電子書籍
浅田節
2017/12/14 10:53
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
武士道を称揚する浅田節 全開の小説。
泣かせどころを心得た達者な文章など、浅田次郎を好きな人ならすんなり読めてしまう。
しかし最後の一節は、小説としての必然性より、作者が読者.世の中に叫びたいことを直接的に書いている。
作品中の商人に語らせたほうがよりよいような気がする。
電子書籍
しみじみと読める。
2018/06/23 13:09
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投稿者:さやまん - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田節炸裂の短編。
江戸の敵を明治で討つか。
時代の変化、変わらない思い。
凶刃に倒れた主君の言葉を優先するのは、本心のみか、それともいくらかの言い訳が混ざっているのか。
人間の強さ、人間の弱さ、どちらとも解釈できる、味わい深い作品だと感じた。
紙の本
着眼は良いのだが
2021/07/28 09:12
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投稿者:若杉一路 - この投稿者のレビュー一覧を見る
着眼はよく、舞台装置もよく考えられていて、いつもながら感心はするのだが・・・
といった感想をぬぐうことができませんでした。
種があかされても手品として楽しめる手品と、種明かしの後では面白味を失ってしまう手品があるように、小説にもしつらえが分かっていても心打たれる小説と、しつらえがわかり先が読めてしまうと、先に読み進めるのが萎えてしまう小説があります。
この作品集に収められた作品は、いいとこついてるなとは思いつつ、いいところをついているが故に、読後のカタルシスを欠くように思います。
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短編集。明治維新という大きな時代の境目を懸命に生きた人々を描く六篇。「遠い砲音」と「柘榴坂の仇討」がよかったです。「遠い砲音」は、西洋定時(1日は24時間、1時間は60分、1分は60秒)を体得出来ず、「遅刻じゃ、遅刻じゃ」と四苦八苦する「侍」の話。「柘榴坂の仇討」は、桜田門外の変で井伊直弼を守れず、自身は死に損なった「侍」と、井伊直弼を討った「侍」が再会する話。文体、表現が達筆で本格的時代物で固い文章です。でも、そこはやはり浅田次郎さん。時にしんみり、ほろりとさせられる本です。
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060601購入/060705読了/日本の夜明け前後、名もない志士たちがどのような生き様を見せたのかという着眼点がよろし。さすが浅田、読ませます。
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【2006.02.16.Thu】
江戸時代から明治時代へと大きく変化を遂げる明治維新。全てが新しく生まれ変わろうという時代に、人々は何を思ったのか。過去にすがり、嘆く。そんな人々は数え切れないほどいたのであろう。しかし、そこから生きることへの執念を胸に新しい時代へと向かう武士たちの姿が描かれている。現代にも日本は改革を続けている。人々はそれに惑わされ、憤りを感じ、賛辞を送り…様々な感情を募らせてゆく。しかし、やがてそれが日本となり、人々の生活に何事もなかったかのように浸透してゆくのだ。諦めなどではない。それほど人間は前を向いて生きる生き物なのだと思う。「旅というものはの、決して後戻りしてはならぬ。」長い人生の旅路で全てを受け止め時には立ち止まることもあろうが、いつでも見つめる先には未来の自分。人間がいつの世も忘れてはならないことがこの本には詰まっている。
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「男の始末とはそういうものでなければいけない」。うーむ、現代にも通じるところがあるようないような・・・
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浅田次郎の書く歴史モノが好きな人には、超オススメ。
短編を読むと、それぞれの作品が異なる表情で出迎えてくれる。
歴史小説の短編集。歴史ものばかりで、まとまりのあるストーリー。
それでいて、すべてが個性的で面白いんだから、浅田次郎はやっぱすごい。
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御一新後の武士の話というのを読みたいなぁと思っていたので。長く続いた古い時代を壊すのより新しい時代を築く方がずっと難しいのかも知れないですね。300年余続いた政権の中で生きてきた武士「だった」人達のやるせないような切ないような、だけど暖かくもある話ばかりで流石浅田次郎という感じ。
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歴史の授業で学んだ明治維新。授業だとすぐ終わってしまう中に立場が違えども、こんなにも多くのドラマがあったことに気づかされました。人がこれほど変化を求められることなどなかなかないのではないでしょうか。
