妖精が舞い下りる夜
著者 著者:小川 洋子
人が生まれながらに持つ純粋な哀しみ、存在していることの孤独を心の奥から引き出すことが小説の役割ではないだろうか。小説を書きたいと強く願った少女は成長しやがて母になり、芥川...
妖精が舞い下りる夜
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商品説明
人が生まれながらに持つ純粋な哀しみ、存在していることの孤独を心の奥から引き出すことが小説の役割ではないだろうか。小説を書きたいと強く願った少女は成長しやがて母になり、芥川賞を受賞――。少女・青春期の思い、家族や本のこと、心を締めつける記憶の風景を率直に丁寧に綴り作家小川洋子の原点を明らかにしていく、珠玉の一冊。繊細な強さと静かなる情熱を併せ持つ著者の全貌がみえる初めてのエッセイ集。
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やわらかな作戦
2009/07/20 11:00
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家の多くは、小説以外の文章も書く。
それが、エッセイの人もいれば、いわゆる批評めいたことを書く人もいる。あるいは、小説だけの人もいるかもしれない。小川洋子さんは、最近でこそちくまプリマー新書のようなものにもお書きになっているが、初期作品からまばらに読み続けてきた読者としては、「小説とエッセイを書く人」というような印象が強かった。
それが、本章のようなものも書くと知って、驚きもし、また納得もした。というのも、厳密に言えば、本書は小川文学の方法論についての理論書に他ならないからだ。もちろん、全編そうだというのではないし、難いことが堅苦しく書かれているのではない。それでも、そうしたタイプの文章には違いない。
実はそこに、小川文学の秘密がある。小説の方法を書きながら、それが優しく解りやすい、いうならば「やわらかいな作戦」とでも呼ぶべき仕方で綴られていくのだ。そこに、小説のやさしさ、暖かさと、その裏にある緻密な計算、それらが総合された小川文学の基盤があるように思われ、本書は工場見学さながらに創作の舞台裏をのぞける冊だといえるだろう。