他人に伝わる文章とは
2009/09/29 22:57
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
編集者に預けられたまま、46年間発表されることのなかった遠藤周作氏の原稿を書籍化したもの。
しかし、未発表原稿だからという理由だけで刊行されたわけではないことは、この本を読むと良く分かる。手紙の書き方を指南する随筆なのだが、それだけに留まらず、他人に伝わる文章をいかに書くかについて、分かりやすく、面白く説明されている。
おそらく、現在たくさん出ているであろう「手紙の書き方」、「メールの書き方」といった本のほとんどよりも、この本の方が参考になる部分が多いだろう。なぜなら、一つの形を提示するのではなく、「読む人の身になって」という基本原則を守って、あとは相手との関係の中でどういう手紙を書くのが良いか、色々な例を挙げて紹介しているから。むしろ、決まりきった文章は「読む側になんの感興も、感動の起こさぬ」(p.63)のである。この本で紹介されている文章の書き方は、手紙に限らず色々な場合に応用できる。
また「読む人の身になって」を原則に挙げるだけあって、文章の中にはユーモアやサービス精神がたくさんある。また当時の時事的な固有名詞(俳優の名前など)には注も付いているし、今読んでも古い感じはない。
いまにも通じる読む人への心くばり
2018/11/18 11:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:cisqua - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書では手紙を書くことが取り上げられています。現代では書くことはメールやSNSに手段を変えつつありますが、本質は変わっていません。
本書の繰り返し表現されているのは「読む人の心」を考えて書くことです。
SNS等では炎上というような現象が起き、話題となることがよく見られます。それを意識的に起こしているのなら言うことないですが、炎上する文章を見てみると「炎上するのもわかる」と言うような書きぶりがほとんどです。
現在の書くことについて過去と大きく異なるのは双方向性が増したことです。昔なら、例えば本書の題材でもある手紙は自分と相手、広げたとしてもその関係者(両親等)にとどまるでしょう。しかしSNS等の登場により展開する先が増えましたし、読者が増えることでスピード感を求められることもしばしばです。
このような環境の中でも一つ一つの文章にどういった意味があるのか、その意味を決定するのは読み手であることを意識していかなければならないことを本書では気づかせてくれます。
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やっぱり古さが先にたつかなぁ、という感じでした。手紙の例がいくつか載っているのですが、ダメな例はもちろんダメですが、良いと書いてある例もいまいちです。特に恋文例は時代と共に変わりますからね。もちろん、男の人が書いているっていうのもあるのかもしれませんが。
一つだけ現代にも通じるのは、手紙をもらうのはやっぱりうれしいよね、ってことですかね。
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遠藤周作の背景を知って、愛着を感じてから読んだらわかることがたくさん含まれていると思う。
僕は何も知らないから、基本的には退屈に感じてしまった。
時々、ギラリと鋭いことが書かれていたりして、なるほどぉとなった。
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幅広い作品を生み出した、かの文豪の1冊です。
でも、何と言っても目を引くのは、数多い新潮文庫においても最長かと思われるこのタイトル。
実はこれ、書き出しの一文。つまりは、もともとタイトルが無かったのでありました。
というのも、著者の没後10年を経て奇跡的に見つかった未発表稿だったわけです。
で、気になる中身の方はといいますと、これがラブレター講座といった内容。
男性からの恋文の書き方についてが主題となっていますが、ほかにも、女性からの断り方、お悔やみやお見舞いの書き方など多岐にわたっております。
そして、そこに記された作文技術は文章全般に応用可能なだけでなく、他人との接し方、ひいてはその人の生き方全般にまで通じるものを感じます。
この原稿が書かれたのは、なんと50年前。
ですが、半世紀を経てもなおその内容が輝きを放ち続けるのは、筆者の力量もさることながら、手紙というものが“ヒトの気持ちを伝える”ためにある、という本質を射ぬいてるからなのでしょう。
読んでいて、手紙を書きたくさせてくれた1冊でした。
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遠藤周作の、亡くなってから10年後に見つかった
