紙の本
「神とのたたかい」を選ぶ神の子を描く
2008/05/12 01:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
旧約聖書に出てくる予言者エリアが、故国イスラエルを追われてフェニキア(レバノン)の都市で暮らし、イスラエルにもどるまでの物語。
神の声にしたがって王女に直訴したが故に故国の予言者が虐殺され、エリアも隣国に追われる。神の声にしたがって生きようとすると愛する女性を殺され、町もアッシリア軍によって破壊される。
信じる神に裏切られつづけた末、「神とのたたかい」を決意し、破壊された町を復興することに力をそそぐ。
悲劇がおきたときに「俺の人生になんの意味もない」と打ちひしがれてしまえば、それで人生は終わる。悲劇をうけいれ、その恐怖を脇において、「神との対決」をえらぶことで、神の愛にもどることができる……「悲劇は罰ではなく挑戦の機会である」という。
ただひたすら従順な信者・預言者でしかなかった主人公が、自らの強い意志で、自らの人生を生きる人間に成長する過程をえがいている。
人間の主体性を失わせて依存を強いる宗教とちがい、あらゆる権威におもねず、自らの人生を生きることをうながす「神」の存在を全編をとおしてしめす。
無宗教の私でも、「星の巡礼」以来一貫している筆者の(あるいは筆者の信じる神からの)メッセージには共感をおぼえた。
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キリスト教の聖書がモチーフになってるけど、話としては諦めずに自らの足で道を進み、失った状態から再生することにより成長する充足といいつつ、ロールプレイングゲームに似てると思う。主人公エリアのみならず、未亡人である女性、その子供、そして町をもが変わっていくさまは、感動、心つかまれます。
自分の限界を知ってると思ってる人や、安定をもとめてさまよってる人、完全をもとめるあまり不安が多くなってる人に読んでもらいたいです。
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これから読みます。る〜さんのblogを拝読していたら興味が涌いてきた。///読みますた。よかった。最近スピリチュアルな世界がかなり一般的になってきて、神の声を聴きながら生きるということも昔ほどあやしくはなくなってきた気がするが、それは自由意志があってのことだと今更ながら実感させられた。神の声を聴き、それに従うだけなら神の奴隷に過ぎない。その声に従うか、自分の内面の声に従うか、それを選ぶのは自分自身だ。それを体感してからの主人公の強さに心を打たれた。
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この作家さんの本は本当に大好きで、日本語に翻訳されているものはほぼ全部読んでます。キリスト教の思想がすごく強いのですが、本のテーマは宗教に関係なくだれにでも受け入れられるものだと思う。
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日本に紹介された本では4作品目です(パウロ・コエーリョとしては7作品目)。キリスト教の色彩と神秘主義がよく出ています。
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この本は実はサッカー、ポルトガル代表でバルセロナのデコの愛読書だとか・・・
かなり宗教色が濃く、僕ら日本人には馴染みづらい部分はあるかもしれないけど
宗教的な考え方にかなり魅力を感じたのも事実。 やはり捉え方次第では恐ろしいものになり得ると言っておきましょう。
人間の意志の物語であり、人が何かを学ぶために起こる避けられない出来事の物語であり、神と人との関係の物語。
人が自らの運命と使命を知り成就する物語であると・・・
心に響いた一文
「人生は望みによってではなく、その人の行いによって作られる。」
そして興味深い一節がありました。
「文字は思想を伝え、思想は力を持っている。」
確かにそうだと思う。 つまり思想や考え方というのは行動の源なんですよね。
自分は今、行動の源となる思想、考え方を学ばなければならない。
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フィクションなのかノンフィクションなのか。。客観的に読んでたはずなのに最後の方は、洗礼を受けたような気分に。
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相方が好きで、出会った頃に影響を受けてよく読んだ。
面白くて一気に読んでしまいました。
パウロコエーリョ、すきです。
旧約聖書をよんでみたくなります。
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紀元前9世紀、レバノンを舞台にしたある預言者の物語。
宗教色が色濃いが、感じるトコロは多々あった。特に羊飼いの言。
「不満足な過去があるなら、それはすぐ忘れなさい。新しい物語を想像して、それを信じるのだ。」
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本棚にずっとあって、読むタイミングを計っておりましたが、ついにババッと読む機会が訪れたのでしたが…、コエーリョさんのを読んだ中では一番重くてつらかった…というか、心にズッシリ来るものがありました。
自分はカトリックではありませんが、心に響いて泣けた言葉もあるし、逆にちょっとわからないなあ、こういうのは…という部分もありました。
引用したい、覚えておきたい『ことば』の宝庫です。
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2013.02.05読了。
今年8冊目。
これ好き!
