紙の本
事故から7年半
2018/09/15 11:49
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フクイチ原発のルポ。メルトダウンしたのはフクイチだけでなく、東京電力、経済産業省もそうだし、日本の政治、経済界すべてだったようだ。フクイチ事故対応はまだまだ続くのに、メルトダウンした東電や経産省、日本の政治・経済界は事故前に戻ってしまっている。
福島の惨状、被災された住民の方々の苦難をよそに、保身と責任逃れの連鎖は続く。
全国民にツケを回すな、責任を自覚し、誠心誠意対処せよ、と言いたくなる。管元総理はいろいろ批判されるけれども、彼がいたからまだよかったのかもしれない。
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あらためて震災当時の事が思い出される。都内で震災にあったが、あの不気味な揺れと怖さが甦ります。
読みごたえ十分な内容で、あれだけ放射線汚染を恐れていた市民とは裏腹に、会社や組織または己の保身に一生懸命な東電や関係省庁関係者、そしてあまりに無能な当時の民主党政権に怒りをおぼえます。起こさない事は大前提だが、起きてしまった事故に対して、適切な対応のできる政府であり役所であって欲しい。
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本書の帯にもあるように、まさしく「愚かな人間たちの物語」である。
書名の『メルトダウン』は福島第一原発だけのことではない。東電も政治家たちも霞ヶ関の役人たちもマスコミ各社も皆、自らの保身と責任転嫁に明け暮れている姿は、浅ましさとおぞましさが同居している。モラルがメルトダウンしているのだ。
民主党から自民党に政権が移行して、ますますこの溶融は進んでいくだろう。被災者・避難者は取り残されたままだ。
著者には取材を続けて、是非とも第二部も上梓していただいきたいものである。
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福一の事故から、野田政権期までの対応についてまとめた本。多くのアクターが出てくるが、政府と東電が主なアクターとなる。一連のプロセスについて、綿密な取材に基づき書かれている。(しかし、やはり少数でやるためか、裏付けの面で限界はある。)
感想としては、政府や東電の杜撰な対応や脱原発阻止に向かう、いわゆる原子力ムラの活動など、見るに耐えない。よーくわかったことは、既得権益があるとそれを手放さないということである。本書を通じて、どうすれば、原子力以外でも既得権益を手放すように持っていけるのかを考える機会となったと思う。
また、我が国の組織は、責任の所在を避ける傾向に動きがちになることも感じた。
さらに、日本の行政組織に多い、ジェネラリスト志向の弊害もうかがい知ることができた。本書で指摘されていたこととして、ジェネラリストが多いと、成熟された政策立案、特に既存の枠組みを崩すような政策立案は難しい。そのため、調整に徹する事務屋に陥ってしまうと筆者は指摘している。当然、スペシャリスト志向にも問題はあるが、行政組織の人事管理や制度のあり方も再考すべきなのでは、と感じた。
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日本の政治に疑問や不満を持っているなら読んでみるといい。
本当にバカなやつらがいろんなことを勝手に決めようとしていることがよくわかる。
マスメディアもバカばっかり。毎日どんどん記事を書かなくちゃいけないから勉強する暇もなくて大変なのは分かるけど、ちょっと考えれば分かるような騙しに引っ掛かるのはやめてくれ。
そうだ、知っているとは思うけど、読売・日経・産経は原発推進派だから、購読している人は読み方に気を付けよう。
で、文句ばっかり言っていても意味がない。俺はどうすればいいのか。
考えた。
原発の仕組みや運用の大変さ、放射能の恐ろしさについて、それを知らない人たちに教えていくことにする。たくさんの事実を。
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面白かったが、長すぎてつかれました。
津波の後の福島第一原発の章はかなりの緊張感で
よかったですね。
今現実におきていることと錯覚しながらよんでいました。
それから、枝野さんと東電のせめぎあいも
読み応えがありました。
ただ、全体としては仕方がないとおもいますが、
興味がやや薄れるところは中だるみして流してしまいました。
でも、とてもやかりやすく説明されていて読んでよかったですね。
