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「患者さま」という偽善に満ちた呼称を役人が押し付けたことで、医者は患者に「買われる」サービス業にされた…。医療にまつわる様々な偽善を現役医師が一喝する。「セカンドオピニオンのせいで患者と医者が疲弊する」「インフォームドコンセントは本当に良いことか」「有名人の癌闘病記は間違いだらけ」「病院ランキングは有害である」「安楽死を殺人扱いするな」―。毒と怒りと医者の矜持が詰まった問題提起の書。
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師匠のブログを読んで買いました。
日本臨床腫瘍学会の評議員の先生が書かれた本です。
がん治療に携わっている者として
行うべき治療が無くなったときの対処や
患者からの心ばかりの品を受け取ったときの話など
ペンネームではあれども
考えがストレートに書いてあって
考えさせられ、勉強になった本でした。
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なかなか面白かった。現役医師の側からの率直な提言集。個人的には「患者さま撲滅運動」、「インフォームドコンセントハラスメント」などが興味深かった。患者の態度や医療に関する報道への批判が多いように受取られるかもしれないが、裏を返せば、医師側が能力をフルに生かして自信を持って患者の治療にあたるべし、という逆説的な医師としての心得集だと思う。まあ医療に関する法律論に関して一部の弁護士の意見のみを参照しているのは、ご愛嬌か。
ちなみに、筆者の名前は、「白い巨塔」に出てくる登場人物から拝借したらしい。本名ではこの本は出せないところに今の医療の問題点があるような気もする。
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著者は現在の医療の現場やそれを取り巻く諸々に見られる問題点を個別・具体的に取り上げていて、それらに関するデータや考え方もまた大変興味深く、私にとって新しい知見も多くありました。ただ私は、著者の意図は個々の問題を個別にあげつらうことよりも、なぜ現在の医療があるべき・あらまほしき姿から外れ、本来の意図とは違う方向へ進んでしまっているのか、何がそうさせているのか、その大元に対する告発にあるのではなかろうか、という感想を持ちました。
そういう意味で告発本と言えば言えるかも知れませんが、単にコレコレはけしからん、ナニナニはとんでもない、そうだそうだ全くだで終わるわけではない。「偽善」の指摘とそれに対する怒りとともに、本来はそうじゃないはずだ、なぜそうなってしまうんだ、なぜ人を幸せにできないんだ、という嘆きと憤りを感じたし、著者が俎上に乗せるのは、事理を弁え心を砕いて物事を真剣に考えないために起きている誤解や怠慢、形式主義が多いように思います。だから、読んでいる我々の方にも責任の一端があったり、思わぬ問いを突きつけられたり、少なからぬインパクトがある。
詳細は http://hoch.jugem.jp/?eid=267
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医療の「ここがへんだよ!」ということに突っ込んでいる。
患者様という表現はおかしい!と言っている。
なぜなら病気してなぜえらくならなければならないのかという話。
病院経営を普通の客商売と一緒にするなという話。
おもしろかった。
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医者にかかることは、マックにハンバーガーを買いに行くのと同じではないし、
合理化を目指して平均値にならしたデータから、
誰にでも出来る仕事を増やすことが良いこととは思えない。
著者が「人情」という言葉を使うように、対応は個々によって異なるものだ。
お互いの傲慢さ、怠惰さやせっかちさが絡み合って
信頼を持ちにくい関係が作られている。
いざという時に迷わないように、この本は手元に置いてまた読みたいと思う本。
3年後に再読
最初に読んだ時「何かあった時の為に読んでおいてよかった」と思ったが
何かあってしまったので、読み直した。
データをいかに使うか、数字の後ろの背景をどれだけ知るか、
ランキング一つ、パーセント一つも、
表に出てしまうとそれだけで勝手に独り歩きしてしまうもの。
中に潜むバイアスに気づくこと、
結果に至るまでには膨大な時間と手間がかかることを知っておくこと、
自分が迷わないように、だまされないように気をつけるために。
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言葉は思考を規定する
近畿大学小児科 末期の小児患者がいよいよと言う時にはすべての生命維持の管をはずすという。なんのために?最後の瞬間、親に抱いてもらうために。
希望は美味しい朝飯だが、まずい晩飯である フランシスベーコン
本来設備は、これこれで必要だからこのくらいつくる、といものであって、まずは最新鋭のものを作ってから使い道を考える、のではないはずである
決して謝らないのは何事もさなないものばかりである ロマン・ロラン ジャンクリストフ
人情は、倫理や規則より上位である
汚職は国を滅ぼさないが正義は滅ぼす 山本夏彦
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一般論・建前論・精神論・根性論などいっさい無しの赤裸々トーク。元老院がいて自由に発言ができないこの分野にてこういう本は実に実に貴重だと思います。
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人情に基づいて話を進める断りもあり、感情的な文書が多い。
その為読むのに前半は気が乗らない部分が多かったが、
後半には思わず笑ってしまう部分もあった。
多分に一般的な医療本で推進する内容や、
マスコミの情報操作のような内容を否定する内容が多いので、
この本も一意見として鵜呑みにしすぎず読むとよいかと思います。
■患者さまという呼称
これがお上の一言で始まったというのは本当に冗談かと思った。
「さま」なんて言葉は仰る通り、全く心には思ってなく使う。
本当にコミュニケーションをちゃんと取ろうと思ったら「さま」なんて絶対に使わない。
「xxさん」って言われた方がよっぽど信頼できる。
企業だって肩書きではなく「さん」づけで呼ぶのを
推進する理由とか見ればわかるでしょうよ。
■セカンドオピニオン
今の医者と折り合いが合わず愚痴を並べるだけで
治療について理解していない。
あくまで現状の治療方針に意見するだけで、
面倒を代わってみるわけではない。
セカンドオピニオンにかかる医者に丸投げ。
有効だった話は、後から診る医者の方が有利だから。
たとえ有効な使い方が出来ても、それを患者が判断できるか?
