紙の本
北朝鮮の今後
2013/07/16 00:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:taka - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者と金正男氏とのメールのやり取り、及びインタビュー。
三代世襲制は物笑いの対象になる。ただし、北朝鮮国内の内部安定を求めるならばそうせざるを得ない、住民の生活向上をもっと考えてほしい、住民と指導者の間で障壁となっている者たちは、国の発展には決して役に立たないから消えてほしい、といった正男氏の切実な思いが感じられた。
紙の本
興味深い北朝鮮の顔
2012/01/26 15:40
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Keiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙からしていかにも「北朝鮮」と言った感じがあります。
何よりも報道で知られているように、不法入国してふらふらと遊びに日本へ来ていた犯罪者のイメージがとても強かったのですが、最近になってかなり温和なイメージが付きまとってきた中で読んでみると、意外や意外。
この人が亡命先でいかに自国を案じているか、また自国の体制について案じているかがわかります。
一記者である著者が金正男と出会った頃から、この本が出来上がるまでの様々な出来事も記載されていますが、どちらかと言うと金正男と言う男その者がどんな人物なのかと言うのが良く分かる本でした。
著者と金正男とのメールでのやり取りも記載され、インタビューまで事細かに掲載されていますが、洗脳国家であるのにこの人は北朝鮮色に染まる事無く、むしろ中の体制まで批判し父親である正日に警戒されながらも、北朝鮮が今の状況から脱却するにはどうするべきなのかを常に頭の中で考えていたようで、先ず第一の感想としては今まで良く生き延びられたな・・・と^^;
あちらこちらに出てくる北朝鮮が今の状況からの脱却手段を、金正男が生生しく著者とメールでやり取りした内容が書かれていますが、その中でも彼が日本に対して好印象を持ち、しかも居酒屋まで言っていたと言う事実。
そして中国との密接な関係に対しても、冷静な視線で付き合い方などを彼なりの考えとして持っています。
読み進める中で、かなり彼に対しての印象がガラリと変わると思います。
そして兄弟との確執も少なからずあるようで、金正男の北朝鮮に対する考えがぎゅっと濃縮された一冊だといっていいでしょう。
よくここまでまとめて出したなと思います。
逆に危険を伴う取材やメールのやり取りだったのではないかと、著者の身も案じてしまいますが・・・。
紙の本
びっくりするほど、「まとも」な人でした。
2012/02/05 01:32
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鷹の爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
思い出すのは、ディズニーランドに遊びに行く途中で、不法入国と言う事で帰還させられた人で、放蕩三昧のオボッちゃま、と言ったところだろうか。
著者は、
空港での立ち話 → メール交換 → インタビュー
と言う手段で、正男氏という人の考え方、人となりを紐解こうとしています。
時事的な話は、あまり突っ込んだ話は無いです。
「腹の中はどうなのさ?」と言いたくなるように、若干婉曲的、一般論的な印象を受けます。
彼の立場を考えると、あまり突っ込んでは言えないのかもしれません。
しかし、内政の事、世襲の事、自国民を憂いている事など、優れたバランス感覚を持っている事には驚かされました。
語学も堪能であり、渡航する機会が多い分、自国の状況を客観的に評価出来ているのでしょう。
あんなに悪政を敷いているところのオボッちゃまとは思えない、教養のある、非常にまともな人物だと思わされました。
日本が好きらしく(5回来日しているらしい)、親近感もわいてしまいました。
横田めぐみさん達を考えると不謹慎かも知れないけど、、、
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スクープという意味ではこんな本が出たというだけで5☆だが、読み進むにつれて内容がやや単調なのでひとつ削った。
著者は東京新聞記者。北朝鮮の要人を北京空港で張っていた時に偶然金正男に出くわす。そこにいた複数の記者たちはそろって金正男とメールをやりとりするが、なぜか著者とは他の記者よりも長く続いたようだ。一旦、メールのやりとりは打ち切られる。しかし2010年、金正男からメールが届いたのをきっかけに再開された。著者はインタビューにも成功している。
これまで報道された事でもあるけれど、金正男の「まっとうさ」が印象に残る。メールのやりとりでも、礼儀正しく、丁寧な受け答えだ。北朝鮮国外での長年の留学のたまものか、自国をきちんと客観視できているようだ。
金正日はもともと世襲には反対だった。しかし、金日成―金正日のラインを踏襲するものでないと人民がついてこないと判断したようである。大病を患って、結局は息子にと弱気になったのかもしれない。
