紙の本
日常の中の魔道師たち
2021/03/12 20:29
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
巻を重ねるごとに、魔道師たちが人間らしく魅力的になってきますね。こちらは短編集で、日常に生きる姿が描かれているから、余計にそう思うのかもしれません。巻末についている年表で、今までの作品をふりかえるのもいいかも。
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短編集。なので軽め。シリーズを読んでいる人には聞いた名前があちこちに出てきて、ちょっと嬉しくなる。
闇を抱いて生きる覚悟を感じさせつつも、いたずら心あり、お茶目さあり、小気味よさもあり、で、深刻にならずに読める。
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乾石智子の〈オーリエラント〉シリーズ初の短編集! 今まであまり焦点が当たらなかった民族的なことが強く表に出た作品たち。様々な魔法が出てきてバラエティー豊か、ストーリーも色々で飽きさせない。魔法が禁止された世の「闇を抱く」が良かった。
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ファンタジーなのに、何となく中世ヨーロッパを思わせる短編集。
読みにくいというわけでもなかったですし
面白かったというわけでもなかったです。
ああそうなんだ、という感じで始まって終了。
普通の生活に、ちょっとだけエッセンスを加えるように
魔法がからんでくるだけの世界。
そして女性は怖い、と思える世界。
何にせよ、相手の思いやりや何かがいつもあるもの、と思ったら
恐ろしいしっぺ返しがくるので危険です。
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『夜の写本師』の世界・オーリエラントを舞台とした短編集。
紐結びの魔導師と貴石占術師の魔導くらべ『紐結びの魔導師』、苦しんでいる女たちのための密かな魔法組織を描く『闇を抱く』、死体を用いるプアダンの魔導師の復讐劇である『黒蓮華』、魔法ならざる魔法を操るもう一人の夜の写本師の物語『魔導写本師』の4編。
同じ世界を舞台にしているけど、時系列はかなりバラバラ。一番古い年代が『黒蓮華』で暦でいうとコンスル帝国紀元1年、一番新しいのは『闇を抱く』の1831年。
このシリーズは本当にダークファンタジーだと思う(^_^;)『闇を抱く』では男尊女卑って感じの世界だから虐げられてる女性達が辛い・・・『黒蓮華』は死体を用いるって時点でグロイし、『紐結びの魔道師』では貴石占術師が受ける怪我が読んでて痛いし、『魔導写本師』はイスルイールの過去に驚いた。
グロイのや怖いのは苦手なのに、このシリーズは目が離せなくて困ります。
ずっと図書館から借りて読んでましたけど、手元に置いておきたいシリーズです。
いつかハードカバーを自分の本棚に並べたいと思います!
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紐結びの呪文。植物や対象者の肉体の一部を使う呪文。死骸を使う呪文。呪文書を書き写した紙を使う呪文。
日本小説でここまでファンタジーな世界観の話を読んだのは初めてです。
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心の内に闇を宿す者。人を呪ったり、復讐したりするのはいけないことだと、そんな奇麗ごとではない世界。いけないとか、いけなくないとか、そんなことではなくて、せずにはいられない深い感情がある。たとえ、そのために自身の命を差し出すことになっても。
魔道師の中にある、闇。それは、人間の中にある闇だ。すべての人間の中にある闇。それに気付かず、潔白な人間のようにして生きることは、それはそれで幸せなことかもしれない。でもその闇は、やはりそこにある。闇を受け入れることは破滅かもしれないけれど、それでも、為すべきことは、為したいことは何なのか、そこから目を背けて生きることを生きるとは言わない。
この短編集は、シリーズの中ではどちらかというと全体的にあっけらかんとした雰囲気がある。身の内に闇を宿しながらも、前を向いている感じだ。たとえ、その一歩先が奈落へと続く崖だったとしても、その一歩をためらわないような。
どの作品も好きだったけれど、特に『黒蓮花』と『魔道写本師』が良かった。
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一冊で四つのおはなしが楽しめるメッチャおいしい一冊。
どれも乾石ワールド全開!
堪能させていただきました♪
一番好きなのは「闇を抱く」だな。
鋭い痛みの後、強い意志で立ち上がった女たち。
魔術を禁じられた国で見つかったら自らが危ないことを
知りつつ、男尊女卑の意識や、身分制度の柵の中で
苦しむ女性たちを救い続ける。
見つかったときのことも考えて用意周到に女三人、
共犯者のようにいっそ楽しげに話しているシーンがとても好きだ。
「紐結び」は楽しかった。
あとがきで、乾石さんのインタビュー。魔法の種類を
思いついたときの様子に、へえ、そーゆー感じで、あんな色とりどりの魔術が生まれてきたのかと思うと楽しくなった。
結びの魔法でドーンドーンと水しぶき。
結ばれたリボンを女性たちに褒められて気分よく笑ってるリコの笑顔が目に浮かぶよう。
「黒蓮華」はすごかったー。
いやあ、その黒い花の開く様子が!!
さっすが乾石さん。ただ憎しみにかられる描写が、
あれほど美しく描けるとは!!
いやあ、すごいわあ。
そして、その復讐を果たすとこまでいくんだからなあ。
でも、その後のセブリウスたちの幸せそうな暮らしに
ほっとする。
「夜の写本」はきたー!って感じですね。
イスルイールって、確かなんか聞いた名なんだが、
「夜の写本師」に名前、でてきた、よな??