専門の医者が話し合ってパターナリズムから判断して
患者に説明するのが一番の得策。
→実際に志・アンテナが高い医者ばかりじゃないし、
専門外のところの説明は専門外の先生から聞くより、
専門の先生から聞きたい。
もし本当に専門の先生に問い合わせて相談してくれて、
方針を変えてくれたり、必要な転院も出来るなら
それに越したことはないと思うが。
■有力者の紹介は意味が無い
あるとすればその病院関係者ぐらい。
■安楽死?で殺人扱い
人工呼吸器をはずすタイミング(数十分の差)だけで犯罪になる。
いずれ死ぬ、植物状態の今後を考えたら一番いいタイミングを
多少の演出はするべきである。
■病院ランキングは有害
かつての名医の紹介。
死亡率などの数字は難しい手術や患者を避ければいいだけ。
死亡率0%は理想の数字ではない。リスク回避の疑い。
■治らないなら告知しないで
わかるわけない
■早期がんは治る
治る癌を早期がんと呼ばなくなったり、
技術の進歩だけではなく定義が変わっている。
■インフォームドコンセントハラスメント
何でも感でも同意書を書かせるほうが不信感を募る。
何に対して?ありもしないことにもすべて同意を取るのか?
試験の終わった治験薬で副作用が出たら、
健康な相手にも同意を取ろうとした。協力者はどう思う
■何もしないほうがつらい
「何かやって欲しい」となるのが人情だが、
医者には「だめもとでやってみましょう」というほうが楽。
最新治療も含め、立証されていない治療法が数多く存在する。
それをビジネスにしているものも然り。
■贈り物は受け取るべき
差し当たりのないものまで機械的に断るな。
そういった文化の中で生きてきた人にすればきわめて不愉快。
下心があって渡したところで何のプラスにもならない。
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おもしろかったです。
医療現場がどういうところか知るにはとてもいいと思いました。
少し過激な言葉を選ばれている箇所があり、私はそこにひっかかるものがありました。
内容がおもしろいだけに、少し残念です。
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今年最高の出会いかもしれない。医療の現場に長年携わり、命と密接にかかわってきた著者の生々しい発言に心迫るものがある。
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患者様撲滅運動や、なくなれセカンドオピニオンなど結構インパクトのある章だて。筆者の私感が全面にでていてくどく感じることもあるが、医療サイドからみた裏側などが分かって興味深く感じた。
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里見清一(國頭英夫さんのペンネーム)の最近の医療に対する問題提起の本。
インフォームドコンセントやセカンドオピニオンなど、患者との関係が劇的に変化する昨今の医療について警鐘を鳴らしている、という感じでした。
すごく辛口で独善的な印象のある文体なのですが、著者の主観的な意見と客観的な情報を上手に織り交ぜてなかなか説得力のある内容でした。パターナリズムについては僕自身もどう扱うべきか迷うところもありますが、医療の専門家として責任をもって患者と接すべしという著者の意見には賛成します。勿論これはバランスが難しいんですけどね(汗)自分の意見を書きたい放題の本なんだろうな、と斜に構えて読み始めてみると、ちょこちょことエビデンスを持ってきてうまいこと文章をまとめる文章力には「やるな」と思って読んでいました。
歯科の病気(主に虫歯と歯周病)は生涯の友とも言えるほど、歯があるかぎりリスクがゼロにならないという特徴もあって、著者が力説する「患者と医者の信頼関係」(学校ではラポールなんて言葉で習います)については重要だなーと再確認しました。訴訟の時の言い訳に使う説明文書ではないインフォームドコンセントの在り方。だいじ。
ちょっと前に読んだ「統計学は最強の学問である」も同じく統計と自分の意見ゴリ押しの本だったのに、こっちの本の方が説得力があるのはなんでなんだろう。
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なかなかエネルギッシュで情にあふれた文章. いつも背伸びしすぎた文章ばかり読んでいたので(それはそれで大事だとも思うけど...), こういう文章は本当にすんなりと心に響いてきた. それだけじゃなく, 内容的にも一知半解の怖さに思い至らされる部分があり, 新書の中ではかなりよかった.
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今までに読んだ医療関係の本でベスト!
以前ガン治療放置論の本を読んで成る程と思ったが、ガンの種類や症状によって手術、抗がん剤、放射線治療の標準治療も必要で効果ありという当たり前のことを教えられた。又、どんな治療も副作用によって症状が悪化したりしに至ることもある。
治療のポイントは
①生存期間(延命)②症状が極力出ないこと。生活の質。QOL。③コスト。治療費用がいくらかかるか。
である。
結論は技術と人格が信頼できる医者に出会い治療を任せること。そういう運の良い人間になること。