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原発事故が起きた当初、毎日テレビで報道していたが、あまり理解していなかった。2年経って、改めて当時のことを勉強してみると、大変な事故だったんだなと思い知らされる。
東電や経産省のお役人達、原発推進派の抵抗もあり、脱原発が進まない現実がよく理解できた。官僚の肩書きのところに出身高校、大学がカッコ書きしているのが何を意味しているのか?日本の受験エリートとはこんなものだと揶揄しているのかと思われる。マスコミをうまく利用して、巧みに自分らの望む方向に誘導しようとする官僚たちの陰険さに嫌気がさしてくる。
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誰も責任取りたくないし、保身なんだろうな。天災だし、俺ら悪くないもーん!ってのが本音だろうね。
まぁでもかと言って、何が正しいのかは示されてないよな。
強いて言えば 大局観 ですかね。
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ドキュメンタリーとしは一級品。著者の立ち位置はよく分からない所もあるが、多くの人は同様だろう。
早くも風化しつつある事故だが、絶対風化させてはいけない。日本人として、一人一人が、この事故をどのように捉え、考えるかが大事なのは今も変わらない。著者も認めてるが、マスメディアの劣化も目を覆いたい。大衆に迎合するのではなく、事実を伝え、深く掘り下げた報道をのぞむ。
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厚い本で読み終わるのに時間がかかってがあの時何が起きたのかがよくわかる。菅総理(当時)が福島を視察に行ったことが今も非難されているがこの本を読むと東電や原子力の専門家が全く役に立たず、情報も入って来ないため行動に出てしまったこともわかる。
しかし、このことは反菅の材料になってしまった。
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まったくどうしようもない。とにかく救いようがない。
東電、経産省。
組織は人を簡単に駄目にする。
自分や自分の組織の利益を優先するような倫理観が欠如している人がトップに立つのか、
それとも上に上がるにつれて倫理観が欠如して腐っていくのか。
自分の私利私欲で他人に責任を擦り付けて、自分はおいしい思いをしたり、安全なところに逃げたりして恥ずかしくないのだろうか。
結局、この事故を起こした人たちは責任を取らなかった。
未来を担う若者、まだ生まれていない子供たちに責任を丸投げした。
こんなんじゃ、子供たちが日本の将来に夢を持てないのも無理はない。
本当に情けない。自分の厚顔無恥を恥じるべき。
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「メルトダウン」(講談社ノンフィクション賞受賞)を読んで、日本の原子力行政に対して、ショックと怒りがいっぱいです。
★2008年のスマトラ沖地震で、インドのマドラス原発の非常用海水ポンプが機能を喪失したのを受けて、保安院は電力各社に注意を喚起し、東電は明治三陸沖地震と貞観津波のシュミレーションを行い、波高が15m以上になる結果を出していた。にも関わらず何の手も打たず放置し、さらにひどいのは、震災の3日前には、文部科学省が改定しようとしていた「地震活動の長期評価」が改定される際には、貞観地震の震源がまだ特定出来ないとか、繰り返し発生しているようには読めないようにしてほしいと働きかけている。
★原子力安全委員会の斑目委員長は2007年浜岡原発の訴訟で証人として出廷した時、非常用発電機が起動しない事態を問われると「そのような事態は想定していない。そんなことは割り切らなければ、設計なんか出来ない」と言ってのけている。
こんな人が日本の原子力行政の責任者なんです。
★震災当日には、東電の勝俣会長は仕事には関係のない中国ミッションで北京におり、さらにひどいのは清水社長にいたっては、秘書と奥さんを連れてウイークデイにも関わらずお忍びの奈良旅行をしていた。一番緊急時の2日間は両トップが不在という失態を演じている。
★情けないのは、政府関係の窓口になった東電本社が、原子力に関しての知見が皆無で、全部現場任せであったばかりでなく、管首相の顔色ばかりを窺い、海水注入の了解を取るのは難しいと勝手に判断して、当初現場の吉田所長が進めていた海水注水を止める指示を出している。(これに関しては吉田所長は本社へは止めると報告しているが、実際は作業を進めさせた)当然政府の原子力委員会も保安院も知見は皆無です。