うーん、イマイチ名前が頭に入りきってないが・・・。
ま、まあ、4月に「夜の写本師」文庫がでるし。
買ってまた読もう!!
そしてあいかわらず、羽住さんの画の美麗なこと!!
全くうっとりしちゃいますなー。
それぞれのお話の最初のページに、その話をイメージさせる画が描かれている。
一番好きなのは写本師の画。
いやあ、ほんっとこの世界観にぴったり。ミュシャのえ画みたいで素敵です。
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シリーズの色んな時間軸、国から切り取った短編集。1本1本の完成度が高く人間関係のパターンも豊富で相変わらずほんとうに面白い。乾石さんの本の中でもやっぱりこの一連が群を抜いて装丁も美しくこればっかりは絶対新書で買って本棚に置きたいシリーズ。
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紐結びの魔道士
エンス
闇を抱く
貴族の妻ロタヤと
織物工房のリアンカと
王子の妃のゾーイが
魔法で女性を助ける
黒蓮華
虐殺の仕返しをする耳男
魔道写本師
イスルイールは
ナイナを解き放つ。
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『夜の写本師』から考えてたんだけど、写本師ってなんで魔道師じゃないんだろう?「不思議パワーを使って何かする」というのは写本師も魔道師も変わらないように見える。「魔道写本師」より「写本魔道師」の方が理に適ってると思うんだけどな~。
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「夜の写本師」「魔道師の月」「太陽の石」と続いたオーリエラントシリーズの4作目。今作は短編集です。
連作短編集として糸が紡がれるように最後には大きな一本に繋がるのかな、と思いきや、
巻末の年表によって、いずれの話もはるかな年月の隔たりがあり交錯する可能性がないことを教えられました。
この短編集に出てくる主人公たちは皆、市井のひとびと。
千年を超えるときの流れの中で、どの時代のひとたちもカラン麦のパンを食べ、葡萄酒や麦酒を飲み、セオル(外套)を巻きつけて暮らしている。
多くは名もなきその他大勢で、歴史に名を残すことはない。そんな人々にスポットライトを当てた今回の短編集。慎ましやかに暮らしているその細部を鮮やかに描き出す筆致が、オーリエラント本編の物語の深みを与えていることは想像に容易い。
いったい、乾石さんの頭のなかにはどんな世界が拡がっているんだろう。
この中では「魔道写本師」の話が一番好き。
イスルイールさんの堂々とした立ち居振る舞いがいいな。
はやくシリーズ続刊の「沈黙の書」を読みたいと思わせる半面、またシリーズを最初から読みたくさせる短編集でもありました。
いつかハードカバーで本棚に並べたいな。
なんといってもこの本は、装丁にまでも、物語の世界は広がっているから。
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「夜の写本師」という表題に惹かれて、乾石さんに出逢ったときの衝撃。こんなにハードで、シリアスなファンタジーを書くひとが現れたのかという驚き。忘れられません。あまりにハードなので、私にはどっぷりひたることのできる甘ささえ、なかったほどです。
これは、オーリエラントの世界に生きる人々の短編集。ダークな部分もありつつ、でもしたたかに生きる人々が描かれています。ここにも多彩な魔術がでてきますが、どんなところからインスピレーションを得ているのか、意外な事ががあとがきで明かされていて、それもおもしろかったです。
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「紐結びの魔導師」「闇を抱く」「黒蓮華」「魔道写本師」の四編を収める。
本書の中で、「闇を抱く」は最も好きな物語だ。
元はそれなりに地位のあった父が、飲んだくれの暴力親父になるには彼自身の問題があった。
その父に殴られる母と子供たち。
オルシアはそれに我慢できなくなり、働きに出かけ、そして魔導師と知り合う。
助けを求められないでいる女たちを、魔法で助ける女たち。
そんな彼女たちにも、声を上げられない時期があった。
だから彼女は自分に魔法をかけたのだ、「自己主張がきちんとできますように」と。
自分を変えるのは自分自身なのよ、と魔女は言う。
自分の闇を認めてからでないと、それも叶わぬ夢ではあるが。
「魔道写本師」は努力の魔導師だ。
大きな工房で写本師の見習いをしていた頃、彼は「できそこない」だった。
あまりにも仕事ができないので辞めようと決意した翌日、一番良くできていた見習いがやめた。
仕方がなく続け、少しずつ自信がでてきた頃、新入りがやってきた。
そしてまた彼は「できそこない」に戻った。
それでも必死で彼は努力し続けた。
それがいつの間にか、大きく実った。
なんとなくできてしまう、そんな要領のいい人は羨ましい。
無駄な努力だと蔑まれることは悔しい。
永遠に思える努力。
だが、実はそうではない。
一歩一歩は小さなものかもしれない。
それでも、人生には三つ目の坂が自分を思いもよらなかった場所へ運んでくれることもある。
まさか。
それが人生を面白くしている。
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図書館で。
このシリーズ、面白いなあ。虐げられている女性を救う魔女組合というのが面白かったです。いつの世も力なきものは辛い思いをするんだろうなあ…と。確かに飲んだくれのダンナが働き者になったら良いじゃないですかね(笑)
結び紐の魔道師の話も、黒い睡蓮の話も面白かった。この独特の世界観が良いなあ。最後の写本師も一本筋が通ってていいですね。時空列順に一度きちんと読み直したいなあと思います。全部文庫化されたら買おうかなあ。