紙の本
大江戸釣客伝 下
2013/06/11 17:36
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投稿者:福助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時は元録、綱吉が天下を治める城下において、所謂悪法“生類憐れみの令”に江戸に暮らす人々は不満を募らせていた。そんな時、赤穂浪士による吉良邸討ち入り事件“忠臣蔵”が起こり、江戸の庶民は拍手喝采を送る。果たして本当の悪人は誰であったのか?世論とは何なのか?歴史を紐解く超大作。
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徳川綱吉(犬公方)の「生類憐みの令」により釣りを制約された釣り気違い達の苦悩や生きざまを活写
2016/11/10 12:13
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1700年を前後する20年余りの間、徳川綱吉(犬公方)の「生類憐みの令」により釣りを制約され、後には禁止された世相での釣り気違い達の苦悩や生きざまを活写すると同時に、登場人物(主人公:津軽采女(ツガル ウネメ)とその義父である吉良上野介義央)との関係で赤穂浪士の討ち入りなども重要な位置づけで触れられている。登場人物も、宝井其角、多賀朝湖(英(ハナブサ)一蝶)、紀伊国屋文左衛門、水戸光圀(水戸黄門)、徳川綱吉、吉良上野介義央、松尾芭蕉など、歴史上の人物が惜しげもなく登場する。釣鉤の種類も、地獄鉤(ただの直線型の鉤)や数珠子鉤など多彩であり、簡単ながら作り方にまで触れている。江戸時代の釣り全般に関しても資料を丹念に調べて記述されていることが伺われる。また、話の味付けのために、序章で水死した老人を登場させ、やがて釣りのことを体系的にまとめた本『釣秘伝百箇條』の著者を探してこの“老人=投竿翁=なまこの新造”に辿り着くという謎解き的要素もしっかりと用意されている。そして、著者の思いはある意味ではこの“投竿翁=なまこの新造”の生き様に強い共感を示しているように思われる。ラストである「結の巻」では、主人公:津軽采女(ツガル ウネメ)が残したといわれる『何羨録』(1716(享保元)~1717(享保2)頃と推定)の紹介で終わっている。少々残念なのは、前半(上巻)の生き生きとした描写に対して、後半(下巻)は釣りから離れた世相の話が多くなり少々湿っぽくなるのが難点でした。
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多くの実在の人物、史実を配しながら、生類憐れみの令など政令をかいくぐり釣りに情熱を注ぐ者たちの描き、元禄時代の熱気を感じさせる。
采女、朝湖、其角の一つ一つの話がつながりながら、釣りに取り憑かれていく様を描き、さらに冒頭の「幻談」で、つり上げた笑みを浮かべる老人の屍体の謎も解き明かされ、さらに最後に「幻談」のシーンに戻る。その構成は見事というしかない。
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《本文より》
世間の全てが、自分たちの敵となっていることを、采女は実感した。
腰のものを抜いて、ここにいる見物人全員を斬り殺してやりたかった。
采女が、生まれて初めて、心に抱いた煮えるような殺意であった。
不思議と赤穂の浪士たちに、恨みは抱かなかった。
この世間に、采女は厳しい憎悪を抱いたのである。
浪士たちはこの世間によって踊らされたのだ。
吉良は、あの好人物は、この異様な世間によって殺されたのだ。
お前たちの思い通りになぞ、なってやるものか・・・・
腹の中で、その言葉を何度も幾度も噛みしめながら、采女は、伴大夫と共にその場を後にした。
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生類憐みの令で釣りがご法度になった肩身が狭く、生きにくい世の中でも
皆同じ事を考える。
浮世から離れ釣りがしたいと。
素晴らしい。
何もかも。
上巻より人間味溢れる内容だったのではないか、と思う下巻。
サラサラと読めて、途中で涙腺が緩みそうになったのも事実。
実在する登場人物がモデルだから、歴史好きな人には本当に勧めたい。
色々なことを考えさせられました。
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おもしろかったです!
いままでの(私が読んだ)夢枕獏さんとちょっとちがってて、
実在の人物ということもあって 歴史書のようなところがあって
勉強になりました
「生類憐みの令」は みんなが苦しく思っていたんだなぁ~
それと、綱吉自身もこのことにとらわれていたんだなぁ~
と、感じました。
朝湖さんと其角さんもう一度 あわせてあげたかったなぁ~
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夢枕貘にしては、普通の歴史小説だった。
忠臣蔵の話も別の角度から見たら、変わるよねー。
うんうん。
面白かった!
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綱吉と言えば、生類憐みの令。
しかし・・・
やりすぎじゃろ
釣りをして島流し!(笑
久々に心地よい時代小説でした。
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今までの人生のうち釣竿というものに触った記憶は1回。
運よくその時1匹かかってくれたので釣りに対する印象は悪くはないのですが、釣りの好きな方が夢中になって話してくれるのはどうもピンときませんでした。
この本を読んで釣りの不思議な魅力を体験してみたいものだと一層思うようになりました。
思うようにならないことの多い人生。その中で何かに狂い、突き動かされるように生きるのは哀しくもあるけれど、そう生きてこそしあわせなのかもしれない。
そんな風に生きる人同士が本当の意味で触れ合うことができ、愛しく思うことができるのかもしれない。
自分の好きなこと、隣の人の好きなことを大切にしたいと思えるようになりました。
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江戸時代の釣りキチたちの話。
生類憐みの令で釣りが禁止になってたなんて知らなかった。
kobo
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日本最古の釣り指南書「何羨録(かせんろく)」を記した津軽采女(つがるうねめ)を主人公に同時代に生きた男達の生きざまを描いた作品。
下巻では、いよいよ厳しくなっていく生類憐みの令と赤穂浪士の討ち入りが佳境に入り、それらに巻き込まれていく男達が描かれ、憧れを感じつつも男の哀しい性も強く伝わってきました。
采女の辛い人生でも釣りを通してしっかりと受け止めていく生き方は、一人の男の生きざまなのだと感じました。
自分も釣りのような自分としっかり向き合っていけるものを一つ見つけて力強く生きていきたいと思いました。
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元禄時代の俳人、絵師、商人。生類憐みの令と討ち入り。粋な生き方と釣り。江戸の文化の花開いた時代を「釣り」の視点で説く。出てくる釣りは、ほとんどはぜときすだが、そこがいいのかも。
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下巻読了。
生類憐みの令、赤穂浪士の討ち入り、元禄大地震等・・。かなり濃ゆい時代を、釣りを愛する男たちの生き様を通して感じることができました。
理不尽な受難が続き、生きづらい世の中だったと思いますが、采女達にとって“釣り”が一筋の光のような癒しだったのだろうと思います。
それにしても出てくる人物が豪華でして、宝井其角・多賀朝湖(英 一蝶)、松尾芭蕉、紀伊国屋文左衛門、吉良上野介、水戸光圀、そして犬公方こと徳川綱吉・・。という贅沢なメンバーが勢ぞろいで、彼らとの絡みも楽しく読めました。
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流石だなと思う。
釣りに興味がない私でも大変面白く読ませてもらった。
綱吉の最悪の法「生類憐みの令」
これが引き金になった赤穂浪士の討ち入り。そして天が怒った元禄大地震。そんな窮屈な時代に釣りを媒介に繋がり続けた男達。
朝湖と其角の最後のやりとりには涙が出てきた。
良い小説でした。
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生類憐みの令、赤穂浪士、松尾芭蕉
それぞれ勉強したけど、時代が繋がると本当に面白い。
日本史の勉強しなおしたくなるなー。