★福島原発事故で大気中に放出された放射性物質の量はセシウム137で見ると、広島の原爆の168個分、ストロンチウム90で換算すると2.4個分。
★一番危険だったのは水素爆発を起こした原子炉建屋ではなく、使用済み燃料棒を保管していた4号機の燃料プールだった。ここは圧力容器も格納容器もなく、コンクリートの箱の水槽の中に燃料棒がむき出しになっていたので、地震でコンクリートにひびが入り水が漏れだしたり、階上にあるので底が抜けたら最悪の事態になっていた。
最悪事態のシュミレーションでは半径250kmが避難。当然東京を中心とする関東圏はこの範囲に入っており、3000万人が避難対象になっている。
★この他、東電存続に関しての意見対立や各金融機関の思惑。政府内での責任の押し付け合いや権限争いなどと続いていくのです。
混乱する政府の命令系統、責任逃れをするばかりの東電本社。
所管省庁の危機感のなさ、縦割り行政、責任のなすりつけ合い、権限争い・・・・それはまさにメルトダウンしていく日本の姿に重なりあっていると・・・読んでいて怒りを通り越して、情けなくて涙が出てきそうです。
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最近ではめっきり報道も少なくなったが、それでも「あの日」以来、原発についてずっと考えているつもりだ。最近も参院選で自民党が圧勝するというニュースがあったが、これを機に原発の再稼働が加速するのかなどと、やはり原発の行く末についていろいろ考えさせられる結果であった。しかし、その原発についてであるが、実際はまだ事故処理の最中であり、その原因などもじゅうぶんに検証されたとはいいがたい。いちおう公式の報告書は出たが、その真相についてはわからない部分もまだまだ多いのだ。その理解の一助となるのが、第34回講談社ノンフィクション賞を受賞するなど評価の高い本作である。わたしも事故の真相について知りたい一心で読んでみたが、あれだけ原発事故に関する報道があったにもかかわらず、中身は知らない情報のオンパレードであった。たとえば事故直後、その賠償方法などをめぐって、大手銀行が自己に不利にならないような案を必死でロビイングしていたということは、みなさんご存知だろうか。大手行はひところ法人税を払っていないということでおおきな批判を浴びたが、国民全体が混乱と緊張に包まれていたあの瞬間でさえ保身のために尽力していたのである。保安院や東電といったいわゆる「原子力ムラ」の責任はいまさらいうまでもないが、こういった銀行の動きについてももっと知れ渡るべきだし、糺弾されるべきではないかと思う。もちろん、本作に書かれた内容がかならずしも正確とは限らないし、その検証も一般の読者にはじゅうぶんにできないであろう。しかし、それでもこのような情報を知り、国民で広く共有するということが大切なのではないか。最近は、原発に関する報道が減ったといわれる。わたし自身も、つねに意識の片隅に置いているつもりであるとはいえ、たしかにいちいち沈思黙考するような機会は最近では皆無であるといってよい。だからといって忘れるつもりはないし、また事故の原因などについてもっと理解を深める必要があると感じる。それは個人としてはもちろんだが、国民としても同様ではないか。未曾有の災厄を経験した国民として、「あの日」について意識を深めることはもはや責任といってよい。そういう意味で、本作がもっと広く読まれることを願っている。
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東北大震災の原発事故から、狡猾な官僚たちに暗躍されて、そして民意に振り回された民主党政権の話。どちらかというと民主党に同情的に思えたが、裏の様子を知ることができて興味深い。少しでも電力会社のムラ的発想と被害者意識の変化や、官僚の既得権益を守る考えの変化が起きていることを祈る。原発推進するなら、まずは彼らが近くに住むべきだと思う。
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東日本大震災を発端に発生した福島原発の事故。
そのドキュメンタリーですね。
どこまでが事実なのか、客観的に見ないと正直わかりません…
この書籍が客観的に見ているのかもしれませんがね。
ただ、あの時の民主党、特に菅さんは大分叩かれていたけど、これ見る限りは良くやってたんじゃないかなとか思っちゃうわけです。
それに比べ東電や専門家たちは…
って感想を抱いちゃいますわな。
本当のところはどうなっているのやら。似たような書籍も探して読んでみるか。