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電子書籍
ワールズエンド・ガールフレンド
著者 荒川工(著) , くまおり純(イラスト)
こんなにも、懐かしいのは……。もしその人の世界をかたちづくるのが記憶なら、それを失くした彼女は世界の果てに放り出されたようなものだーー。「ねえ、『ここが世界の果てなら』っ...
ワールズエンド・ガールフレンド
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ワールズエンド・ガールフレンド(イラスト簡略版)
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ワールズエンド・ガールフレンド (ガガガ文庫)
商品説明
こんなにも、懐かしいのは……。
もしその人の世界をかたちづくるのが記憶なら、それを失くした彼女は世界の果てに放り出されたようなものだーー。
「ねえ、『ここが世界の果てなら』って。そう考えたらいいと思う」
夜の公園で、君の奇抜の提案に、俺はつい言葉に詰まる。
世界の果て、世界の終わりーー果てと終わりの向こうには未知が広がる。それはそこにたどり着いた誰かの可能性そのもの。
「ねえ、そしたらその先は、誰もが初めて見る景色だから。
誰も見たこと無いならさ、それは自分だけのものじゃない?
だから、不安なんてただの古い世界の言い伝えって思えば……」
そんなふうに思えたら、俺はなにも考えずにいま君を抱きしめることも出来るんだろうか。
「……ねえ、わたしのこと好き?」
双子の姉妹、まひると真夜。幼なじみの少年、慎司。それぞれに恋心を抱きながら育ち、やがて高校生となったある日、真夜は事故により記憶を失い、日常がゆるやかに崩壊をはじめる。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
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紙の本
人を形作るもの
2015/08/28 13:22
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
日月真夜は気がつくと病院のベッドにいた。自分の名前以外は、家族のことも、友達のことも、何も覚えていない。彼女はある事故に巻き込まれ、その影響で健忘になったらしい。怪我自体は大したことがなかったので、直ぐに自分の家だという場所に帰された。しかし、溌剌とした母親が出迎えてくれる一方で、父親とは会話が弾まない。それに、自分の嗜好が変わっているような気がする。
自分の記憶を探るため、自室のPCを調べていると、そこには日記と、一枚の少年の写真があった。その少年の名は一二三慎司。彼女の幼なじみで、彼女は彼のことが好きだったらしい。
その8年前、彼らは小学生だった。幼稚園の頃、英会話の塾で、一二三慎司は日月真夜と日月まひるという双子に出会う。初めて双子という存在に接し、ファーストコンタクトは大失敗だったものの、家が近所ということもあって、同じ小学校に通い、同じ中学校に通い、親交を深めてきた。しかし長じるに従って、その関係は自然と変化していく。
エピローグはガガが文庫っぽい作品なのだが、全体の雰囲気はメディアワークス文庫に近いかもしれない。つまり少し一般文芸よりの、人と人の関係を描いたような作品だ。時系列がバラバラに崩され、彼女たちの関係がよく分からぬままにエピソードを埋め込まれ、彼女たちの人となりを知っていき、ついにはその関係が変化するポイントにたどり着く。そうして一段落したと思った後に、もう一度ひっくり返されるのだ。その落ちの付け方は、野崎まど「[映]アムリタ」などに似ているかもしれない。
正直言ってハッピーエンドとは言えないし、個人的には今後10年間くらいかけて主人公が壊れていく様子を描いた方が面白いのではないかと思ったりもする。そんな感じの作品だ。双子と記憶と人格がキーワードと言えるだろう。その点では、小泉陽一朗「ブレイク君コア」にも似ている気がする。