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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古典日記の典型。現代語訳がわかりやすく、関連地図と年表も理解を深める。注釈の入れ方がわかりにくくなっているのが難点。
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本という夢のなかに沈潜し、
夢は現実をも侵食していく.
夢のなかで暮らし、生き、そこから抜け出すために信仰にすがる女、女のなかに生きる女の子の話.
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本を読みたいがために仏様を彫ってしまったアグレッシブな女性の一代記。というとなんかステキ。古文を読む能力が落ちてしまったのを自覚しているので、練習用に購入。
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更級日記って文学少女ってより活字に餓えた妄想少女って感じがする。日記の内容が、女ざかりの頃とかの書き込みは薄く、「源氏物語読みたいの、読まして仏様!」という少女時代と旅行先の景色の面白さといろんな夢見の話ばっかりだもの。夢の話をして信心深くしてれば良かったと回想するあたり仏教文学の兆しが見受けられる。 ほんと、子供とか夫のこととか宮仕えとかあっさりしてるのに夢とか少女時代の話ばっかなんだもの。
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授業で門出をやったばかりなもので
ほほえましい冒頭だなーと思います
少し腰据えて読みたいような気もする
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胸に抱いた夢と現実の落差、親しい人の死、自分の凡庸さへの悲しみと諦められない自分を責める気持ち、親に反抗しながらも同じ先に行き着く晩年……。普遍的なリアリティだけでなく、さり気なく書き込まれた風流さも、読者を惹きつけるのだろう。
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文庫なのに現代語訳・解説付きなのは親切であると感じた。
これなら高校生でも苦もなく読むことができよう。
参考文献を参考にして更に考究を進めたい。
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物語に傾倒した少女時代、いきいきと無邪気な日々を楽しく読み進めていただけに、終盤では、表題作ともなった「姨捨山」歌が何とも寂しい。どのような孤独と寂寥の思いで、この日記を書いたのか。
幼い日々には、物語への渇求ばかりが言及されるが、やはり、最初から一貫した宗教への憧憬と畏敬もあったのだろう、と思う。薬師如来に額づいた記憶があんなにまざまざと残るのならば。自らの将来を頼む「物語」と、後生を願う「仏教」とは同じく、作者の心の拠り所ではなかったか。仏教にせよ物語にせよ、結局、作者が寄り添おうとしたのは、あてどない自らの行く末に理想を提示してくれる「何か」だったのではないだろうか。
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図書館から借りました
更級日記の作者は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)。
ビギナーズクラシックスを読んで、ところどころ抜けているので「抜けてるところ気になる。全部読もう」と思わせたのでした。
うん、初心者本として、「ビギナーズ・クラシックス 更級日記」は十分にその役目を果しました。
情景の美しさを書き綴り、物語に憧憬し、信仰などをも封じ込めた日記。というか、覚書というか、回顧録。
何気ない日々。でも、とりわけきれいな月の日や、お参りにいったときの面白いことや怖かったこと(盗人の家に泊まってしまった、とか。大あらしで船は危険で陸にあがって、風やむのを待ってみたりとか)をつづっていく。
ふつうに面白かった。
恋愛が前面に出ていなくて、夫婦ごととか、リアルな日常が切り離されているのです。
日常がほとんどないんですよ。
日常っぽいのがあるとはいえど。
恋人を待って、眠れない夜、とかはない。
「うわっ、きれいな景色っ。朝寝坊なんてもったいないっ。見なきゃ見なきゃ♪」
という、すっごい健全な、勢い。
本当はもっとちゃんとしたところに泊まりたいけど、ほかに家がないから、庶民の民家に宿泊したら、家人の男が夜なか歩きまわって気になるんだけど・・・。 作者が寝入っていると思い込んでる彼がぼそぼそっと「いやー、知らない連中泊まらせてるから、鍋(この時代の、値打ちもの家財筆頭)とか盗まれたらとか思うと、寝られなくて見回っちゃうんだよねー」とか聞こえてきて、面白い~とか思ったり。