金正男も世襲批判で冷や飯を食わされているようだが、なんのビジネスをしているかはわからないが、食べるのには困らないようである。著者の推理によると、金正男は元々は有力な後継者候補で、経済政策で金正日に直言したのを疎まれて、候補から外された。金正男は優しすぎて、あまり指導者タイプには思えない。
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メディアの露出も多いし、改めて驚愕の内容というほどでもなかった。一番しりたかった、祖国を「北韓」と呼ぶことについてもお茶を濁したままで真意はわからず。背表紙の一家集合写真が欲しくて買ったということで納得しようw
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東京新聞の記者である著者と、北朝鮮の金正男氏の取材録。交友録と言ってもいいかもしれない。
2004年に北京で邂逅。著者が名刺を渡したところから、現在まで続く交流を描いている。
北朝鮮の政治や経済はもちろん、新宿や赤坂の飲食店で過ごした日本渡航時の思い出など、何気ない日常会話を含めすべてがスクープといってもいいくらい刺激的。また、リベラルなスタンスの同氏が、祖国を現状を憂う気持ちがよく伝わってくる。
功を焦らず、長期間メールのやりとりを行い、じっくりと相手の心を融解。信頼を得て、直接インタビュー、最終的に出版にまでこぎつけた著者の粘りに脱帽。本当にスゴすぎる。
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メールのやり取りは価値があるかもしれないけど、記事にしたのを読むほどでもなかった。
「終章 金正男が平壌に帰る日」だけでよかった。
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金正男が自国を「北韓」という、北朝鮮を認めない韓国式の呼称で呼ぶことが何もおかしくないと言うくだりにはちょっとびっくり。北朝鮮を「北韓」とするのは韓国では一般的だが、北朝鮮にとってこの言葉は体制云々より以前にその存在を否定されるに等しい。正男は現体制下ではもう「共和国人」をやめる気なのか。
また世間に発表することを前提に「三代世襲反対」「改革・開放推進」「先軍政治批判」、強盛国家だろうが強盛大国だろうが実現は無理に決まっていると指摘するなど、北朝鮮の体制に真っ向から歯向かう発言を連ねている。亡き最高指導者の息子といえど公開処刑か暗殺をされてもおかしくないレベルの反体制的な立場を鮮明にした。ただ、こういう発言ができるには正男に対する中国の後ろ盾がしっかりしており、同国に財源の大半を頼っている北朝鮮は正男に対しおおっぴらには手出しができない状態にあるか、正男が海外における北朝鮮の裏資金源のルートを握っているかしているのではないかと思った。
メールの最後に「良い一日を」「良い週末を」といった韓国式メールの決まり挨拶を必ず入れたり、一介の外国人記者である著者に対する返信を、例え際どい質問があった後でも必ずその日のうちか、翌日までに素早く出しており、礼儀正しいというよりは自分の考えを発表するよう暗に急がせているのではないかとも取れるところや、東日本大震災に関し過剰とも思える気の使い方なども、正男が万が一中国に頼れなくなった場合、韓国か日本への亡命も視野に入れているか、北朝鮮が「崩壊」した場合に備え自由主義社会への心証を良くしておこうとしているのではないかと思われた。朝鮮の人の行動パターンとしてはそんなところだろうと推測する。ただ、そういった思惑の可能性を織り込んだ上でも正男は世界の中での北朝鮮の立ち位置をちゃんと把握しているし、人柄もなんか良さそうな人だという感じはした。
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北朝鮮の“未来の指導者”の告白記《赤松正雄の読書録ブログ》
隣国に住む罪なき外国人を国家として拉致したり、軍事力を増強させ続け、核開発にも余念がない。それでいて餓死者が続出するほどの食糧難に喘いでいる―まさに得体の知れぬ国が北朝鮮である。その国の指導者が亡くなって、後を継いだのが息子。人類史上稀に見る三代続く権力の世襲だ。この国の人々が何を考え、どう生きようとしているのか。まさに知りたいことが分からない。そこへ、指導者の長男がすべてを告白したと思われる本が出た。というのでは、売れない訳がない。
五味洋治『父・金正日と私 金正男独占告白』がその本だ。著者と私の関係は古い。私が党広報局長をしていた頃、東京新聞の公明党番記者だった。もう15年程前のことになる。しばらく見ないと思っていたら、韓国延世大学に語学留学し、ソウル支局を経て中国総局に勤務。主に朝鮮半島情勢を取材してきたという。30歳代半ばだった当時の彼は、どちらかといえば、大人しいタイプの記者で、目立たない存在であったように記憶する。その彼が、故金正日氏の長男・金正男氏との独占インタビューに成功し、電子メールのやり取り150通分を本にまとめたというから凄い。
一読してなぜ、この二人がこれほど親しくなったのかが分からない。気があったのだろうが、金正男氏の方にも五味記者を通じて最小限の情報を流すメリットを感じたのだろう。複数の記者と付き合いながら、最終的に五味記者だけが琴線に触れたに違いない。
