商品説明
乱歩賞作家による長編ミステリーの傑作。あの金さえあれば――。大金の入った忘れ物のバッグを、ネコババしようとする初老の男。暴力団に2000万円もの借金をして、返済に窮する悪徳刑事。FXで失敗した借金を返すために、デリヘルで働く主婦。金の誘惑におぼれ、犯罪に手を染めていく、獣たちの運命は――。
著者紹介
曽根圭介 (著)
- 略歴
- 1967年静岡県生まれ。早稲田大学商学部中退。「鼻」で日本ホラー小説大賞短編賞、「沈底魚」で江戸川乱歩賞、「熱帯夜」で日本推理作家協会賞・短編部門を受賞。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
溺れる者のつかむ藁は一見、丈夫そうなのに
2011/09/27 17:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
24時間営業のサウナ定員の赤松寛治は59歳。
初期の認知症の母と
介護をしながらパートで働き
文句ひとつ言わない妻とともに暮らす。
妻がケガして働けなくなり、自分もクビ。
娘は住宅ローンでキュウキュウしています。
生活安全課の刑事江波戸良介は38歳。
在日韓国人の女に持ち込まれたおいしい副業から派生した、
ヤクザからの借金が2000万円に膨らんでいます。
スナック菓子工場でパートをしながら
デリヘル嬢も週に2回勤める主婦の庄田美奈は32歳。
エリート研究員の夫のDVに耐える日々に
デリヘルの若いお客から言い寄られて……。
曽根圭介にしては一般人を扱った小説で
始まりは静かなのですが、そこはやはり曽根圭介。
彼らをどんどん窮乏生活に追いやり、
つい目の前の大金やうまい話に乗せ
さらに困窮させていく、破滅型小説。うまいうまい。
絶妙なタイミングで救いの手が
差し伸べられるかに思えるのですが
それがとんでもない選択肢。
転落人生を容赦なく描きます。
怖いけど、おもしろい。
ラスト、3人の話が一本に集結していくのもうまい。