DOLL (6)
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小説並みの読後感
2022/02/04 15:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まっちゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一冊の小説を読みきった位の読みごたえ。全体的なほの暗さと、アンドロイドの融合が良い。とても素晴らしい作品に出会えました。
ロボットは、心を持った「ヒト」ではない。
2004/01/04 01:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kbn1215 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間と同じ心を持ったロボット‥夢がある。美しい理想だと思う。
だが、果たして本当に「同じ心を持つ機械」が生まれた世界というのは、素晴らしいものだろうか?
表題にもなっている「DOLL」は、非常に性能の良いロボットである。
家事雑用などを行う便利な道具として、高価ではあるが(恐らく、相場は1千万円から2千万円なのだと思う)、代価さえ支払えば、誰にでも手に入るものだ。人間の使用人のように、命令すれば仕事をするので、誰にでも扱える。
主な用途が「メイド代わり」であるからか、DOLLは多くが女性型で、非常に美しいことを除けば、人間と左程変わらない外観を持っている。「商品」である彼女たちが美しいのは当然かも知れない、購入者だって、見栄えの良い、素敵なデザインの道具の方が、嬉しいに決まっている。
機械であるだけに、どれも仕事は確実にこなす。「壊れて」いない限り、パソコンや家電と一緒だ、ユーザーの命令通りに動く。いくつかの制限はあるらしいが、例えば「死体」を埋めることも命令であれば、気に留めず行う。
人間関係を上手く持てない人間ほど、彼女たちに救いを求めている。
それが、良い結果をもたらす時もあるが、悲しい結末を迎えることもある。彼女たちが、結局は「機械」であることを、この物語は強調し続ける。
自然な表情を得て、あたかも「心」を持っているように気配りをする「DOLL」たち。人間は、それに導かれるように時に心を取り戻しさえする。
しかし、彼女たちは最期まで「心」を得ることは、出来ない。
何故なら、彼女たちは「機械」だから。
その、人工の心に縋って生きる人間たちは、悲しい。だが、もし彼女たちに「本当の心」が宿っていたのだとしたら、それこそ悲劇ではないだろうか。
あくまでも、彼女たちは「良く出来た機械」として造られ、壊れていく。
見た目は寸分人間と変わらない彼女らを平気で叩き壊す人間も、自らの娘のように、必死で守ろうとする人間も、高価な機械を持っている隣人を嫉妬の目で見る人間も、心を持っている。心は、善なるものだけとは限らない。
しかし、機械に心はない。
いつしか、彼女たちのようなロボットが現れるに違いない。その時に、誰かがこの作品を思い出すだろう。ようやくロボットが2本の足で歩き出した当時の物語として。
人間と区別のつかないロボットが、実現しそうな未来が近づきつつある今だからこその名作だと思う。