本文に以下のようなフレーズが出てくる。
俺達が窓を拭いているのは、メシを喰うためだ。
俺達が窓を拭いているのは、家賃を払うためだ。
しかし俺達が窓を拭いているのは、夢を見続けるためだ。
彼らにとって「窓拭き」は夢を見続けるためには必要不可欠なことであり、夢を実現するための戦いなのである。だから、「窓拭き」という仕事と真剣に向かいあわなければならないのである。そこから共に戦う仲間という連帯感が生まれてくるのであろう。
高層ビルの窓拭きという文字通り命がけの仕事に携わりながら、命を賭けてでも夢を実現したいという男たちの絆は、読後に爽快感を与えてくれる。夢の実現のために戦う男たちは美しく、かっこいいのである。