電子書籍
一億人の「切れ」入門
著者 著者:長谷川 櫂
「切れ」が分かれば、俳句はこんなにも面白い!芭蕉の名句から現代の秀句まで、多くの例句をもとに、俳句の重要な要素のひとつである「切れ」を明解に解説。当代の人気俳人による画期...
一億人の「切れ」入門
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
一億人の「切れ」入門 (角川俳句ライブラリー)
商品説明
「切れ」が分かれば、俳句はこんなにも面白い!芭蕉の名句から現代の秀句まで、多くの例句をもとに、俳句の重要な要素のひとつである「切れ」を明解に解説。当代の人気俳人による画期的俳句入門書。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
「俳句の心」に切り替える
2012/04/24 16:50
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
俳句という短詩文芸にはいくつかの約束事があります。
その一つが、五七五の十七文字の定型詩であること、もう一つが季語を使うということです。
そして、これは特に約束事ではないですが、「切れ」ということを重要視します。ところが、俳句を経験した人はこの「切れ」が難題、よくわからないと思ったことがあるかと思います。
俳人長谷川櫂さんはすでに『一億人の俳句入門』や『一億人の季語入門』を著して俳句の約束事について言及してきましたが、今回は難解といわれる「切れ」について、極めて明解に説明したのが、本書です。
「切れ」といえば、石田波郷の有名な俳句があります。
本書にもたびたび紹介されていますが、「霜柱俳句は切字響きけり」です。
これは、「切れ」を大事にしたいという、波郷の決意を句に詠んだものです。この句を読むと、石田波郷という俳人が俳句における「切れ」をいかに重要視していたかわかります。
長谷川櫂さんの「切れ」の考え方をこの句を参考にみてみると、「/」が「切れ」の位置ですが、「/霜柱/俳句は切字響きけり/」となります。
句中の「切れ」はある程度想像がつきますが、句の最初と最後の「切れ」を、長谷川さんは大切だといいます。
引用すると、「私たちの心が「散文の心」から「韻文の心」に切り替わっているのです。(中略)その意味では、「日常の心」から「俳句の心」に切り替わっているといってもいいでしょう」となります。
俳句は詠む文芸です。わずか十七文字の短詩ですから、つい口をついてでることもあります。
しかし、いい俳句とはそこに日常とは切り離れた視点や思いが必要になります。
長谷川さんのいう、最初と最後の「切れ」はそのことを指しています。
いい俳句ができないのは、日常と「切れ」ていないから、「俳句の心」に切り替わっていないからです。
「俳句を詠もうとすると、何というか、心のスイッチのようなものが切り替わります」と、長谷川さんはいいます。この「心のスイッチ」が根本の「切れ」です。
本書は俳句における「切れ」をどう考え、どのように「切れ」を行うのがいいかを論じた著作ではありますが、もっと大きくいえば、俳句を詠む、その心得そのものといっていいでしょう。