こういうエピソードはビギナーズに入っていなかったから、やはり読む価値あった。
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2015年5月10日読了。
教材などで部分的にしか読んでいなかったのだけれど、全編通して読んでみた。
なんとなく、自分と重ね合せてみてしまう部分もあり。
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(2015.12.11読了)(2014.08.29購入)
日本の古典といえば、『源氏物語』『枕草子』『徒然草』といったあたりが、筆頭にあげられるのでしょうか。
そのあたりに比べると、「更級日記」は、知られていない方に入るのじゃないでしょうか。すぐなくとも、僕は知りませんでした。
著者は、『蜻蛉日記』の著者の姪に当たる菅原孝標女とのことです。出来上がったのは、1060年ころということですので、『源氏物語』『枕草子』『土佐日記』『蜻蛉日記』『和泉式部日記』『紫式部日記』などが、既に世の中に流布していたあたりです。
13歳の著者が父と一緒に上総の国から京都に戻るところから描き始められています。そういう意味では、『土佐日記』に倣っているのかもしれません。
上総の国にいるときに仏さまに「京に一刻も早く上らせてくださり、都にたくさんあると申します物語を、ありったけお見せくださいませ」と祈ったそうです。
読書の好きな少女だったのですね。京都までの旅程では、名所旧跡の物語や、出会った遊女たちの話が記されています。
京都についてからは、『源氏物語』をはじめとするたくさんの物語を入手してもらって読み浸ったようです。現代までは伝わっていない物語の題名も上げてあります。
通常、10代で結婚することが多かった時代かと思うのですが、結婚することなく、32歳の時に祐子内親王家に初めて出仕しています。33歳の時に、橘俊通と結婚、出仕を続けながら、38歳のとき長男・仲俊を生んでいます。晩婚や高齢出産というのは、平安時代にもあったんですね。
都での生活に関しては、寺参りや夢の話などが書かれています。
本の題名については、ウィキペディアによると以下のように説明してあります。
書名の「更級」(更科)は、作中の「月も出でで闇にくれたる姨捨になにとて今宵たづね来つらむ」の歌が、『古今和歌集』の一首「わが心慰めかねつ更級や姨捨山に照る月を見て(雑歌上、よみ人しらず)」を本歌取りしていることに由来すると言われている。作中に「更級」の文言は無い。(ウィキペディアより)
原文が本の前半に収録され、現代語訳が本の後半に収録されていますので、原文も現代語訳も知りたい方に便利でしょう。段落ごとに見出しがつけてあるので、まず現代語訳を読んで、原文を確認するという作業を段落ごとに繰り返して、読み進めました。
先に原文を読んで、あとで現代語訳を読むよりは、気が楽です。
【目次】
凡例
一 物語に憧れる日々
二 京への旅立ち
三 昔の跡、くろとの浜
四 乳母を見舞って
五 竹芝の伝説
六 「すみだ川」と「もろこしが原」
七 足柄の遊女
八 「富士山」と「清見が関」
九 富士川の伝説
一〇 病、そして遠江へ
一一 三河、尾張へ
一二 美濃より近江へ
一三 旅の終わり
一四 物語を求めて
一五 継母との別れ
一六 乳母、侍従の大納言の御むすめの死
一七 『源氏物語』耽読
一八 花橘
一九 紅葉
二〇 夢告のことなど
(中略)
八〇 姨捨
八一 涙の日々
八二 孤独の日���
解説
更級日記略年表
和歌初句索引
重要語句索引
●富士山(135頁)
山の頂上の少し平たくなっている所から、煙が立ち上っている。夕暮れ時は火が燃え立つのも見える。
●大井川(136頁)
田子の浦は波が高くて、海岸を歩けないので舟で漕ぎ巡った。
大井川という渡し場がある。水が、普通の川のようではなく、すり砕いた米の粉などを濃く溶かして流したように、白い水が早く流れている。
●夢解き(213頁)
長年「天照御神をお祈り申し上げなさい」と見てきた夢は、私が高貴な人の乳母になり、宮中あたりに出仕し、天皇、后の御庇護を被るようになるだろうとばかり、夢解きも判断したのだけれど、そのことは何一つ叶えられずじまいだった。
●『更級日記』の構成(230頁)
『更級日記』は、おおよそ①京への旅の記、②物語入手をはじめとする京での生活、③宮仕えと結婚、④物詣の記、⑤晩年の日々、という五部から構成される。
☆関連図書(既読)
「土佐日記」紀貫之著・川瀬一馬訳、講談社文庫、1989.04.15
「蜻蛉日記・和泉式部日記」生方たつゑ著、集英社文庫、1996.09.25
「和泉式部日記」和泉式部著・川瀬一馬訳、講談社文庫、1977.10.15
「源氏物語 巻一」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.06.10