未発表の作品なのだそうです。60年代に書かれたものです。
手紙の書き方本です。
ラブレターの書き方に、男性編は「誘う文章」、女性編は
「やわらかい断り方」というテーマを選んでいるあたり、
時代を感じますが、いま読んでもぜんぜん古くさいカンジが
しません。モチロン、内容だとか、「~したまえ」「~ですわ」
などといった語り口は古いものですが、文章を書く姿勢だとか
考え方だとかは現代に通じるものがあるのだと思います。
やっぱり狐狸庵先生のエッセイ(ハウツーでしょうか)は
面白いです。思わず「むふふ」となってしまいます。
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題名と、作者に惹かれて手に取りました。
こんな本も書いていたなんて・・・あなどりがたし。
立ち読みですが、面白かったのでいつか買おうと思っています。
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まだわからない
で、今日読み終わりました。
おもいやりの本。
いま、読めてよかった。
今だから大切に思える本。
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47年前に書かれた作品らしいのですが、時代は変われど色恋は変わりません。これは手紙の書き方ハウトゥー本です。メディアが手紙からメールになっても十分活用出来る素晴らしい提案ばかりです!必読!
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知り合いのおじいちゃんに話しかけられてる気分になる。
これを読むと会話している気分になれるから好き。
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手紙の書き方を教えているようであるが・・・
設定、語調に時代の隔たりを感じるものの
根底に流れる相手の身になった振る舞い
陽ではなく影をえがく視点
抑えた感情であり表現に盛り込まれた愛の心
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手紙のすすめ、そしてどのように書いたら好まれるかが書いてあります。
今でもメール技術に十分応用できることが多く載っています。
男性が意中の女性にどのように誘えば効果的かなどもかいてあって面白い。
ただ、女性に対して書いているのは、綺麗な断り方のみ。誘うほうはないみたい。そこには時代の変化を感じますが、やっぱり女性から誘わないで男性に誘ってもらう様に振る舞うのがいいのかなぁとも思いました。
Dec 2010
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私は遠藤周作の小説とエッセイが好きです。結構熱心なファンかもしれません。この人の作品は沢山読みたいけど、読み尽くしてしまうのが怖くてたまに文庫本を買うくらいしかできません(笑)今回は実家に帰る途中で、フェリーの中で読むのに丁度いい本はないだろうかと思って買ったのが『十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。』です。何ともユニークな書名(笑)
そもそもこの本は、遠藤周作の死後発見された未発表の原稿を文庫化したものだそうです。手紙の書き方を良い例も悪い例も取り混ぜてユーモアたっぷりに語った本です。軽くサクサク読めてなおかつ面白い!思わず吹き出してしまうことが何度もありました。そして本来の目的である手紙の書き方の指南書としても、『これは是非参考にしたい!』と思えることが沢山書いていました。
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この人もこんな本書くんだ!!
と思った。どことなく啓発本的で、なにかの入門書的なものを。
ところどころに入っている
笑わせポイント、に時代を感じた。
でも、たいせつにすべきことに
いまもむかしもおおきなへんかはないようにおもえた。
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46年以上も前に書き下ろされた文章が偶然見つかった、奇跡のエッセー集。
今「手紙」が見直され、経営者(ホッピーとか)や経営者じゃなくても秘書さんでも手紙を重要視されている方が多いのですが、手紙の効用を再認識した今だからこそ、目を通す価値があるのではないでしょうか。
確かに昭和のあの時代を彷彿させるような(私はまだ25の小娘で当時の時代を生きていたわけではないのですが)事例であることもありますが、「相手を思いやる」「相手によりそう」ことが重要であるという、氏の作品の根底に流れるテーマも含まれており、氏のユーモアエッセー群とはちょっと違うのかなと。感じました。