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茶室殺人伝説
著者 今野敏 (著)
古都・鎌倉、相山流茶道の家元邸で開かれた茶会は御曹子婚約発表の場でもあった。その席で、ある男が胸に包丁を突き立てた死体となって発見される。手伝いとして現場にいた小高紅美子...
茶室殺人伝説
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茶室殺人伝説 (講談社文庫)
商品説明
古都・鎌倉、相山流茶道の家元邸で開かれた茶会は御曹子婚約発表の場でもあった。その席で、ある男が胸に包丁を突き立てた死体となって発見される。手伝いとして現場にいた小高紅美子は、家元の次男・秋次郎や県警の安積刑事と流派に隠された伝承と戦国時代にさかのぼる怨讐を追う。傑作長編ミステリー。
目次
- 第一章 茶室の死体
- 第二章 開祖の伝説
- 第三章 秘伝の披露
- 第四章 復讐の脚本
- 第五章 怨念の系譜
著者紹介
今野敏 (著)
- 略歴
- 1955年北海道生まれ。上智大学在学中に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。卒業後、レコード会社勤務を経て、執筆に専念。「隠蔽捜査」で吉川英治文学新人賞を受賞。
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紙の本
茶道を味わえるミステリ。
2011/09/23 11:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の刊行は2009年9月だけれど、
作品として世に発表されたのは1986年のこと。
書かれたのは25年も前のことだ。
1986年頃といえばバブルの頃?なのか、な。
バブル期を体感したことがないのでなかなかピンとこないのだけれど、
主人公である小高紅美子のキャラクターが
「一昔前」に感じられる。
とはいえ、ミステリとしては決して古くない。
現代の「火サス」でも十分通用する構成だろう。
裏を返せば、ミステリというよりも
「火サス」読み物ということなのだけれど。
と、ミステリ部分は「ほどほど」ではあるのだけれど、
本書のなによりも楽しいところは「茶道」とう舞台設定だ。
高校、大学と茶道部に属してした著者の茶道の知識は一級品。
(余談だけれど、自作の巻藁で練習を始めた空手は
今じゃ塾を開くほどの腕前というからそのギャップが面白い)
本書ではその知識が余すところなく生かされていて、
わたしのように茶道に明るくない者でも、
描写される茶の「道」に対する真摯な姿勢と
点前の様に圧倒されるほどである。
また、家元やその次男など、
脇を固めるキャラクターがなんとも愛らしく
それでいて恰好よいところも読みやすいポイントだ。
ガツンとくるミステリではないけれど、
サクサク読めて
普段知らない茶道の世界が垣間見られる、
ある意味お得な作品であると言える。