「源氏物語 巻二」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.07.10
「源氏物語 巻三」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.08.10
「源氏物語 巻四」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.09.10
「源氏物語 巻五」谷崎潤一郎訳、中公文庫、1973.10.10
「新源氏物語(上)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
「新源氏物語(中)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
「新源氏物語(下)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
「新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)」田辺聖子著、新潮文庫、1993.11.25
「新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(下)」田辺聖子著、新潮文庫、1993.11.25
「紫式部日記」紫式部著・山本淳子訳、角川ソフィア文庫、2009.04.25
「桃尻語訳 枕草子(上)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1987.08.31
「桃尻語訳 枕草子(中)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1988.12.20
「桃尻語訳 枕草子(下)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1995.06.30
(2015年12月19日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
夢見がちな感性をもって描かれた平安時代の日記文学。作者13歳の時、上総介の任期を終えた父に伴われての上京に記事は始まる。東国に育った作者が京へ上り、恋い焦がれていた物語を読みふけった少女時代、晩い結婚、夫との死別、その後の侘しい生活と、ついに少女期の憧れを結実させることのなかった一生の回想録である。平凡な人生の中に描かれる、作者の人生の断片の輝きが、今なお、われわれを惹きつけてやまない。有名な作品にもかかわらず、ごく一部しか一般に知られていなかった古典を、懇切な注と自然な現代語訳で手軽に読み解く。
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源氏物語読みたさに仏像造って拝むとか、大人になってからも宇治に行けば「ここに浮舟が…」と「聖地巡礼」風の描写など、「オタク女子」という側面もあるけれど、それよりも宮仕えしてたときの同僚女房との友情の描写、文のやりとりがとてもよい。
色恋描写がまったくないのもあいまって(源資通との時雨のやりとりは非常にロマンチックであるが色恋ではない)、読んだあともしばらくらとってもあたたかく柔らかい気持ちでいられた。
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平安時代に菅原孝標の次女・菅原孝標女が書いた回想録。作者13歳の寛仁4年(1020年)から、52歳頃の康平2年(1059年)までの約40年間が綴られています。華やかな平安貴族の日記かと思いきや、一人の女性の姿が綴られています。少女時代の「源氏物語」への憧れについては、今のオタク趣味に通じるところが多いです。その後、大人になって物語のような世界がないと現実を知り。前半のキラキラ感と後半の寂寥感の落差が凄いです。大人になるって今も昔も変わらないのかな。1000年前のオタク生活に触れてみてはいかがでしょう。
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作者は子供の頃から物語が好きで、特に「源氏物語」に焦がれていました。鄙びた宇治に囲われる浮舟に憧れるとか乙女チックです。でも、中世の仏教ではフィクションに耽溺することは仏心の障りであって罪障とされました。なので、仏教の呪縛で幾度となく夢にうなされたり、晩年には、物語や歌に溺れた自分を後悔しています。可哀そう。日記といいますが、晩年に人生を振り返ったエッセイです。テーマに偏りがあり、夫婦生活や出産・子育てなどはほとんど書かれません。やはり、少女時代、物語に憧れる描写が瑞々しくていいですね。
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やはり何度読んでもよい。
"平凡な人生"だったかもしれないが、瑞々しい感性で物事を捉えている素敵な人。