それにしても正男氏が普通の感性の持ち主ということに驚く。父親にあれこれ注文もしている。そして北朝鮮の体制批判や今の国のあり様を憂えている。極めて用心深く、抑制を効かしながら。暴露本だと思っているとがっかりする。いたって紳士的なのだ。金正男という人物は。人は見かけによらぬものということを、表紙に使われた顔写真をみながら改めて思う。
五味氏は「正恩体制が破綻した際、思想的に中国に近い彼(正男氏)を平壌に送り込み、次期指導者に仕立て上げる目論見があるのだろう。中国が持つ最後の北朝鮮圧迫カードと言えよう」と結論づける。果たして、目論見通りにいくかどうか。読後感からすれば、難しいというのが実感だ。
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マサオブームに乗っかって購入。北朝鮮にもまともな思考をしている金正男のような人がいる事に安心した。中国との関係値をうまく継続して、いつかは北朝鮮の経済の改革・開放に向かって頑張って欲しい。
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メディアの作り上げた金正日、
息子が直接語る父上、
こうなるとなにが本当なんだかわからない。
けどたしかにメディアの言うことだけ聞いて、
わかってる気になってるよなぁ。
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著者と金正男とのメール&インタビュー。
正男って、気さくで賢い人だなと感じた。こうして普通に対話が成立しているってだけでもスゴイし。
もっと積極的に、外交に介入してくれたいいのにね。
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金正日国防委員長の息子とされる、金正男と思われる人とのメールのやり取りを基本にした本。
インタビュー・メールのやり取り・著者の五味さんの感想などが書いてある。
インタビューの内容とメール自体はよかったけど、その前後に入ってくる五味さんの主観とか感想がいらん。
推測とか憶測が多すぎて、読者を自分の主観の方へ誘導するような文章は、どうかと思う。
だから、結局内容が安くなった。
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金正男と親交のあるジャーナリストである著者が正男氏とのメールのやり取りを主軸に正男氏の人柄や考え方を明らかにした一冊
正直この本を読むまで正男氏はただの放蕩息子というイメージしかなかったが、それは大きな誤解だということがこの本を読んで分かった
正男氏のメール文面からは相手への配慮、世界情勢への見識の広さ、情報操作に関する慎重さ、ユーモアを持ち合わせている人物であることが読み取れる
正男氏は基本的に北朝鮮の政治とは関わりがなく、中国政府とも関係がないと一環して主張しているが、著者の終わり書きに中国政府は正恩体制崩壊時の最後のカードとして正男氏を保護していると書かれており、その見方には納得できる
この本を通して今まで持っていた北朝鮮という国に対するイメージがかなり変わった。単純に金正日という何も考えていない独裁者がのさばっている国という訳ではなく、金正日自身も置かれている状況に悩みながら自身が考えうる範囲で最良の選択肢を選んできたつもりなのだろう
それが国際的に歓迎される選択であるかどうかは別の問題ではあるが、独裁者とは言えやはり一人の人間だと思った
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旬の読書である。まぁ、今読まなきゃ読む機会もなくなるんだろうけど。
たまには時流に乗ってみる。笑。
金正男は言わずと知れた亡き北の将軍様の長男である。記者である著者が
北京空港で偶然見掛けた正男氏に名刺を渡したことから、メールでの交流を
経て、インタビューの機会を得る。
副題に「独占告白」とあるが、要は取材ノートを公開したようなものか。
以前、テレビ・ニュースで短いやり取りを見た限りでは聡明そうな印象を
受けた正男氏だが、この印象は本書を読んでも変わらなかったな。
海外への9年間の留学経験が彼の思想や人格形成に大きな影響を与えた
のだろう。報道から知る北朝鮮の人々とは、内に抱えているものが違うよう
に感じた。
「私は北朝鮮が「軍優先政治」をしようが、そんな政治をしようがかまわないが、
住民たちを少しだけでいいので、よく食べられる生活をさせてほしいという希望
だけです。
平壌でも感じたことですが、海外で北朝鮮住民たちの消息を聞いたり実状に
接する時、本当に心が痛いです。個人的見解ですが、私は北朝鮮に父親と
後継者を補助する幹部の中に、北朝鮮住民たちの民生に心より心配する
人がどれだけいるか考えてみました。遺憾ながら現実を見る時、そんなに
多くないようです。」
また、北朝鮮の経済政策についてもひどくまっとうなことを語っている。そして、
父である将軍様に中国ような開放政策を取ることを進言したとか。まぁ、これが
彼が後継者から外されるきっかけになったのだろうけど。
現在、中国を拠点にしている正男氏は北朝鮮の後見人・中国の切り札なの
だろうか。尚、後継者である弟には会ったことがないらしい。これって、それ
ぞれの取り巻きの権力抗争が原因なのかね。
正男氏の母親は、将軍様の愛情が他の女性に移ってから心を病んで
療養先のモスクワで死去している。「親孝行したかった」という言葉は、
彼も人の子なんだぁと感じて、ちょっと哀しくなったよ。