- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2012/02/13
- 出版社: KADOKAWA
- レーベル: 富士見ファンタジア文庫
- ISBN:978-4-8291-1775-0
BLACK BLOOD BROTHERS4-ブラック・ブラッド・ブラザーズ 倫敦舞曲-
やっと見つけた。もう迷わない。己の剣を捧げる相手。共に人生を歩む少女。だから次郎は――異形の牙をむくアリスに、微笑みかける。「……私の血が、必要ですか?」1895年、ロン...
BLACK BLOOD BROTHERS4-ブラック・ブラッド・ブラザーズ 倫敦舞曲-
商品説明
やっと見つけた。もう迷わない。己の剣を捧げる相手。共に人生を歩む少女。だから次郎は――異形の牙をむくアリスに、微笑みかける。「……私の血が、必要ですか?」1895年、ロンドン。留学中の大日本帝国海軍少尉・望月次郎は、連続殺人事件の捜査に関わることになる。「7年前に姿を消した切り裂きジャックが、吸血鬼になって戻ってきた」――そう噂される不可解な事件の影には、闇の世界の住人たちも絡んでいた。謎の男装の麗人・カサンドラ。その僕・ケイン。そして、月光の化身のようなアリス・イブ……。人間・望月次郎から、吸血鬼・望月ジローへ。これは長い長い闇の歴史における、知られざる一頁。百年の夜の、幕開けの物語。
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かつて人間だったジローさん。
2007/05/19 13:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中乃造 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間を意味するレッド・ブラッドに対し、ブラック・ブラッドは吸血鬼種族のこと。
BBBは近未来的架空世界が舞台の吸血鬼物語です。癖のあるキャラクター達が飛び交い、闘って闘って闘うライトノベル——というのが、これまでの展開に対して抱いた印象でした。キャラクターが好きなのと、なかなか明らかにされない設定を知りたくて読んできました。
で、今回は個人的に「ついに!」と言いたい過去編。ジローが吸血鬼になる以前、望月次郎だった頃のお話です。ただでさえ望んでいた「ジローの過去」であることに加え、それだけでごはん三杯食べられるよという十九世紀末のロンドンが舞台。ストーリー展開も、今回はじっくりと腰を据えて堪能する感触でした。既刊を飛ばしてこれ一本でも十分に楽しめそうな気がします。
大日本帝国海軍少尉の次郎が留学中のロンドンで、連続殺人事件が起こります。この事件、かつての切り裂きジャックが吸血鬼になって蘇ったと噂されています。シリーズがシリーズなので言うまでもなく、噂は真実です。実在したジャック・ザ・リパーに関して、吸血鬼なり! と扇動的に語られることは少なくありませんが、正真正銘吸血鬼だという設定は意外にも意外性が高く面白かったです。他にもちょっとした吸血鬼アイテムがふんだんに散らしてあり、それが好きな自分にはいちいち楽しいものでした。
日本海軍中尉が被害者になったことで、望月次郎は事件に関わっていき、その中でカーサやケイン、そしてアリスと運命的に出逢います。つまりは闇の世界に足を踏み入れてしまいます。
正直なところ、アリスを私は好きになれずにいたのですが、今回の終盤はさすがにグッとくるものがありました。次郎を想ったアリスの気持ちは想像を遙かに超えたところにあるのでしょうが、その総てが冒頭のリリックに表現されていると思います。
長いスパンでの次郎の物語も良かったです。今となっては慇懃無礼の権化みたいな彼ですが、実直な青年だったロンドン時代、そして祖父と過ごした幼い日々。厳しくて大変な偏屈だった祖父との思い出は微笑ましく、また剣士としての成長を見ることが出来て、とても楽しかったです。
相変わらず読み逃せない吸血シーンですが、今回エロさは薄い一方で過激度は増していました。クライマックスのここに至って一見ロマンチックなサブタイトルの意味を知り、複雑な感動を味わいました。
さて、過去編を読めて欲求は解消されたかというと全くそうではありません。今回語られたロンドンから現在に至るまでに何があったのか。もどかしさは募るばかり。どうしてジローはこんなにひねくれたのか(笑)……そしてなにより、彼の刀が「銀刀」になる経緯も。本編でも既に触れられている「九龍ショック」がやはり要なのでしょう。いそいそと読み進めようと思います。