読割 50
電子書籍
海の鳥・空の魚
著者 鷺沢 萠
どんな人にも光を放つ一瞬がある。その一瞬のためだけに、そのあとの長い長い時間をただただすごしていくこともできるような――。恋、カレッジライフ、うたかたの日々。まちがった場...
海の鳥・空の魚
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海の鳥・空の魚 (角川文庫)
商品説明
どんな人にも光を放つ一瞬がある。その一瞬のためだけに、そのあとの長い長い時間をただただすごしていくこともできるような――。恋、カレッジライフ、うたかたの日々。まちがった場所に戸惑い、溜息しつつ、何かをつかんだ輝きの一瞬、喜びの涙がこぼれた。海中に放たれた鳥のように生きてゆく、大好きな仲間たち。気鋭女流のきらめく作品集。
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紙の本
この世にはグレイな層がある
2007/04/06 21:49
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つきこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人生のごく若い時期に
世の中にはグレイの層があると知った事は
私にとって幸運だった。
世間は再び好景気にわいているらしい。
巷にそこはかとなく流れる浮かれムードとは
無縁の生活を送る私は
古い本を手にとって落ち着かない心を静めようとする。
グレイでもいいんだ。読み終わった後、私は安堵する。
真っ黒でもなく、ぴかぴかに光輝く白でもない、グレイな層。
少し息苦しい時もあるけれど、
恐らく今後そこから出る事はないであろう世界で
呼吸するのが少し楽になる。
20編の掌編からなる短編集。ひとつひとつはとても短い。
だがそこには普通に生きる普通の人の生き難さと
ほんのちょっとした事でその生き難さから浮上する瞬間が
それはもう見事に、鮮やかに、描き出されている。
どれも好きなのだが特に好きなのが
「グレイの層」「明るい雨空」「ほおずきの花束」
「ポケットの中」「星降る夜に」の五編。
それでも五編もあるがこれ以上は絞りきれない。
”人に優しく”。
なぜ優しい方がいいのか、
この五編を読むだけでもはっきりとする。
ほんのちょっとした事でいいのだ。
ほんのちょっとした優しさで、
普通の人は幸せな気持ちになれるのだから。
そんな事をこの本は教えてくれる。
そして、優しい気持ち・幸せな気持ちが多い方が
きっと生きやすい。
映画にアニメにゲームに様々なジャンルの影響を受け
その中であえて小説というスタイルを選んだ
現在の小説家の中にはとんでもなく豊かな才能の人がいる一方
ただ消費財としての小説を量産しているだけの人もいる。
本を読むのは退屈な時間をやり過ごすためだけなのか?
本を読むことで見過ごしてきた何かに気付く事がある。
言葉にならないもやもやした気持ちを代弁してくれる事がある。
そんな読者がいる事を置き去りにされたような気分の時に
私は彼女の小説を手に取る。
初版から既に15年近い歳月が流れ
夭逝したこの作者の新作をもう読む事はない。
その事を心から残念に思う。
一方、何かを確かに彼女から受け取った。
そう言える本と出会えて私は幸せだ。
電子書籍
グレーな人たち。
2017/03/17 09:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みしょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
真っ白で素敵な人生を歩んでいるわけでもなければ
真っ黒でどん底の人生を歩んでいるわけでもない。
その間にある、
グレーな人生を歩んでいる人々を描いた短編小説。
私自身、
グレーな人生を歩んでいる人種なので
とても共感できた。
自分の中にある、
言い知れぬ不安や生きづらさが
淡々と文章に表現されており
時折ハッとさせられる内容だった。
紙の本
題名に惹かれて
2020/03/10 20:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
海の鳥、空の魚という題名に惹かれてもうだいぶ前ですが読みました。群ようこさんのエッセイにも登場していて親近感があったので、若くして亡くなられたことがとても残念です。
紙の本
普段の生活の中にありそうな恋愛。
2001/04/18 22:28
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りーこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名を見たとき、あれ??と何度も読み直してしまったのが、この本です。「海に魚?そして空に魚?なんで?」ハテナの連続でした。短編集なのですが、普段の生活や、自分の思い出の中にしまってあるような、自然な感じのストーリーです。簡単に読めるし、読み終わった後の爽やかな印象が素敵です。表紙もおしゃれで、おすすめ。
紙の本
若さについて
2001/01/21 18:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りく - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分ではどうしようもない状況に陥った時。こんなはずじゃなかった、と誰もが不服そうに言う。ほんとうはもっと別の道があったはずだと。若さというのは、総じてそういった悔恨の繰り返しであって、うまく行くことの方がどちらかというと少ない。そしてその事実は、通りすぎてしばらく経った後に気づかされるものなのだろう。
この本に登場する男女は、そういうややこしい時期に身を置きつつ、どうにか浮上する機会を窺っているように思える。反面、どうしようもない場面で、自分を開花させる方法を模索しているのかもしれない。近道することばかりでなく、少し遠回りなくらいでも良いから、たくさんの感情を吐露しなくてはいけない。生きていくとは、そういうことだと思う。とにかく若い人に読んでもらいたい本である。