諸葛孔明
著者 植村清二
『三国志』の主人公の一人である諸葛孔明。三国時代(220~280年)、蜀の宰相として活躍した彼は、曹操の魏や孫権の呉に比べて劣勢だった蜀の勢力を拡大し、主君の劉備亡き後も...
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商品説明
『三国志』の主人公の一人である諸葛孔明。三国時代(220~280年)、蜀の宰相として活躍した彼は、曹操の魏や孫権の呉に比べて劣勢だった蜀の勢力を拡大し、主君の劉備亡き後も、縦横無尽の機略によって支えた。以来、二千年を経た今日まで「戦略家」「参謀」の天才として語り継がれている。基礎文献を丁寧に紹介しながら、稀代の軍師の素顔と事績に迫る。
目次
- 一 外戚と宦官/二 群雄の割拠/三 曹操と劉備/四 孔明の出身/五 草廬の三顧/六 曹操の南征/七 赤壁の戦/八 荊州の占領/九 益州の征服/一〇 漢中の占領/一一 荊州の失陥/一二 劉備の即位/一三 劉備の敗軍とその死/一四 呉との国交回復/一五 孔明の南征/一六 出師の表/一七 孔明の北征/一八 五丈原/一九 孔明の人物/諸葛氏略系/参考文献/あとがき/諸葛孔明年表/文庫版のあとがき
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簡潔明瞭な伝記。あらためて諸葛孔明に魅力を感じた
2011/09/11 12:04
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、旧制松山高校、新潟高校、新制新潟大学、国士舘大学の名物教授であったという。専攻は東洋史で、一般向けの著書もいくつかあるそうだが、寡聞にして今回のこの本で初めて知った。
内容は題名どおり、「諸葛孔明」の行迹である。日本人に人気のある悲劇的な名軍師であるが、残された記録や資料は少ない。それらの史料を詳細に読みとき比較参照し縦横にまとめ、簡潔明瞭な伝記に仕上げている。背景となる三国時代の政治状況もわかりやすく簡明に紹介してある。飾り気のない澄んだ文章であり、学識のみならず、文章力、表現力も優れている。直木三十五の実弟であるというが、分かりやすく読者にうったえるような書き方がある。いくつかの節の最後に、日本の歴史上の人物との比較対応が一言書いてある。この年代の教育者の教養の広さと深さも窺われる言葉である。
自分では正史である三国志さえも読んだことがなく、読んだのは三国志演義だけである。高校の漢文の授業では三国志の一部と「出師の表」は読まされた。「諸葛亮。字は孔明。琅邪陽の人なり。」という一文だけは今でも記憶にある。諸葛孔明の人となりや生き方には、現代人をも感動させ魅惑するものがある。高校時代の漢文の授業も思い出しながら、あらためて諸葛孔明に魅力を感じた。