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投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本舞踊の梶川流の先代家元の愛人だった母。
先代家元の血を引く妹ばかりがちやほやされるなか、梶川流とは血のつながりのない長女秋子は踊りの才能も無く日陰の存在。
ところが終戦後状況が一変。
米兵相手にストリップショーを取り入れた舞踊で日本人離れした体型の秋子が注目を浴びる。
そして母の愛も妹から秋子へ…
愛憎に満ちた母子、姉妹関係
2015/10/16 23:19
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投稿者:アキコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
有吉佐和子の得意とする女一代記ものです。
努力しても才能に恵まれない主人公と、舞うために産まれてきたような妹の
思う様にいかない人生。芸に生きる母の偉大さと愚かさ…
ドロドロした感情を押し殺しながら、舞踊の世界を生き抜く女性たちの姿に
ぞくぞくと好奇心を刺激され、読み進む手が止まりません。
戦後の舞台で輝いた主人公に、スポットライトが当てられた一瞬の姿には
大きなカタルシスが得られ、聴衆と共に喝采を送りたくなることうけあいです。
最後のスッキリしない終わり方は…?続編の「乱舞」もぜひ。
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以前に読んだ「乱舞(みだれまい)」以前のお話。ちなみに「れんぶ」ではなく「つれまい」と読む。
やっぱり有吉佐和子の描く女達には粟肌が立つ。いわゆる「女の争い」だとか「女は化物」とかそういう陳腐な概念から想像してもらっては困るのだが、とにかく彼女の描く女は美しく、また怖ろしい。
橋本治が、「昔の女にはすごい抑圧があって、それに耐えてて、時々ふうってなるから美しいんだよ〜ん」みたいなことを言ってたのを思い出した。懐古趣味に走って現代の女がどうこう言うつもりはないが、抑圧がないところに美しさがないというのは分からんでもない。
乱舞を読み返したくなったが、家に見当たらない。残念。
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連舞(つれまい)・乱舞(みだれまい)の前編。
絶版になったと思っていたら、こんな表紙になっているのにびっくり。(でも本屋でみかけない)
踊りという特殊な世界で生きる女の話。有吉さんの文章は踊り物、芸者ものでも読みやすいし、ぐっと読ませるし、とても好きです。
踊りの師匠を母にもつ才能のない姉と、家元との間に生まれた天才少女の妹。姉はどうやって生きていくのか。
保存版です。
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50年近くまえの小説。
日本舞踊という伝統芸能の世界を描いた作品。
「血」の世界、「家」の世界は今の我々の表の世界からはどんどん消えてしまっているようにおもう。
あるにはあるのだろうけど。
読みごたえありました。
最後にあのように受け入れた秋子はやはり月の器があったのだろう。
あと処女を失った女はかくもかわるのですかね。
男の自分には少しわからないというかちょっとイメージがわきません…
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大好きな有吉佐和子さんの。日本舞踊家元の妻の話。有吉佐和子さんの作品にしてはパンチに欠ける。でも好きな世界の話なのですぐ読める。
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日本舞踊名取りの家に生まれ育った女性の生涯が描き出されている。
戦前、戦中、戦後の激動が少女の人生観に永久する。
有吉佐和子の描く「心の襞」に感心させられる。
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昭和初期の日本舞踊の名門梶川流の師匠を母とする秋子は、異父姉妹であり家元の血を享け踊りに天賦の才を見せる妹の千春の陰で身を慎んで生きてきた。
しかし、戦後の混乱期、二人の人生は思いがけない方向へ進んで行く。
というものの、やはり伝統と因襲の世界で、妹ほどの才能のない秋子に幸せは訪れない。
辛い小説だった。
(図書館)
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有吉佐和子の古典芸能の世界を舞台にした作品。まるで昼ドラをみるようなストーリー展開ではあるが、内容、人物表現等は発表された当時と比較しても古くささを感じさせない。
著者は史実を元にした小説、社会派小説、また古典芸能や花柳界等を題材にした小説と多彩な作品を残している。そしてどの作品もエンターテイメント性にあふれ、読みやすく読者を引きつけてやまないものばかりである。また発表されてかなりの年月が経ているにも関わらず、内容や表現方法など色あせていない。53歳で亡くなって30余年にもなるが、才能豊かな作家の早世を残念に思わずにいられない。
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母との関係、妹へのコンプレックス、舞うことの悩み…色々抱えながら、それが徐々に剥がれ落ちていく様に引き込まれた。秋子の闘い、見事でした。
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芸事の世界に生まれて自分がその才能が無いと知るというのはどんだけ苦しいことやろうと思った。
それでも秋子は優しくて折れずに生きてて普通に応援しながら読んだ。
秋子の、母親の愛情を受けたい気持ちを大人になってもずっとコンプレックスとして持ち続けてるのしんどかった。その一点のために生きてるんちゃうかっていう執着ぶり。
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コンプレックスの塊のような主人公の立身出世物語に目が離せませんでした。劣等感と苦労と孤独の連続でしたが。面白かった。
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最初は母や姉妹など、他者と比較して一喜一憂していた主人公が、やがて自分自身を深く理解することで、独自の世界を獲得するまでの物語。
改めて読むと、結局自分を救うのは自分自身、あるいは自分の努力の時間ということなのかな、と思う。
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昭和初期。日本舞踊の梶川流の師匠を母に持つ秋子は、しかしその才がないと捨て置かれ、母の愛は家元の血を受けた異父妹の千春に集中した。
身の程をわきまえ慎ましく生きることを選んだ秋子だが、戦争を境に秋子の運命は大きく変わっていく。
母の愛への渇望、妹への嫉妬、踊りの家に生まれたことへの屈託を抱え、常に隅に控えるように生きてきた秋子が、やがて怖いくらいの強さをもって母親と相対するときがくる。そこに至るまでの痛ましさがあればあるだけ凄みが増して圧巻だった。
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有吉佐和子さんの作品は、文字を追うだけで楽しいような硬質な美文で、本当にハズレがない。
今回も、題材の日本舞踊のことなんて全く知らないのに、ぐいぐい読まされてしまった。
それほど長い作品ではないのに、大河ドラマを観たかのような満足感。
あと、青春期までの瑞々しい繊細さを描ける作家は数あれど、酸いも甘いも経験して成熟した大人の女を、こんな見事に描ける作家はそうはいないと思う。
全員単純にいい人でも悪い人でもなく、年を経て変わっていく人格として描かれているのも、人間ってそうだよねと思わされて、凄くいい。
有吉佐和子さん、手当たり次第に読んでいこうかなあ。
続編も楽しみ。