レンズの子供たち
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ドク・スミス、あなどりがたし
2003/04/12 20:08
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投稿者:成瀬 洋一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
スペースオペラの古典、レンズマン・シリーズもこの第4作で一応の完結となります。しかし50年代の古典SFといいつつ、あらためて新訳を読んでみると、今でも新しいし面白いんですね。単なる冒険活劇ではなく、人類の進化を扱ったSFとしても読めるのです。
逆に最近の作品とどこが違うのかなと考えると、「省き方」に特徴があることに気がつきました。通常なら1章あるいは1冊かけてもおかしくないエピソードを「それはここで語りきれることではないから語らない」とあっさり省略する思い切りの良さ。そのおかげで壮大なスケールの物語がポンポンポポンッとテンポよく流れていくのです。
今回の主役は偉大なるグレーレンズマンであるキンボール・キニスンの息子クリストファーであり、父親キムの方もあいかわらずコンゲームから白兵戦まで獅子奮迅の活躍です。しかし、何より印象的なのは女性陣の活躍でしょう。ケイ、キャシー、カム、コンの4人姉妹はそれぞれに個性ある能力者であり、実はウォーゼルやトレゴンシーらベテラン・レンズマンすら凌駕する第3段階レンズマンなのです。そしてレッド・レンズマンたるクラリッサも、最後には彼女の5人の子供たちさえ及ばない力を見せつけます。
2つの銀河系を舞台にした惑星規模、恒星系規模の宇宙艦隊戦から敵の罠にあえて飛び込んでいくヒーローの活躍まで、たっぷり堪能できる1冊です。これだけでも楽しく読めますが、できれば第1作『銀河パトロール隊』から始めた方が面白いですし、4冊読み終えたらそのまま正当な日本版続編である『サムライ・レンズマン』に突入するも良し。