「男の始末とは、そういうものでなければならぬ。決して逃げず、後戻りもせず、能う限りの最善の方法で、すべての始末をつけねばならぬ。」私は女だけれども、決して振り返ることなく生きていける人間でありたい。そう言うことも考えることも簡単だけれども実際に行動にすることは本当に難しい。
(借り)
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いい。これはイイ。
幕末、明治の始まりの時期。
近代の波が押し寄せるなかで、消えゆく武士たちの姿を描いた、短編6つ。ガス灯の下を二本差しが歩いていた、ふたつの時代が溶け合う時代。男たちの苦悩に心を揺さぶられます。
いちばん好きだったのは「柘榴坂の仇討」。桜田門外の変ははあまりにも有名な話だけれど、あの話の裏側をこういう視点で語ったのはものすごく新鮮だった、そして泣けた。井伊直弼の警護についていた男と、直訴状とみせかけてクーデターの口火を切った犯人。死にそこね、幕府は倒れ、時代はすべてが変わり、、、身の置き所がないまま生きる男たちを、運命はまた引き合わせる。断言します、この短編はかならず映画かドラマ化される。私は女だから、金吾の妻、せつの胸のうちが、染み入るものがありました。この装丁の椿の赤さには大いなる意味があるのです。と私は思う。だって、この短編集にはすべて 「赤色のもの」 が登場人物たちの言い尽くせぬ思いを語るべく出てくるのです。 「椿寺まで」でも、赤い椿の大樹がラストを彩り、新太は落ちた椿の花頭をそっと胸に入れる。それはきっとお母様の想いを、胸に仕舞いこんだのでしょう。 「箱館証文」では赤い赤い楓が。ひとつひとつ取り壊されていく江戸城の御門のなかで最後に残った楓の御門。ここに佇む楓の大木の赤と、3つの証文を焼いた火鉢の火の赤が脳裏で重なります。 「西向く侍」では最後に昏れゆく西空の赭。 にしむくさむらい、は2、4、6、9、士 で、ひと月が31日までではない小の月を覚える言い方ですが、まさにその、西暦が日本に入ってきて、陰暦から陽暦に変わるために、12月がごっそりないことになってしまった明治5年の話。12月2日を突然晦日とされ、3日になるはずだったその日から明治6年は始まった。こんな強引な帳尻合わせが実際行われたんですね。西向く侍、という素晴らしい語呂合わせに絡めて、西の朱空を見つめる勘十郎が見ているものは、時代そのものだったのかも。 「遠い砲音(つつおと)」を彩るのは近衛兵たちの緋色の軍袴。明け四つ暮れ六つ、日の入りの鐘も毎日ずれていくようなゆるやかで曖昧な時が流れていた時代から、西洋定時が導入され、秒刻みの一日になった明治の軍隊。そりゃ混乱するよなぁ。頭も体も新しい時代についていけない彦蔵にものすごく共感する。薩摩の大隊長殿はまた悪役かなと思ったけど、最後に粋な面を見せてくれてちょっと嬉しい。そしてラストであり表題作である 「五郎冶殿後始末」 これはストーリーとしては一番重い。このお話の「赤」 は 半之助が命を拾ったあとに目覚めた尾張屋の奥座敷を照らす百目蝋燭。過ぎ行く時代に添い遂げるはずだった命を、新しい時代が照らした瞬間だったと思う。五郎治の“後始末”は人としてかくあるべし、という教訓を学ぶことができると思う。
これは浅田ファンならずとも、ぜひとも読んでほしい1冊です!
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浅田次郎です。
世は「明治」となる。
1000年の歴史の中、変化をしながらも
脈々と受け継がれてきた武士の世が終わってしまった。
江戸が東京になり、刻がアウワー(hour)に・・・
通りにはガス灯が並ぶ。
御一新(明治維新)・・・
武士であることが武士である武士が
武士でいられない世になれば
武士として武士への始末をつけなくては。
表題「五郎治殿御始末」など6編の短編集です。
御一新を生きたまま超えてしまった武士達。
本当にこんな人がいたのだろうと思ってしまう本です。
「西を向く侍」が印象に残りました。
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不器用にも時代を見つめ始めた侍達。
変わり身の早いものは、さっさと髷を落とすものも多い中、
なじめないでいるものも多かった。
日本が古来のものよりも外来の物を好む傾向ってのは、
昔からの性分なのかなぁ、と思った。
読後は時代に思いをはせ、しんみりしてしまう。
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江戸から明治へ。侍たちは変遷の時代をどう乗り越えてきたのか。
『壬生義士伝』の著者が綴る珠玉の短編集。
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浅田次郎の五郎治殿御始末を読みました。明治維新で居場所を失ってしまった侍たちが、自分の誇りにかけてどのように身の始末をしたか、という短編集でした。侍たちの覚悟と行動が浅田次郎らしく物語られていきます。今、この時代に生きている私たちから見ると、かの時代は古きよき時代のように見えるわけですが、実際にどうだったのかなあ、と考えさせられます。そのような時代にしっかり引き際を考えて身の始末をした侍たちと比べて、100年後の私たちは人間的にも100年分だけ進歩しているのでしょうか。