11分間の次に好きかも。
星の巡礼は修行の旅巡礼の話で著者の精神的部分が多く正直難しく思うこともあったけど、これは理解しやすかった。
神の声は周りにある全ての物から語られている。
それを感じ取り、不可避な出来事が起きてもそこから学び、再生、再建をしていく。
自分の運命と使命を知り、それを成就させる。
アクバルが滅びた様子を読んで、東日本大震災の光景が頭に浮かんだ。
(後書きはかなり前に書かれたものなので阪神大震災が取り上げられていた。)
アクバルの残された人々はエリヤを筆頭にそこから少しずつ自分を再生、街を再建していく。
何があっても希望を失わないこと。
希望を失えば、到底できそうもないことだとやる気力すら出ない。
希望を持ち努力し続ければ、誰かが諦めたその先に待っていたものを掴むことができる。
起こってしまったことは考えても仕方ない。
そこから学び未来へ活かしていかなきゃ。
気持ちがすーっと楽になっていく本。
全てはシンプルなんだなと。
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列王記は読んだことがなかった。よもう。創世記と出エジプトを読みなおしてからかな
とかく生きる意味とかを見失っては絶望する性質なので、ほんとうに絶望したとき、死にたいとき、パウロ・コエーリョの本を読むようにしている。
迷ったときはアルケミスト、死にたいときはベロニカ、努力の意味を見失いかけたときには第五の山というかんじ。
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"アルケミスト"で知られるブラジルの作家。豊富なキリシタン知識を盛り込みつつ、青年が夢を追うお話を語ります。
古代イスラエル。フェニキアからやって来た王妃は時の王をたらしこみ、古来の信仰を捨ててフェニキアのバアル神を信仰するよう説き伏せる。やがて弾圧は下々にも及び、のちの預言者エリヤは首を狙われることに。
支援者とともに馬小屋に潜むエリヤであったが、外からは他の信者たちの断末魔。想像の中で何回も死んだというエリヤはついに外に飛び出し…
少年マンガならここで戦いになるところですが、キリシタン説話の世界では教訓が語られます。
○エリヤは自分の冷静さに驚いていた。馬小屋にひそんでいた間、彼は何度も死を想像した。今になって、自分が不必要に苦しんでいたことがわかった。一、二秒ですべてが終わってしまうのだ。
○「ここで今、やってくれ」とエリヤは言った。「今は、私は冷静だ。もし、お前がぐずぐずしたら、私は自分が失うものについて、また思い苦しむだろう」
なにやら良寛禅師の教えに通じるものを感じます
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読み始めは物語の中に入るのに少し苦労した。最後までとても安定している小説。紀元前九世紀という、イエスキリストより昔の話、旧約聖書の数少ない資料を元によく作られている。
当時の人々の文化、信仰、思考は、現代の我々にとっては突拍子が無く、無知であるという印象もあるが、同時に人間の本質は今でも全く変わらない。物が溢れテクノロジーの発達した現在や未来でも、環境が変わっても、人間そのものは変わらないということだ。災害や戦争、死が起こってしまうのは決められていたので止められない。しかし、そこから学ぶこと、常に自分で選択して戦っていくことをやめてはいけない。そこで諦めて屈してしまったら、そのまま過去を捨てないで先に進めない人間になってしまう。
余計な明かりがない方が星が良く見えるように、余計な物事がなくシンプルな当時の生活から、真の人間の姿と自然の摂理、起こるべきして起こることの前には何もできないこと。それをどう乗り越えていくかを伝えている。
また、後書きで触れているように、小説はひとつの国の再建の物語である。
国の再建といえば、日本の戦後。復興から世界一の経済大国になるまでに、私たちの祖先は皆、絶え間ない努力と明るい未来を想像し、ここまで平和で幸せな国を残してくれた。わたしたちがもしこのことを忘れ、感謝を怠るようになったとしたら、盲目なわたしたちを目覚ませるよう、万能な神が試練を与えることになるのか。
宗教色が濃いところで、好き嫌いが分かれそうだけど、壮大な過去の記憶を思い描くことができる小説。
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『アルケミスト』のパウロ・コエーリョによる、旧約聖書の預言者エリヤに題材をとった試練と再生の物語。
寓話的な物語のなかに深い学びのある言葉の数々がしみるコエーリョの作風。しかし本作は、単純に物語として面白い。預言者ではあるがまだ若者のエリヤが過酷な運命に翻弄される姿は冒頭から目が離せない。絶望的な展開から、自己の再生のみならず、自分の住む世界の「再建」に挑む姿は勇気づけられる。そのとき、失われた愛と信仰が蘇る姿に感動した。聖書をまったく知らなくても、キリスト教に興味がなくても、この物語から汲み取れる学びは大きいものがあるだろう。
青少年にはまず『アルケミスト』だが、大人には本作を強くオススメしたい。