エアマスター(11)
著者 柴田ヨクサル
無敵の女子高生「エアマスター」こと相川摩季。そんな彼女が、ストリートファイターの「深道ランキング」に本格参戦…。それは壮絶で熱すぎるファイトの始まりを意味していた!!
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超個性派・ゲーム感覚のストリートファイター達
2003/07/15 18:06
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投稿者:uwasano - この投稿者のレビュー一覧を見る
深道ランキング20位から11位までが集まる専用のストリートファイト場は、ビルの屋上だった。そこにいたランカーの17位、15位、14位、11位を倒したエアマスター・摩季。しかし、突然現れたヤル気満々のランカー6位=駒田シゲオの乱入により、本気を出さなかった摩季は倒されかける。この闘いは摩季と中ノ谷美奈との接触により、中断されてしまう。翌日、偶然ゲームセンターで相まみえる摩季とシゲオ。そこで繰り出されるエアマスターの新必殺技とは?
エアマスター達が深道ランキングの上位ランカーに接触する第11巻である。他の格闘漫画やスポ根漫画とは、一線を画する漫画「エアマスター」の醍醐味を味わえる。
スポ根漫画では必殺技の特訓や修行のシーンがありがちだ。主人公の「努力」「根性」を体現させた特訓により、「勝利」という果実を得るという因果律のパターンだ。しかし、「エアマスター」は違う。この物語は言わば「ゲーム感覚」なのだ。
思えばこの物語は当初からゲーム感覚だった。例えば、坂本ジュリエッタとの決闘前(第4巻)、摩季は父・佐伯四郎に対し、「1日でレベルあげたいの」というセリフとともに、スパーリングを行う。この時、摩季は闘いのノリとヒントをつかむのだが、特訓・修行というイメージではない。また、女子プロレス編(第8巻)の時も、リングに上がる前日までゲームセンターで遊んでいるという、日常生活のままだった。特訓・修行などやってない。格闘技における摩季の天才性を表現しているという意味以外に、次のように解釈が出来る。
坂本ジュリエッタとの決闘も、佐伯四郎とのスパーリングも、ゲームセンターでのゲームも、女子プロレスでの闘いも、全部「ゲーム感覚」なのである。ライバルに勝つことを人生の唯一の目的とするような、競技に命をかけるというような、梶原一騎漫画のスポ根のノリではないのだ。ストリートファイターと接触したらどう反応するか、というゲームをやっている、ゲーム感覚のノリなのだ。
この第11巻で登場するランカー10位=カワハラやランカー6位=シゲオは、「ゲーム感覚」を受肉化したようなキャラクターである。拳闘の技を持つカワハラは、自分の格闘スタイルをシューティング・ゲームに例えている。そして、何といってもシゲオだ。格闘ゲームのキャラクターであるアキオ(モデルは「バーチャファイター」の晶)を師匠と呼び、自身を「実写版アキオ」と名乗る彼は、まさにゲーム性を具体化したものだ。彼ら超個性派のランカー達は、ストリートファイトをゲーム感覚で行い、戦う時も楽しそうだ。こんなゲーム感覚そのもののキャラは、梶原一騎漫画には出てこない。
「エアマスター」はゲーム感覚を体感する漫画だったわけだ。スポ根のノリだけ慣れている人の場合、この漫画に取っ付きにくいかもしれない。しかし、このゲームのノリも慣れるとけっこうハマる。
第11巻のラストで摩季と対峙する敵は「忍者」だ。これもゲームのキャラみたいだ。